「日本三大實録(貞観元年859二月二十五日の条)「六十四僧を請ひ東宮に於いて大般若経を転読す。今日を起首とし三日を限り訖。凡そ貞観の代、季毎に四季大般若を転読。皆此に効ふ。」
参考1,「公事根源」には「季の御読経 二月八月大般若経を百敷にて講ぜらる。四か日の事にて第二日には引茶とて僧に茶を給ふ事あり。天平元年四月八日に始めらる。貞観の比ほひには毎季行はれるとかや」
参考2、「源氏物語・胡蝶」に「季の御読経」の様子があります。
「弥生の二十日あまりのころほひ・・・今日は、中宮の御読経の初めなりけり。やがてまかで給はで、休み所とりつつ、日の御よそひに替へ給ふ人々も多かり。障りあるは、まかでなどもし給ふ。
午の時ばかりに、皆あなたに参り給ふ。大臣の君をはじめ奉りて、皆着きわたり給ふ。殿上人なども、残るなく参る。多くは、大臣の御勢ひにもてなされ給ひて、やむごとなく、いつくしき御ありさまなり。
春の上の御心ざしに、仏に花奉らせ給ふ。鳥・蝶に装束き分けたる童べ八人、容貌などことに整へさせ給ひて、鳥には、銀の花瓶に桜をさし、蝶は、金の瓶に山吹を、同じき花の房いかめしう、世になき匂ひを尽くさせ給へり。」
参考3、「年中行事歌合」に季の御読経を詠んだ歌。「千とせとも限らぬ君の春秋はかかる御法のためしなるらん」