福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

五輪九字明祕密釋・・5

2018-07-05 | 諸経
五輪九字明祕密釋・・5
五輪の名、又た頂輪・面輪・胸輪・腹輪・膝輪と名ずくるは行者によって名を立つ。金剛界にはva@m(ばん)字の一字を以て變じて五輪を成じ、胎藏界にはaあ字の一字をもって五輪を現ず。或は共じてavarahakha(あばらかきゃ)をもって五輪世界を成ず。若し行者に約せば白淨信心をもって五輪種子と為す。白淨信心とは淨菩提心なり。是れ則ち如實知自心なり。竪には十重の淺深を顕し横には塵數廣多を示す(「秘密曼荼羅十住心論」に典拠)。

余、生國を出し時の如きは、三毒の罪業、羝羊の妄想に任せば三途八難に堕すべし。實の如く自心の惡業を知って無明の父母の家を別れし已來、更に名利の心を捨てて、深く無盡莊嚴恒沙の己有を信ず。是れ則ち一重の如實知自心なり。周處(しゅうそ)が三害を離れ未生の三途を悔いがしごとき(呉の周処は乱暴者で地元で虎・蛟と並び三害と嫌われていたがそれを知り反省し大成した、「周処除三害」の故事は京劇の演目にもなっている。)は、實の如く持齋節食の理を知って時時八關(はっかん・八斉戒)を受け、倍倍(ますます)成果を願ふ。然かりと雖も紫宸殿は前生の舊所、五欲の妙境は眼前に厭ふ所と、實の如く自心を知る。初禪の高臺は過去の慢所、離生喜樂(色界を4分割した「四禅天」のうちの初禪天の境地)は久しく受けて新ならずと實の如く嬰童の自心を知り、漸く火宅の薪を知って聲縁の室に眠る。實の如く二乘の小滅を知って生空の理に味著することなし。他縁の廢詮(秘密曼荼羅十住心の第六他縁大乗心(菩薩))は性に差別あり。覺心の不生(第七は覺心不生心、一切空とする三論宗)獨空慮絶す。實の如く有病空疾を知って三大の遠路を出で、芥石けしゃくの盡きんことを期す。法華の本佛(久遠実成の仏)は猶ほ五百(法華経寿量品のいう五百塵点劫)の始めを指し、華嚴の果佛は亦た不談の説に留まる。是れ分の如實知自心にして未だ滿の如實知自心ならず。五相五智の祕密、智界理界の莊嚴、自覺本初の住心、是れを自然覺と名け、又た如實知自心と名く。深義更に問へ。

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