第八、六十心
真理に違背するもの、悪業を行ずる第一住心の人が人倫を守り神を信ずる宗教心を生ずるに至ったのは、世間の善心の種子が漸く出生したからであるがいい苗を生育させるには穢草を除かなければならないように、世間の善心を漸次増長させついに如実に自心の大菩提を体得するにはこの善心とともに起きる妄心を取り除かなければならない。大日経にはこの妄心として六十心を説いている。
貪心・・悪法に順う。無貪心・・善法を求めぬ。瞋心・慈心・・偏愛からおこる小慈。癡心・智心・・分別の世界。決定心・・無慧の決定心。疑心・暗心・・教えを疑い憶測する。明心・・中正を得ない偏智。積聚心・・一つの方のみを学び他の法も同じと見る。鬪心・・他の法に対して是非を論じる。諍心・・自分の所念所作について是非取捨の念のやまぬこと。。無諍心・・是非ともに捨てて正法に住することのできぬもの。天心・・世間のことが意のままになることのみを念じて広大な仏果を求めぬこと。阿修羅心・・世間の快楽に耽着するこころ。龍心・・世間の財を貪り出世間の浄心をさまたげる心。人心・・世間の紛のことを思慮し法利を求めない。女心・・欲に随順するこころ。自在心・・自在天のように世間に自在を得ることを念願するこころ。商人心・・内外の学を兼修する。農夫心・・広く法門を聞き後で修業しようとかんがえる。法は聞くと同時に行ずべきもの。河心・・こころが常なきもの。陂池心・・名利等をもとめてあきないこころ。井心・・心を共住の人にも知らせまいとする。守護心・・自己の身心を守護することのみ念じ他をかえりみない。。慳心・狸心・・法を聞いても即時には行ぜず、恩徳を感じないもの。狗心・・少しの善法を聞いて満足する。迦樓羅心・・一人で行えない。鼠心・・離間語をなし或は他人の事業を破壊する。歌詠
心・・自心内に実証しない文句を美秒の音をもって人にいう。舞心・・小神通を得て不思議のことを現じようとする。撃鼓心・・ただ弁舌を習い他人に説法しようとする。室宅心・・自身のみを守ろうとする心。師子心・・あらゆることで人に勝ろうとする。フクロウ心・・日中なにもせず夜に行動するをいう。烏
心・・事に疑い警怖する。羅刹心・・善事を破壊するこころ。刺心・・事を為したのち常に不安。窟心・・長寿の為仙界に入ろうとする。風心・・散乱不在。水心・・正邪の別執を持ちて浄心を破壊する。火心・・はじめ猛進してもあとが続かない。泥心・・目の前のことも分別し記憶できない。顯色心・・識見なく善悪のことがらに転ずる。板心・・心が偏狭。迷心・・狂迷なこころ。毒藥心・・行為に方軌のない。羂索心・・因果を否定。械心・・禅定のみを偏修。雲心・・憂喜間雑のこころ。田心・・心の修養をせず身の資用と装飾にのみつとめる。鹽心・・分別の念をしだいにます。剃刀心・・出家の相に住するを至善とおもい心の無明を除かないもの。須彌等心・・高慢。海等心・・一切の勝事を己に帰す。穴等心・・発心の始めは戒を保つが後に守らない。受生心・・事の善悪を選ばない。猿猴心・・散乱躁動なるもの。
以上の妄心が生起したときにはこれを取り除く人は自然に浄菩提心の順ずることができる。
真理に違背するもの、悪業を行ずる第一住心の人が人倫を守り神を信ずる宗教心を生ずるに至ったのは、世間の善心の種子が漸く出生したからであるがいい苗を生育させるには穢草を除かなければならないように、世間の善心を漸次増長させついに如実に自心の大菩提を体得するにはこの善心とともに起きる妄心を取り除かなければならない。大日経にはこの妄心として六十心を説いている。
貪心・・悪法に順う。無貪心・・善法を求めぬ。瞋心・慈心・・偏愛からおこる小慈。癡心・智心・・分別の世界。決定心・・無慧の決定心。疑心・暗心・・教えを疑い憶測する。明心・・中正を得ない偏智。積聚心・・一つの方のみを学び他の法も同じと見る。鬪心・・他の法に対して是非を論じる。諍心・・自分の所念所作について是非取捨の念のやまぬこと。。無諍心・・是非ともに捨てて正法に住することのできぬもの。天心・・世間のことが意のままになることのみを念じて広大な仏果を求めぬこと。阿修羅心・・世間の快楽に耽着するこころ。龍心・・世間の財を貪り出世間の浄心をさまたげる心。人心・・世間の紛のことを思慮し法利を求めない。女心・・欲に随順するこころ。自在心・・自在天のように世間に自在を得ることを念願するこころ。商人心・・内外の学を兼修する。農夫心・・広く法門を聞き後で修業しようとかんがえる。法は聞くと同時に行ずべきもの。河心・・こころが常なきもの。陂池心・・名利等をもとめてあきないこころ。井心・・心を共住の人にも知らせまいとする。守護心・・自己の身心を守護することのみ念じ他をかえりみない。。慳心・狸心・・法を聞いても即時には行ぜず、恩徳を感じないもの。狗心・・少しの善法を聞いて満足する。迦樓羅心・・一人で行えない。鼠心・・離間語をなし或は他人の事業を破壊する。歌詠
心・・自心内に実証しない文句を美秒の音をもって人にいう。舞心・・小神通を得て不思議のことを現じようとする。撃鼓心・・ただ弁舌を習い他人に説法しようとする。室宅心・・自身のみを守ろうとする心。師子心・・あらゆることで人に勝ろうとする。フクロウ心・・日中なにもせず夜に行動するをいう。烏
心・・事に疑い警怖する。羅刹心・・善事を破壊するこころ。刺心・・事を為したのち常に不安。窟心・・長寿の為仙界に入ろうとする。風心・・散乱不在。水心・・正邪の別執を持ちて浄心を破壊する。火心・・はじめ猛進してもあとが続かない。泥心・・目の前のことも分別し記憶できない。顯色心・・識見なく善悪のことがらに転ずる。板心・・心が偏狭。迷心・・狂迷なこころ。毒藥心・・行為に方軌のない。羂索心・・因果を否定。械心・・禅定のみを偏修。雲心・・憂喜間雑のこころ。田心・・心の修養をせず身の資用と装飾にのみつとめる。鹽心・・分別の念をしだいにます。剃刀心・・出家の相に住するを至善とおもい心の無明を除かないもの。須彌等心・・高慢。海等心・・一切の勝事を己に帰す。穴等心・・発心の始めは戒を保つが後に守らない。受生心・・事の善悪を選ばない。猿猴心・・散乱躁動なるもの。
以上の妄心が生起したときにはこれを取り除く人は自然に浄菩提心の順ずることができる。