漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0413

2020-12-16 19:30:03 | 古今和歌集

やまかくす はるのかすみぞ うらめしき いづれみやこの さかひなるらむ

山隠す 春の霞ぞ うらめしき いづれ都の さかひなるらむ

 

 

 山を隠す春霞がうらめしい。どの山のあたりが都なのであろうか。

 詞書には「東の方より京へまうで来とて、道にてよめる」とあります。東国から都へ向かう道々、早く着きたいと逸る気持ちと裏腹に、春霞に遮られて行く手が見通せないもどかしさを歌にしています。
 作者の乙(おと)は、遠江介壬生益成(みぶ の ますなり)の娘で、9世紀を生きた人物。古今集へは、この歌が唯一の入集です。