福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

三十日秘仏による諸仏の縁日

2014-05-24 | 講員の活動等ご紹介
仏像図鑑に「三十日秘仏」の項があり、
「三十日秘仏は一ヶ月三十日に三十佛名を配し、礼拝するものにして、この説は経論に典拠なく、支那五代の頃五祖山の師戒禅師により唱えられしものと伝ぬ。すなわち虎堂録七に曰く、『毎年念仏の図、戒師の編するところ、はじめ定光仏を首となすより、三十日釈迦世尊に至り、おわりてまた始む。なおし貫華の如く、新々して住せず、念々とどまらず、口に誦し、心に思い、光明発現して人天の福となる。これ念仏精誠の感験なり。』と」とあります。以下「三十日秘仏」等による諸仏の縁日を書ておきます。

・一日は定光仏の日です。
「一日定光仏 智論に曰、、『燃燈佛はこれ定光佛と』、また 佛祖統紀に云く、『燃燈佛、世に住すること八百四十萬億歳ないし滅度す』」
と書かれています。(燃灯仏は過去世に出現して、釈尊に授記した仏であり、釈尊以前に現れたといわれる二十四仏の1人です。)
・二日は燈明仏 の日です。「定珍曰く、『日月燈明と云は、 雲自在燈王と云と同體異名也 、雲月一躰の貌これに合すべし。』」( 日月燈明佛は過去世に出世して法華経をといた佛。仏の知恵の光明が日月のごとく一切衆生を照らすところからなずけられたものです。)
・三日は多宝佛の日です。仏像図鑑には「東方宝浄世界の多宝、高さ五百由旬、七寶の大塔に住して、諸仏法華経を説く前に霊鷲の大地より湧出したもう仏なりといい、
法華経見宝塔品にいわく
『その時、佛前に七宝塔あり。高さ五百由旬、地より湧出し、その時宝塔中に大音声を発し歎じていう、善哉、善哉、釈迦牟尼世尊よく平等大慧の教、菩薩佛所護念するところの妙法蓮華経をもって大衆のために説く、かくの如し、かくの如し、釈迦牟尼世尊所説の如きはみな真実、ないしその時、佛、大樂菩薩に告ぐ、この宝塔中に如来の全身あり、ないし東方無量千萬億阿僧祇世界に国あり、宝浄と名ずく、かの中に佛あり、号して多寶という、その仏本菩薩の道を行じ、時に大誓願をなし、もし我成仏して滅度の後、十方国土において法華経を説くところあらば、我の塔廟、この経を聴くがゆえに、其の前に湧現して、ために証明をなす、讃して善哉といわん」と。すなわちこれ多宝佛の由来なり。」とあります。
・四日は阿閦如来の日です。阿閦如来は三十日秘仏の四日仏であるとともに十三仏の七回忌導師でもあります。左手で衣の端をにぎっておられるのが特徴です。東方妙喜國の教主。密教では金剛界五智如来の一つで大円鏡智を表すとされます。浄名経に「国あり、妙喜となずく、佛を無道と号す。」とあり、法華経では、前生は大通智勝如来の十六王子の一人とされています。薬師如来と同じと言う考え方もあります。

・五日は弥勒佛の日です。
弥勒菩薩は十三仏の六七日導師でもあります。
弥勒菩薩はお釈迦様入滅後五十六億七千万年の後,この世界に現れ,竜華樹の下で悟りを開き,衆生のために三度法会を開いて,お釈迦の教化にもれたものを救ってくださるとされます。(「彌勒經遊意」等)

・六日は二万灯佛の日です。法華経序品に曰「この佛の光明、天に日月灯明佛あっては日月の如く、地にあっては灯の如し、よって名ずく。かって過去に二万の日月灯明佛あり、同名あいついで出世し法華経を説く。」(過去無量無辺不可思議阿僧祇劫に出世した日月灯明佛は、三乗の法を説き入滅した。以来同名の日月灯明佛が次々と出世して二万の日月灯明佛が現れたとされる。)

・七日は三万灯明佛の日です。仏像図鑑には「七日は三万灯明佛の日」とありますがそのあと「この仏は典拠つまびらかならず」とかかれています。なお法華経を守るとされる三十番神でいくと北野大明神の日でもあります。

・八日は薬師如来の日です。仏像図鑑には「八日薬師如来。増無縁八に曰く、『大慈大悲光明を照らす、良に法薬を苦の衆生に与う故に瑠璃光を稽首す』と。(薬師如来は東方浄瑠璃世界の教主にして、薬師瑠璃光如来、大医王仏ともいう。菩薩の時十二大願を発し、病気を除き、諸根を具足させ、解脱へ導くという。一般に左手に薬壷、右手は施無畏印をとり、日光、月光菩薩を脇侍とする)」とあります。
・九日は大通智勝佛の日です。仏像図鑑には「大は空、通は仮、智は中道にして一心三観なり。(三千塵点の昔に出現して法華経を説いた仏で、法華経傾城喩品第七では、大相劫、好成世界に出現し、十六王子がいた。魔軍を破し終わった後、十小劫の間坐し続け、悟りを得たという。成道後、四諦や十二因縁を説いた。また八千劫の間法華経を説き続けた佛である。なお十六王子の十六番目は釈迦佛である。)」とあります。ご真言は「 おん まか びじゃに やじゃにゃ のうびぶう そわか」です。四国55番南光坊の御本尊でもあります。
・十日は日月灯明佛の日です。法華科注に曰く「日はこれ慧なり、月はこ定なり、定慧はこれ自行の徳、灯明はこれ化他の徳なり。また日月灯は三智なり。」と(二万の(最後)灯明佛には八人の王子があり、皆出家した。父の灯明佛が無量義経を説くのを聴いた後、妙光菩薩(文殊)に教えを受け八人とも成仏した。また八番目に成仏した仏を燃灯佛といい、釈迦に授記した仏という。)
・十一日は歓喜佛の日です。経に曰「歓喜地に住し、よく衆生を度するが故に名ずく」と。(歓喜佛はおそらく古代インドにおける歓喜天(聖天)のこととおもわれる。歓喜天は印度古代神話でヴィナーヤカの王といわれ、魔性の代表であった。後に仏教にとりいれられてからは、逆に魔性を排除する重要な神とされる)。歓喜天は聖天様とされ、ご真言は「オン キリク ギャク ウン ソワカ」聖天様の縁日としては1日、3のつく日、15日、16日など寺により違います
・十二日は難勝佛の日です。佛像図鑑には「経に曰『智悲行徳の余尊に勝るが故に名ずく』と」とあります。
・十三日は虚空蔵菩薩の日です。
仏像図典には「維摩経に曰『実相の慧蔵虚空の如し』と。十王経に曰く『三十三歳の忌佛』と、経に曰く、『一切香集世界におわします。』と。」(福と智の二蔵が無量なことが虚空に等しく広大無辺ということから虚空蔵という。胎蔵曼荼羅虚空蔵院の中尊で、五智宝冠をいただき、右手に智慧の宝剣、左手に福徳の蓮華と如意宝珠を持つ)。ご真言は「ノウボウ アキャシヤ キャラバヤ オンアリキャ マリボリソワカ」
・十四日は普賢菩薩の日です。
大王経に曰く「普はこれ一切の義、賢はこれ最妙の義なり」と。十王経に曰く「四七日の忌佛なり」と。(佛の理、定、行の徳は普く賢固であるから、普賢はこれらの徳を司るとする。六牙の白象に乗る像で知られるが、密教では胎蔵中台八葉院の東南にあって、左手は剣を立てた蓮華、右手は三業妙善の印。)ご真言は「オン サンマヤ サトバン」
・十五日、阿弥陀仏 称賛浄土経に曰く、「その中に尊います。無量壽および無量光となずく」と。(西方極楽浄土の教主。Amitābha(無量光佛)Amitaayu(無量光佛)という、最初のAmita(阿弥陀)は無量の佛を意味している。過去久遠劫に法蔵比丘が四十八願を起し、仏のもとで修業し、願を成就させて阿弥陀仏となったもの。仏説無量寿経では有名な 「設我得佛 十方衆生 至心信樂 欲生我國 乃至十念 若不生者 不取正覺 唯除五逆誹謗正法」 (たとい我、仏を得んに、十方衆生、心を至し信楽して我が国に生まれんと欲うて、乃至十念せん。もし生まれずは、正覚を取らじ。唯五逆と正法を誹謗せんをば除く。 )というところがでてきます。
ご真言は「オンアミリタテイセイカラウン」
三尊形式のときは観音様と勢至菩薩が脇侍として左右にいらっしゃいます。
なおこのほか十五日は水天様(ご真言はオン バロダヤ ソワカ)や妙見様(秘蔵記には「此の菩薩を五字文殊と称し」とあります)の日ともされます。 妙見菩薩は尊星王・妙見尊星王・北斗妙見菩薩ともよばれ、北極星を神格化したものです。真理を見通すとされるためこの名があります。このため眼病祈願のほか、航海の道標北極星の化身ということもあり、航海安全などを祈願します。さらに国土擁護、怨敵退散、福寿増長の菩薩とされ、妙見菩薩を本尊とする尊星王法は天台宗寺門派最大の秘法とされます。そのお姿は二臂や四臂のものの他、俗形束帯像、童子・童女形像などもあります。四臂像では筆と紀籍(紙)を持ちますが、これは人間の生死の籍を司ることをあらわすといわれています。ご真言は「オン・ソジリシュタ・ソワカ」です。
・十六日は陀羅尼菩薩の日です。「講演法儀にいわく「陀羅尼菩薩はすなわち観音なり」と。」
・十七日は龍樹菩薩の日です。「佛祖統紀に曰「十三世龍樹菩薩は南天竺梵志の裔なり、佛世を去ってのち七百年に出ず、始生の日樹下にあり、龍宮に入り、はじめて成道を得る故に龍樹と号す」と。」
(『般若経』で強調された「空」を、無自性に基礎を置いた「空」であると論じて(「中論」)お釈迦様の「縁起」を説明し、後の大乗仏教に決定的影響を与え、八宗の祖師と称されます。また真言宗では「龍猛」とよばれ、真言八大祖師の第一祖であり、浄土真宗では七高僧の初祖とされ「龍樹菩薩」・「龍樹大士」と尊称されています。一説には六百年の長寿を保ったとされます。)

また十七日は千手観音様の縁日とするところもあります。千手観音様のご真言は「オン・バザラ・タラマ・キリク」。
・十八日は観音様の日です。観音経抄に曰「機感相と応の始と末を観察するを観と号し、観るところの境界を世音と称す」と。(観音菩薩は衆生が救いを求めると直ちに救済する菩薩で、密教では胎蔵界の中台八葉院・蓮華院・釈迦院に位置する。

(観音様は般若心経の最初に出てきますし、観音経もよく読まれます。このなかで「一心称名。観世音菩薩。即時観其音声。皆得解脱」とありますように観音様は衆生の苦悩を自在に見抜き救っていただけるので観自在ともいわれます。講でよく参拝する護国寺の本堂には観音様の三十三の変化のお姿があります。私も観音様を拝み続けてありがたいおかげを次々と頂きました。ほんとうにやさしい有り難い仏様です。)

また8のつく日は鬼子母神の日ともいわれます。鬼子母神はインドでは、安産、子育ての神として祀られ、日本でも密教の盛行に伴い、小児の息災や福徳を求めて、鬼子母神を本尊とする訶梨帝母法が修せられたりしています。ご真言は「オン・ドドマリ・ギャキティ・ソワカ。」
・十九日は日光菩薩の日です。経に曰「薬師佛の左脇士なり、天にあっては日天子と号す」と。(薬師如来の十二の誓願を説く「薬師瑠璃光如来本願功徳経」不空の「薬師如来念誦儀軌」などの儀軌には薬師浄瑠璃浄土に於いて最上位の菩薩とされています。薬師如来の左脇におまつりされます。また「薬師本願経」では瀕死の病人に対して薬師如来を拝み四十九遍経を読経し四十九の灯火と五色四十九尺の旗を建てる事により快癒すると言われます。東大寺、薬師寺、神護寺等多くの寺におまつりされています。)
京都万福寺では毎年此の日に後水尾法皇忌がとりおこなわれているようです。
・二十日は月光菩薩の日です。「經に曰く「薬師佛の右脇侍なり、また月灯大士と号す。月天子なり。」と」
・二十一日はお大師様の日です。お大師様は承和2年(835)旧暦3月21日高野山で「虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば我が願いも尽きなん」
とおっしゃり入定されました。三十日秘仏では21日は無尽意菩薩の日になっています。
「大品にはすなわち無尽なりと明かす、大集経には八十無尽門を明かす。(無尽意は無量慧、無尽慧菩薩とも訳される。賢劫十六尊の一尊で、金剛界曼荼羅三摩耶会等の外壇北方五尊のうち西側に配される。娑婆世界にあって無尽無余の衆生を救うという誓願をたてたことにより、この名称がつけられた。)」

・二十二日は聖徳太子の日です。聖徳太子は622年旧暦二月二十二日薨去されたとされます。そういう意味で二十二日は聖徳太子の日としてもいいと思います。御真言は「1、如意輪観世音菩薩御真言『オン・バラダ・ハンドメイ・ウン』(聖徳太子は如意輪観世音を本地とするため。オン・ハンドメイ・シンダマニ・ジンバラ・ウンも可。)
に加えて 2、『南無帰命頂礼聖徳太子救世(ぐぜ)菩薩』」です。三十日秘仏では施無為菩薩の日です。「内証観世音菩薩なり。(施無為菩薩は施一切衆生無畏菩薩ともいい、一切衆生のあらゆる怖畏憂患を抜除することを本願とすることから、この名称がつけられた。また形像は右手は施無為印をとり、左手は金剛拳をとって膝の上におき、赤蓮華上に坐している。)」とあります。
・二十三日は大勢至菩薩の日です。「大勢至菩薩は極楽浄土の補処の菩薩として観音とともに阿弥陀如来の脇侍として随う。」
・二十四日は地蔵菩薩の日です。「地蔵菩薩は釈迦入滅の後、弥勒佛が五十六億七千万年後に出現するまでの無佛時代に現れ、六道の衆生を救う菩薩である。」
・二十五日は文殊菩薩の日です。「華厳音義に曰く、「曼殊室利という、釈して妙徳といい、また妙吉祥ともいう。」「智慧の体現として獅子の上に坐す。」
・二十六日は薬上菩薩の日です。「薬上菩薩は薬王菩薩と共に良薬を衆生に施して身心の病を治す菩薩で、薬王薬上経に依れば妙荘厳王(瑠璃光照如来の像法時代の名)の二人の子が薬王と薬上であった、とされる。」
・二十七日は盧舎那仏の日です。「盧舎那仏は新訳に毘盧遮那佛といい、光明は十方に遍照し、無限の寿命を保ち、三世常恒の説法をおこなう仏身である。また毘盧遮那を法身、盧遮那を報身、釈迦を応身とする」
・二十八日は大日如来の日です。「大日如来は摩訶毘盧遮那の訳で、大いなる光明の意、真言密教では大日経・金剛頂経の教主、胎蔵・金剛両界の主尊である。」
・二十九日は薬王菩薩の日です。「山応院の御釈にいわく、「薬王はすなわち不動すなわちこれ大通智勝示現なり。」「薬王菩薩は一切衆生に良薬を施し、病を治す菩薩で、法華経では前世は香油を飲み身を焼いて仏を供養したとされる。」
・三十日は釈迦如来の日です。
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