一期大要秘密集・・14
八に、決定往生の用心(この用心、最も大要なり。極悪の人往生を得)。
是れ則ち最後臨終の用心なり。知識五人を召して、猶能く事を約束すべし。もし別願あって好んで端座せば意楽に任ずべし。唯し如来既に頭北面西にして涅槃に入り給ふ。釈種の軌儀良に之を仰ぐべし。我も頭北面西に臥さん。(鹿の屈して臥すが如く左の膝を少し促めよ。鹿の字、恐らくは獅子の音語)。眼を本尊に懸けて合掌して五色を取れ。若しは本尊の印を結び真言念仏の三密怠らざれ。是れ則ち決定往生の相状なり。若し此の威儀に住せば一切
呵責すること勿れ。中間に杜哥(社哥)を示せば心散乱あらんか。知識の人人、鳴らずして静かに居せよ。(知識用人の外、同室に入るべからず。中に就いて酒肉五辛を食はば早く之を出すべし)。我れ若しは念仏若しは本尊の真言を唱へば聲を細うして付け誦し、思ひ忘れん所を勧めしむべし。禅定に入るが如くして往生を遂げんことを願ふ。一人の智識は(この一人は必ず有縁の道心を用ゆべし。病者この一人に於いて能引接の観音の想をなすべし)。病者の面、少し南に依って(臍に當る)近く座して眼を病者の面門、印相に懸け、慈悲の心に住して以て将護すべし。能引の心を発して同音に念仏せよ。(若し病者音へ乙ならば智識,甲にせよ。念誦・経論等兼日儲け置いて知識時に臨んで示せ)一人の智識は(久修練行の人を用ゆべし)、病者の東少し北に依って(頭に當る)三尺許りを去って住止すべし。眼を病者の迹、枕の左右に懸けて不動尊を祈念して慈救の呪を満つべし。天魔外道の障礙を避けて臨終正念にして其の心に安住し、悪鬼邪神の留難を除いて極楽に往生せん。彼の願を成ぜしめよ。一人の智識は病者の北方にありtれ、(若し依る所なくんば便宜の所にあり)、金を鳴らすの時、微音高聲、病者の心に随へ。二人の知識は便に随って居止して要事を待つべし。若し時に合殺せば四人同音せよ。此れ則ち五智の菩提を求むる臨終の軌儀なり。若し病苦身に逼って東西を知らずんば當に頭北面西に臥さしむべし。摩水、心を破って善悪を弁えずずんば手を合掌せしめて面を仏に向かはしむべし。又無記すでに現じて分別の心なく陰魄いちなり、残って猶し熟眠するがごとく余気纔に通じて宛も死人に似たり、若し此のときに當らば出入の息を見て目を暫くも捨てず病者の息の延促を以て知識の息の延促に合わせて病者と知識と息を同時に出入して必ず出る息ごとに念仏を唱へ合わせて我に代わって我が往生の深きたのみを助けよ。一日二日乃至七日断息を期とす。捨てて去ることを得ざれ。人死する作法は必ず出息んき終わる。終わるたびの息を待って當に唱え合わさんと欲ふべし。若し唱え合わすことを得れば、四重五逆等の罪を消滅して必ず極楽世界に往生することを得、所以如何とならば病者余気を断ちて虚しく命を捨つるとき、知識、弥陀を呼んで実に利生を請へば本願、縁に趣いて必ず引接を垂れたまふ。又當に観念すべし、口より南無阿弥陀仏(梵字)の六字を唱へ出だせば病者の引く息に従って即ち病者の口に入って皆日輪の相を現じて各の六根の処に出でて紅頗梨の光を放って六根の罪障の闇を破す。この時に病者、無始以来の生死長夜の闇晴れて日相を見(日想観の文義さらに問へ。)即ち往生を得ん。経に、五逆の罪人も若し知識に遭へば将に往生することを得、と説き給へり。これこの謂ひか。若し我れ正念に住せば知識必ずしも何の用ぞ。邪念と無記とを現ぜば當に彼の時の苦を助くべし。
八に、決定往生の用心(この用心、最も大要なり。極悪の人往生を得)。
是れ則ち最後臨終の用心なり。知識五人を召して、猶能く事を約束すべし。もし別願あって好んで端座せば意楽に任ずべし。唯し如来既に頭北面西にして涅槃に入り給ふ。釈種の軌儀良に之を仰ぐべし。我も頭北面西に臥さん。(鹿の屈して臥すが如く左の膝を少し促めよ。鹿の字、恐らくは獅子の音語)。眼を本尊に懸けて合掌して五色を取れ。若しは本尊の印を結び真言念仏の三密怠らざれ。是れ則ち決定往生の相状なり。若し此の威儀に住せば一切
呵責すること勿れ。中間に杜哥(社哥)を示せば心散乱あらんか。知識の人人、鳴らずして静かに居せよ。(知識用人の外、同室に入るべからず。中に就いて酒肉五辛を食はば早く之を出すべし)。我れ若しは念仏若しは本尊の真言を唱へば聲を細うして付け誦し、思ひ忘れん所を勧めしむべし。禅定に入るが如くして往生を遂げんことを願ふ。一人の智識は(この一人は必ず有縁の道心を用ゆべし。病者この一人に於いて能引接の観音の想をなすべし)。病者の面、少し南に依って(臍に當る)近く座して眼を病者の面門、印相に懸け、慈悲の心に住して以て将護すべし。能引の心を発して同音に念仏せよ。(若し病者音へ乙ならば智識,甲にせよ。念誦・経論等兼日儲け置いて知識時に臨んで示せ)一人の智識は(久修練行の人を用ゆべし)、病者の東少し北に依って(頭に當る)三尺許りを去って住止すべし。眼を病者の迹、枕の左右に懸けて不動尊を祈念して慈救の呪を満つべし。天魔外道の障礙を避けて臨終正念にして其の心に安住し、悪鬼邪神の留難を除いて極楽に往生せん。彼の願を成ぜしめよ。一人の智識は病者の北方にありtれ、(若し依る所なくんば便宜の所にあり)、金を鳴らすの時、微音高聲、病者の心に随へ。二人の知識は便に随って居止して要事を待つべし。若し時に合殺せば四人同音せよ。此れ則ち五智の菩提を求むる臨終の軌儀なり。若し病苦身に逼って東西を知らずんば當に頭北面西に臥さしむべし。摩水、心を破って善悪を弁えずずんば手を合掌せしめて面を仏に向かはしむべし。又無記すでに現じて分別の心なく陰魄いちなり、残って猶し熟眠するがごとく余気纔に通じて宛も死人に似たり、若し此のときに當らば出入の息を見て目を暫くも捨てず病者の息の延促を以て知識の息の延促に合わせて病者と知識と息を同時に出入して必ず出る息ごとに念仏を唱へ合わせて我に代わって我が往生の深きたのみを助けよ。一日二日乃至七日断息を期とす。捨てて去ることを得ざれ。人死する作法は必ず出息んき終わる。終わるたびの息を待って當に唱え合わさんと欲ふべし。若し唱え合わすことを得れば、四重五逆等の罪を消滅して必ず極楽世界に往生することを得、所以如何とならば病者余気を断ちて虚しく命を捨つるとき、知識、弥陀を呼んで実に利生を請へば本願、縁に趣いて必ず引接を垂れたまふ。又當に観念すべし、口より南無阿弥陀仏(梵字)の六字を唱へ出だせば病者の引く息に従って即ち病者の口に入って皆日輪の相を現じて各の六根の処に出でて紅頗梨の光を放って六根の罪障の闇を破す。この時に病者、無始以来の生死長夜の闇晴れて日相を見(日想観の文義さらに問へ。)即ち往生を得ん。経に、五逆の罪人も若し知識に遭へば将に往生することを得、と説き給へり。これこの謂ひか。若し我れ正念に住せば知識必ずしも何の用ぞ。邪念と無記とを現ぜば當に彼の時の苦を助くべし。