涅槃経に油断の話がある。「ある王が臣下に油の入った油鉢を持たせて二十五里四方に連なった人群れの中を歩かせ、『もし油の一滴でもこぼしたら汝の生命を断つ』といって後ろから抜刀した監視役をつけさせた。命令を受けた臣下は細心の注意を払ってその油鉢を捧げ持ち一滴の油もこぼさずに無事に歩きとおした・」というもの。ここから「油断」の語ができたとされる。涅槃経の注釈には、「二十五里」は二十五有(二十五有とは三界六道を25種に分類したもの。衆生の有様。)を表し、捧げ持つ「油鉢」は色心(体と心)、「油」は戒律、「一滴もこぼさず」とは一戒をも犯さず、「王」は仏、「臣」は行者、「抜刀してうしろにつく監視役」とは無常、にそれぞれ例えている、と言われます。(即ち我々は生きているこの世界で十善戒を守りとおせば無常という死罪は受けないということですが、十善戒を生涯守り通すことは不可能です。従って死罪(生老病死)は免れないということでしょう。。)」
・・・大谷大学、学苑余話。
・・・大谷大学、学苑余話。