福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

秘密安心往生要集・・22/42

2021-06-22 | 諸経

秘密安心往生要集・・22/42
(廿、決定往生の用心)。
是至極肝要なり。予め同行の善智識五人、或は三人を請ぜよ。不信解、懈怠、酒肉五辛を食せる人をば除くべし。善智識は是大因縁なり。阿闍世王若し耆婆なくんば速やかに無間地獄に堕すべしといへり。又心地観経に曰く「菩提の妙果、成しがたきには非ず。真の善智識実に遇ひ難ければなり。」(「大乘本生心地觀經卷第三・報恩品第二之下」「若遇善友發大心 三種錬磨修妙行 永斷煩惱所知障 證得如來常住身 菩提妙果不難成 眞善知識實難遇 一切菩薩修勝道 四種法要應當知 親近善友爲第一 聽聞正法爲第二 如理思量爲第三 如法修證爲第四」)と。善智識能く教導する時は重罪の者も心乱れずして往生すべし。故に兼ねて臨終の導師を擇んで慇懃に頼るべきなり。病人の臥法は頭北面西或いは東首北面にして眼を本尊にかけて五色の糸を捉るべし。若し復端座せる者は東に向ふとも南に向ふとも苦しからず。坐せる人を強ひて臥さしめ、臥せる人を強ひて起こす時は苦痛を増すが故に病人をして瞋恚を生ぜしむ。若し一念の瞋恚を生ずれば倶胝曠劫の善根を焼き亡ぼし地獄に堕するが故に。看病人常に此の心得あるべきなり。一人の知識は病者の面より少し南に坐し眼を病人の面に著けて大慈悲心に住し弥勒の寶號或は真言を唱て内院に引導するの想をなすべし。是の人は尤も持戒清浄智行兼備の僧を撰び請ずべきなり。一人の知識は病者の東北、枕の下を三尺ばかり去りて坐し護身結界し不動の慈救呪を念誦し天魔鬼神の障碍を避除すべし。不動念ずることは「一たび秘密呪を持すれば生生而も加護し、修行者に奉仕し玉ふ、猶し薄伽梵の如し」(勝軍不動明王四十八使者祕密成就儀軌「明王の四弘願に云く、見我身者  發菩提心  聞我名者 斷惡修善  聞我説者  得大智慧 知我心者  即身成佛。一持祕密呪。生生而加護。持念我者不可至
疑心。何況世間諸障哉。」
)の誓あるが故に。必ず忘れず念ずべきなり。一人の知識は病者の北方にありて地蔵菩薩の印明を結誦し或いは寶號を唱て大慈悲心に住して必ず浄土に引導し玉へと祈誓すべし。地蔵菩薩は釈尊の付嘱を受けて末世の一切衆生を一日一夜も悪道に堕せしめじと誓ひ玉ふが故也。一人は時々に磬を鳴らすべし。天台大師の曰く「人鐘聲を聞く時は正念を増す。臨終には必ず鐘を撞しめよ。長く搗くべし。是を無常の鐘と名く」(佛祖統紀六(智者傳)に「又誡維那曰、人命將終,聞鐘磬聲,增其正念,惟長惟久,氣盡為期」)。寺内にては然るべしと雖も在家にては磬を打つも同じ心なり。光明真言十遍ほどの間に一度ずつ打べし。一人の知識は特に平生莫逆入魂の人を用ゆべし。病人光明真言を唱へば共に唱へ、阿字・弥勒の真言名号を唱へば同じく唱へて病人と一味同心にすべし。後に断末魔の苦しみ起こり病人唱ふることあたはざる時は同音に唱ふる真言阿字、病人の入る息と共に胸中に入りて満月輪となり業障無明の闇を照らして出る息と共に唱へ合する時、阿字本覚の月輪、「おん(梵字)」字大願方便の風に乗じて刹那に兜率の内院、八功徳池の蓮胎に託生するなり。


問、何の故にか臨終決定して浄土に生ずるや。
答、其の人の信力と真言の不思議力と弥勒の大慈力と諸佛の大悲力と善智識の加持力と法界力と六大無碍入我我入の故に。浄土と此処と善智識と臨終者と同一體と成りて刹那に天宮に上生するなり。是偏に秘密醍醐の教薬なり。顕乗を行ずる人は此の利益を得べからず。所謂他作自受の理りなりと雖も亦縁起難思の秘術ありとは是なり。故に此の一人は莫逆の知己、慈悲第一の人を用ゆるなり。若し病人苦に逼められて合掌すること能わずば外縛の印を結ばしめよ。猶委細口授にあり。書き顕すことあたはず。明師に逢ひて伝授すべし。

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