エマソンの神学部講演より

善は実在です。悪は欠落に過ぎず、絶対的なものではありません。・・悪はすべて非存在です。善は絶対的で実在です。善意を備えている程度に応じていのちを備えていることになります。
この霊こそ萬物の生まれてくる共通の根源だからですが、名称は様々で、愛とか、正義とか、節制とか、そのさまざまな現れ方に応じて呼ばれています。・・
萬物は同じ霊から生じ、その霊と一致して萬物が働いています。立派な目的を追求している限りその人が強い人間でいられるのは自然全体の強さのお蔭です。・・法則の中の法則であるこのものを認識すれば、精神の内部にある種の情感が目覚めます。これは私たちが宗教的情感と呼ぶもので、わたしたちに最高の幸福を与えてくれます。・・いわばそれは山の空気です。世界に香気を満たすものです。・・空と山脈を荘厳なものにしてくれます。いわば星たちの歌うもの言わぬ歌です。・・この情感はみずから神聖であり、触れるものを神聖にする力をそなえています。まさに人間の至福です。人間を限りないものにしてくれるのです。この情感を通してはじめて魂はおのれ自身を知るのです。・・彼が義務を果たさなければならないと言うとき、愛が彼を暖めてくれるとき、天から警告を受けて彼が立派な行為を選ぶとき、その時、深淵な旋律が『至高の智慧』から流れ出て彼の魂の中を廻りゆきます。－－その時彼は礼拝することができ、おのれの礼拝により大きく成長することができます。・・・この想念は信仰深く瞑想的な東洋では人々の精神の最奥にいつも宿っていました。・・ヨーロッパが神聖な衝動を持つことができたのはいつも東洋の精神のおかげでした。・・（エマソンの神学部講演より）