かりくらし たなばたつめに やどからむ あまのかはらに われはきにけり
狩り暮らし たなばたつめに 宿からむ 天の河原に われは来にけり
在原業平
一日狩りをしてすごした今夜は、織姫に宿を借りよう。天の川に私はやってきたのだから。
0175 にも出てきましたが、「たなばたつめ」は漢字では「棚機津女」で織姫のこと。詞書(この歌の詞書も長いです!)には、惟喬親王の狩りに随行したおり、親王の仰せで「狩りして天の河原に至るといふ心」を詠んだとの記載があります。なお、この歌とその返しである次の 0419 は、伊勢物語の第82段にも採録されています。
旅を歌った巻第九「羇旅歌」、残り三首となりました。