復次に衆生が是法をはじめて學して正しい信仰を欲するのであるけれども心が臆病で、「此の娑婆世界に住んでいる限りは常に諸佛に会って親しく供養することはできないのではないか」と畏れ、また「信心を成就することはできないのではないか」といって、意欲の衰えるものは當に知るべきである。すなわち、如來は優れた方法で、信心を守ってくださるということを。何故かというに專心に念佛する因縁によって、願に随って死後、娑婆世界の他にある佛土に生ずることを得て、常に佛を見て惡道から永久に離れられるからである。お経に説いて、「若し人、專ら西方極樂世界阿彌陀佛を念じて善根を迴向し彼の極楽世界に生れることを願求すれば、即得往生する」とするように、常に佛を見るがゆえに終に信仰心が退歩することはないのである。その上、彼の阿弥陀仏の眞如法身を観じて、常に勤めて修習すれば終には極楽浄土へ生ずることを得て、菩薩として覚ることができる位に住するゆえである。
(復次に衆生是法を初學して正信を欲求するに其心怯弱にして此娑婆世界に住するを以て自ら常に諸佛に値て親承供養すること能はざらんことを畏れ、懼れて信心は成就すべきこと難しと謂ひ、意の退せんと欲する者は當に知るべし如來には勝方便ありて信心を攝護す。これ專意に念佛する因縁を以て、願に随って他方佛土に生ずることを得、常佛を見て惡道を永離せしむるを謂う。修多羅に説いて、「若し人、專ら西方極樂世界阿彌陀佛を念じて所修の善根を迴向し彼の世界に生ぜんと願求せば、即得往生す」とするが如く、常に佛を見るがゆえに終に退することなし。若しくは彼の佛の眞如法身を観じて、常に勤めて修習すれば畢竟して生ずることを得て、正定に住するが故也。)
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