十善法語巻第二不偸盜戒
安永二年癸巳十二月八日示衆
師曰。今日は不偸盜戒を説じゃ。華嚴經の中に。性不偸盜。菩薩於自資
財。常知止足。於他慈恕。不欲侵損。若物屬他。起他物想。終不於此。而生盜心。乃至草
葉。不與不取。何況其餘。資生之具とある。(大方廣佛華嚴經卷第三十四 十地品第二十六之一)
此が第二地離垢地の菩薩の心じゃ。菩薩の法。法として如是じゃ。此中性不偸盜と云は性は不改の義に名ずくる。いか様なる事有ても改まらぬを性と云。例を擧ていはば。火は煖性じゃ。水は湿性じゃ。此水の濕。火の煖は。いか様なる事有ても改らぬ物じゃ。此煖性の如く。此濕性の如く。菩薩は不偸盜の性じゃ。律門に。一比丘あり。一住處に安居す。鬼神あり。時々来て此處伏藏ありと告ぐ。是を世尊に白す。世尊曰く。此縁事あらば夏(げ)を移去べしと。(四分律卷第三十七にあり)。又毘舎佉母。祇園精舎に詣して。樹下に寶瓔珞を遺れ去る。此時下至浄人まで。心頭に係る者が無りしと。(四分律卷第十八にあり)。これじゃ。佛弟子たる者の風儀じゃ。菩薩は此佛弟子の風が其性を成就するじゃ。
安永二年癸巳十二月八日示衆
師曰。今日は不偸盜戒を説じゃ。華嚴經の中に。性不偸盜。菩薩於自資
財。常知止足。於他慈恕。不欲侵損。若物屬他。起他物想。終不於此。而生盜心。乃至草
葉。不與不取。何況其餘。資生之具とある。(大方廣佛華嚴經卷第三十四 十地品第二十六之一)
此が第二地離垢地の菩薩の心じゃ。菩薩の法。法として如是じゃ。此中性不偸盜と云は性は不改の義に名ずくる。いか様なる事有ても改まらぬを性と云。例を擧ていはば。火は煖性じゃ。水は湿性じゃ。此水の濕。火の煖は。いか様なる事有ても改らぬ物じゃ。此煖性の如く。此濕性の如く。菩薩は不偸盜の性じゃ。律門に。一比丘あり。一住處に安居す。鬼神あり。時々来て此處伏藏ありと告ぐ。是を世尊に白す。世尊曰く。此縁事あらば夏(げ)を移去べしと。(四分律卷第三十七にあり)。又毘舎佉母。祇園精舎に詣して。樹下に寶瓔珞を遺れ去る。此時下至浄人まで。心頭に係る者が無りしと。(四分律卷第十八にあり)。これじゃ。佛弟子たる者の風儀じゃ。菩薩は此佛弟子の風が其性を成就するじゃ。