通途の者は。我が手に取らず我が眼に見ねば。我が所領とも云はれぬ様に思ふべけれども。手に取る物ばかりが我物と云ふことではない。眼に常に見て居る物ばかりが我物と云ことではない。
千金の家翁も。常に千金を懐にし居はせぬじゃ。家僮などにまかせおきて千金の主じゃ。一邑一郡の主も。自其田穀の多少を撿するではない。僕従家長などにまかせおきて一邑一郡の主じゃ。大君の一天萬乗の主たるも。山海の廣狹。土地の産物。人民百姓の田穀財寶の員數まで。ことごとく知ることではない。民百姓の田地財寶は。やはり民百姓の田地財寶にして。直に我有じゃ。功臣諸侯には一國二國を與へ。此を子孫遠裔に傳へさせおきて。やはり我有地じゃ。
此譬喩にて知れ。眞修行の人は。梵天へ上て見ねども。十八梵天には静慮の樂を得させ置て。我有じゃ。我子じゃ。無色界は見ずとも。又自身無色定を得ずとも。彼衆生に深禅定に入らせおきて。我有じゃ。我子じゃ。
勇者は勇者。智者は智者。たとひ我腕力智慧は彼に及ばずとも。みな我有じゃ。我子じゃ。面白きじゃ。富貴の者は富貴ながら我有じゃ。我子じゃ。貧賤なるものは貧賤ながら我有じゃ。我子じゃ。面白きことじゃ。
千金の家翁も。常に千金を懐にし居はせぬじゃ。家僮などにまかせおきて千金の主じゃ。一邑一郡の主も。自其田穀の多少を撿するではない。僕従家長などにまかせおきて一邑一郡の主じゃ。大君の一天萬乗の主たるも。山海の廣狹。土地の産物。人民百姓の田穀財寶の員數まで。ことごとく知ることではない。民百姓の田地財寶は。やはり民百姓の田地財寶にして。直に我有じゃ。功臣諸侯には一國二國を與へ。此を子孫遠裔に傳へさせおきて。やはり我有地じゃ。
此譬喩にて知れ。眞修行の人は。梵天へ上て見ねども。十八梵天には静慮の樂を得させ置て。我有じゃ。我子じゃ。無色界は見ずとも。又自身無色定を得ずとも。彼衆生に深禅定に入らせおきて。我有じゃ。我子じゃ。
勇者は勇者。智者は智者。たとひ我腕力智慧は彼に及ばずとも。みな我有じゃ。我子じゃ。面白きじゃ。富貴の者は富貴ながら我有じゃ。我子じゃ。貧賤なるものは貧賤ながら我有じゃ。我子じゃ。面白きことじゃ。