10、日本磐余彦天皇(やまといはあれひこのみこと)は彦波瀲武鸕鶿草葺不合尊(ひこなくさてけうかやふきあわせずのみこと)の第四子なり。母は玉依姫ともうす。海童(わたつみ)の大娘なり。日本の神皇の始めの天照太神より五代の孫なり。庚午(かのえうま、こうご)の歳に誕生(みあれます)云々。天皇天基(あまつひつぎ)を草創の日、皇天(みおや)の厳命に任して、八柱の霊神を齊(いつきたまひて)式て御魂の神を鎮めんと為してより以来、上は則ち、乾霊授國之徳に合ひ、下は則ち、皇孫養正の心を弘む。是れ、神の一徳は益々四海に満ち、和光の影は普く、八洲に浮いて、能く君臣を救う。上下悉く八苦の煩悩を除いて天壌極まりなく、日月長久にして夜の守り、日の護り、じゅつ幸にあれます。誓の言、孔た照かなり。故に八百万の神等のなかに八柱御魂の神をもって、天皇の玉体となして、春秋の二季に斎きまつるなり。惟魂の元気(はじめのき)なり。清める気上って斎くして天神となり、濁れる気沉み下るを地神となし、清濁の気通じて陰陽となり、五行となり、陰陽ともんじて萬物の類を生ず。是水火の精なり。陽気生じてもって魂となずけ、心と為す。故に安静を以て命となす。これ道のはじめなり。故に魂魄となずく。陰気は意となり、性となる。故に精魂となずく。八斎の神霊を祭るいは、則ち世間の苦楽みなこれ自在なり。天神の作用広大慈悲の八心なり。即ち、続生の相なり。真実にして無畏なり。大元の地に鎮座す(ありまします)。湯津の石村(いわむら)の如なる長生不死の神慮、謹請再拝して、国家幸甚云々。
本に云く、九色の心蓮を開かんと欲して、五智の果実を結ぶ。敬って以比妙喜模矣。
天地麗気記巻第一終
本に云く、九色の心蓮を開かんと欲して、五智の果実を結ぶ。敬って以比妙喜模矣。
天地麗気記巻第一終