已に因縁分を説く、次に立義分を説かん。
摩訶衍(大乗)には、總説すれば二種(2つの側面)有り。云何爲二。一者法。二には義なり(何を大乗と呼ぶのか。その内容とはなにか)。言う所の法とは衆生心を謂う(大乗とは衆生の心をいう)。是の心は則ち一切世間法と出世間法を攝すれば、此心に依って摩訶衍の義を顯示すればなり(衆生の心は世俗的な価値と超世俗的価値とを含んでおりそれらが大乗の内容を表している)。何を以っての故に。是の心の眞如の相は、即ち摩訶衍の體を示すが故なり(衆生の心の真実の姿が大乗の本質が表しており)、是の心生滅因縁の相は、能く摩訶衍の自と體と相と用を示すが故なり(この心が現実に衆生の現象の因縁となっているさまに大乗の本質と特性と機能が示されている)。
言う所の義(いみ)には則ち三種有り。
云何爲三。
一者體大。一切法の眞如を謂う。平等にして不増減の故に(衆生の心の本体はすべてのものの真実のありかたとしてすべての衆生に平等に備わっており、まよっているからとて減るものではない)。二者相大。如來藏を謂う。無量性功徳を具足するが故に。(2に特性が大きいこと。衆生の心は中に如来を蔵するものとして如来とおなじ徳相を具足する故に。)
三者用大。能く一切の世間出世間との善の因果を生ずるが故なり。一切諸佛の本と乘ぜし所なるが故なり。一切菩薩も皆此法に乘じて如來地に到るが故なり。(3にその働きが大きいこと。衆生の心の内なる如来(心真如)が世間的出世間的なすべての価値あるものの因となり果となるから。そして一切菩薩もこの大乗の教えに依って如来の境地に到達するからである。)
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