福聚講

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十三佛は自己曼荼羅を導く究極の密教曼荼羅であること・・6

2017-11-06 | 法話
十三佛は自己曼荼羅を導く究極の密教曼荼羅であること・・6

第五章、虚空蔵菩薩
金胎不二というが印度では別々であった。それが支那に来てはじめて相会し不空三蔵の偉大なる識見に依りて金胎は両部不二の深旨を発揮せられ、大師がこれに系統を立て組織せられるるときに、この両部不二の深旨は一段の発達を示し大いに幽邃深奥を極めたのいである。元来密教は極端な象徴主義であるから両部不二ということになれば両部不二の深旨を象徴すべき何かが必要とあってくる。この必要に応じて現れてくるのがすなわち如意宝珠である。密教唯一の最尊最重の宮中御七日御修法の本尊が金大日でもなく胎大日でもなく、如意宝珠であり、密教の最極深秘の秘法は如意宝珠の法で、密教の最極秘印の無所不至印は三弁宝珠と観ずるのが大阿闍梨の口伝である。、とするものでも明らかな如く、如意宝珠は密教の理想物と化したのである。そこで大日如来より伝来の如意宝珠が埋められた室生山の精進峰が闔宗(ごうそう、この宗)の僧侶によりて毎朝拝さるるにいたったのである。
然るに十三佛曼荼羅の主尊、虚空蔵菩薩はこの如意宝珠を最も現実的に人格化したる本尊である。阿闍梨の口伝にいわく、「胎蔵界十三大院の深秘の存する所は虚空蔵院である。胎蔵界は佛・蓮・金の三部門の建立である。而してこの虚空蔵院に限りて他の十一院に類例なき金剛部の金剛蔵王菩薩、蓮華部の千手観音菩薩が存し、その形量は中台の大日如来と等しい」と。又曰く「虚空蔵菩薩は胎蔵曼荼羅の正面の門の突き当りに在り、娑婆有縁の佛なるを察すべし」と。前者はすなわち虚空蔵院に宇宙秘密は開示せられたるの謂いにして、後者は即ち吾人の理想に最も近き佛なりとの謂いである。・・・密教から見れば人世に断ずべき煩悩もなく、滅せしむべき罪悪もないのである。只、人世の幸福の障害となるものあらばこれを利導して幸福の材料たらしむべきである。この人世の幸福即ち是如意宝珠の三昧にしてこれを人格化したのが虚空蔵菩薩であるとせば、この菩薩は実に人世の理想的本尊である。
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