いとはやも なきぬるかりか しらつゆの いろどるきぎも もみぢあへなくに
いとはやも 鳴きぬる雁か 白露の 色どる木々も もみぢあへなくに
よみ人知らず
ずいぶんと早く雁が鳴いたものだ。白露が色づかせる木々もまだ紅葉してはいないのに。
木の葉が紅葉するよりも早く雁の鳴く声が聞こえたことに驚く気持ちを詠んだ歌ですね。作者の中に、木の葉が色づくのが先で、雁の来訪はそのあとだという概念、常識があるのでしょう。そう思うに至った経験(紅葉があってそのあとに雁が来ることの実体験)の積み重ねがあることもわかります。