福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

釈雲照師「十善業道経講義」から・・その25

2018-03-25 | 諸経
「また次に竜王、若し瞋恚を離るれば即ち八種の喜悦の心の法を得。」(これは十善戒中の第九の不瞋恚戒であって、意業に属する貪瞋痴の随一である。貪欲は順境に対して、ものをむさぼり、瞋恚は逆境に対して腹を立てるのである。しかして貧の強いものは必ず瞋があり、また瞋の強いものは必ず貧があってあたかも鳥の両翼の如く相離れぬものである。それはなぜかというと自己の気に入った境涯に対してこれを要求するときに若しそのことが叶わなければ忽ち腹を立てるようになる。・・・其の貪欲瞋恚のもとは何かと云うと仏教の無常無我の道理、涅槃寂静の道理を知らぬからそうなるのである。これが愚痴邪見である。

(「不瞋恚戒」として慈雲尊者は「十善法語」の中で「・・憤兵は必ず敗軍するという。・皆怒って敗れぬといふことはない。もし事にふれて怒りの心起こらば、この敗れの兆しとしるがよきじゃ。・・燕の太子丹(秦の始皇帝に侮辱されたことを恨み報復しようとして逆に滅ぼされた)魏の高貴郷公が憤激に堪えず禍の端を発して自ら死亡を招く。・・晋の何充が妻郭氏が由無き嫉妬故乳母をころして吾子のついに育せざる。(郭氏は乳母に嫉妬し乳母を殺したため子供は他の人の乳を飲まず、遂に死んでしまった。)其の類大きじゃ。華厳経の中に「菩薩一念心の瞋恚の火によって、無量億劫の功徳法財を失うとある。・・」と書いてあります。)
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