福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

御即位灌頂 冨田斆純(11代豊山派管長)等より・・・6

2018-09-06 | 永山國昭博士の福聚講通信
御即位灌頂 冨田斆純(11代豊山派管長)等より・・・6
第七章、智拳印
先に御即位灌頂の印明は大日如来の印なるや一字金輪佛頂の印なるやを問題提起したがこれが御即位灌頂の重大事である。元来仏教においては国王を五種に分かつ。金輪王・銀輪王・銅輪王・鉄輪王・粟散王である(無量義經等)。粟散王とは粟を散らしたように所々にたくさんある王といふことである。・・この中で金輪王が最高であるから日本でも仏教者は天皇陛下を金輪王と申し上げた。この金輪王の最上威徳を佛格化したのが 一字金輪佛頂であって、金輪時処軌(「金剛頂一字頂輪王喩伽一切時処念諦成仏儀軌」、大日金輪の秘法を伝える)に「勝絶不共の唯一仏体を顕すが故に一切佛頂輪王の輪王、讒に奇特の身を現ずれば諸聖衆皆没す、もし人ありて金輪王等の佛頂を誦持すれば五百由旬のうちに余部の密言を修する者、本尊とするところを請じて念誦するも聖者降赴せず、又悉地を与へず、一字金輪の威徳に摂せらるるが故也。」とあり、一字金輪佛頂が出現すれば如何なる威徳広大の仏さまでも皆一字金輪佛頂の威光に奪われて四方五百由旬の間はその威徳が現れぬのである。(この一字金輪佛頂の真言がボロンであり、)・・しかれば御即位の時にあたり、天皇陛下がこの一字金輪の印たる智向前印を結びボロン字を誦したまふや四海万民はもちろんの事、鬼神も悪魔もみなその御威光に恐れて、通力を顕すことも障碍を為すこともできぬのである。・・そもそも真言密教に在りては金剛界胎蔵界の両部を以て宇宙原理として居り、金剛界胎蔵界の不二平等の位を最高理想として居る。しかもそれぞれ金剛界に直ちに不二平等があり、胎蔵界に直ちに不二三昧はあるのである。金剛界は智徳顕現門で胎蔵界は理徳隠密門である。・・けだし御即位式なるものは神武天皇の御即位式にも四方の国をして天位の尊きを観ぜしむ、(建国の詔に「六合(くにのうち)を兼ねて以て都(みやこ)を開(ひら)き、八紘(あめのした)を掩(おほ)ひて宇(いえ)と爲(な)す」とある)とあるが如く君徳の偉大なるを四海に示したまふの式であるから、真言密教の目で見れば金剛界智徳顕現門でなければならぬ。而してこの智拳印をしてすこしく面を胸に向け一字金輪佛頂の門より入り来る金剛界大日如来なることをしらしむるのである(これがいわゆる深秘の口傳といわれるところ)。しかれば御即位灌頂は金剛界大日如来智徳の三昧で、その印は金剛界大日如来の智拳印で、そのご真言は法界顕現のバンである・・智拳印とは吾我の自己実現の最高理想を示したもので、顕得の即身成仏の印である。故に弘法大師は清涼殿に即身成仏の儀容を示し給ふた時、この印を結んで吾人すなわち仏陀なりとの大自覚を一世に示したもふたのである。・・・智拳印は左の衆生界の命息の風指を立て、右の佛界の大空三昧の空指に合わせ、衆生は仏の加持力によって成仏し、仏は衆生の精進によって益々その徳を輝かすのである。・・御即位の時にこの印を結び給ふ所以は左の手は国民で右の手は君主であるとするのである。左手の国民はその生命(頭指)を捧げて誠忠を致せば、君主は一視同仁の大御心(親指)を以てこの誠忠を受け給ひ、而して仁政を万民に敷き給ふ、これ智拳印の形相である。



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