はつかりの なきこそわたれ よのなかの ひとのこころの あきしうければ
初雁の なきこそわたれ 世の中の 人の心の 秋しうければ
紀貫之
初雁が秋になると鳴きながら空を渡って行くように、私もずっと泣き続けている。愛しい人の心が私に飽きてしまったのがつらいので。
「なき」が「鳴き」と「泣き」の掛詞で、「なきわたる」が雁が鳴きながら空を渡る意と作者が泣き続ける意の両義となっています。「あき」は「秋」と「飽き」の両義ですね。
初雁を詠み込んだ歌はいくつか登場しますが、初雁と同じように私も「ないてわたる」というフレーズは 0735 と類似します。