「安らぎへの道・ブッダの言葉 http://blogs.yahoo.co.jp/nrg46644/50579027.html」に、森繁久彌 の「 心を高く悟りて俗に還る 」という話が載っていました。
「俳優の 森繁久彌氏は、 「 私は 熱心な 仏教信者でもありませんが ・・・ 」、と 記しながら、青年漁師との交流と エピソードを紹介しています。
・・・北西太平洋の マリアナ沖の漁場は 魚の宝庫です。 戸田港の漁師たちは台風が それるという天気予報を信じて、マリアナ沖で操業中でした。しかし 天気予報がはずれて 台風に襲われ、あっという間に 百数十艘の漁船の四分の三ほどが転覆し、当時十六歳の青年も 海に放り出されました。気がつくと 木切れにつかまっていました。逆巻く波が押し寄せ、木切れとともに二十メートルも 体が持ち上がったかと思うと、一気に波の底に落ちてゆきます。木切れだけは放すまいと、必死に抱きかかえていました。一昼夜がすぎ、「 もう限界だ。」と 眠りかけたとき、船が視野に入り、救助されました。デッキで二時間ほど眠り、目が覚めてみると(大徳寺発行の「紫野20・7」では、顔に何者かが乗ってきて『お前を助けてくれた木切れをさがせ』と命令したとなっています)。デッキは海から引き揚げられた死体でいっぱいです。 青年は、「 ない ! 木切れが ない ! 」、と気づき、船長のところに飛んで行って、聞きました。「 オレが つかまっていた木切れは、どうなったでしょうか ? 」、「 木切れ ? そんなもん知らん。 お前、助かっただけでも喜べ。 太平洋のド真ん中で、木切れが見つかるわけがないだろ。 無理だ。この馬鹿者。」、と 取り合ってくれません。 ―― 三時間、四時間と 必死に頼み続けました。船長は 青年の目をのぞいて、
「 ・・・・・ よし、わかった。 引き返してやろう 。 」と言って、青年が救助された地点に 船が戻ったとき、「 おい、お前の気の済むまで探せ。」、と 船のサーチライトを点けてくれました。 夜の海面に光りが走ります。 船長と青年は波間を凝視しました。 三十分、四十分とサーチライトの光が海を照らし出します。そのとき、波間に ピカッと光るものがありました。即座に船長は、「 船を回せ ! 」、と指示を出し、船は光を帯びたものへ近づいていきました。 青年と船長は同時に、「 筏 ( いかだ ) だ !! 」、と 叫んでいました ・・・・・ 。
―― 青年は 盃を手に、遠くを見つめながら、「『森繁さん、筏には 息も絶えだえの六人の漁師が乗っていました。 ボクは、仏さまが存在するということを認めますよ。』と 話し終わりました。」
「俳優の 森繁久彌氏は、 「 私は 熱心な 仏教信者でもありませんが ・・・ 」、と 記しながら、青年漁師との交流と エピソードを紹介しています。
・・・北西太平洋の マリアナ沖の漁場は 魚の宝庫です。 戸田港の漁師たちは台風が それるという天気予報を信じて、マリアナ沖で操業中でした。しかし 天気予報がはずれて 台風に襲われ、あっという間に 百数十艘の漁船の四分の三ほどが転覆し、当時十六歳の青年も 海に放り出されました。気がつくと 木切れにつかまっていました。逆巻く波が押し寄せ、木切れとともに二十メートルも 体が持ち上がったかと思うと、一気に波の底に落ちてゆきます。木切れだけは放すまいと、必死に抱きかかえていました。一昼夜がすぎ、「 もう限界だ。」と 眠りかけたとき、船が視野に入り、救助されました。デッキで二時間ほど眠り、目が覚めてみると(大徳寺発行の「紫野20・7」では、顔に何者かが乗ってきて『お前を助けてくれた木切れをさがせ』と命令したとなっています)。デッキは海から引き揚げられた死体でいっぱいです。 青年は、「 ない ! 木切れが ない ! 」、と気づき、船長のところに飛んで行って、聞きました。「 オレが つかまっていた木切れは、どうなったでしょうか ? 」、「 木切れ ? そんなもん知らん。 お前、助かっただけでも喜べ。 太平洋のド真ん中で、木切れが見つかるわけがないだろ。 無理だ。この馬鹿者。」、と 取り合ってくれません。 ―― 三時間、四時間と 必死に頼み続けました。船長は 青年の目をのぞいて、
「 ・・・・・ よし、わかった。 引き返してやろう 。 」と言って、青年が救助された地点に 船が戻ったとき、「 おい、お前の気の済むまで探せ。」、と 船のサーチライトを点けてくれました。 夜の海面に光りが走ります。 船長と青年は波間を凝視しました。 三十分、四十分とサーチライトの光が海を照らし出します。そのとき、波間に ピカッと光るものがありました。即座に船長は、「 船を回せ ! 」、と指示を出し、船は光を帯びたものへ近づいていきました。 青年と船長は同時に、「 筏 ( いかだ ) だ !! 」、と 叫んでいました ・・・・・ 。
―― 青年は 盃を手に、遠くを見つめながら、「『森繁さん、筏には 息も絶えだえの六人の漁師が乗っていました。 ボクは、仏さまが存在するということを認めますよ。』と 話し終わりました。」