中国・黄山 『 始信峰付近 』 谷底から霧が湧き上がった瞬間。
フォトエッセイ ― 第九話 ― 山水画の世界の旅をする ①
「 開けんじゃねーよ! バーロー! 」。 そんな日本語、彼らに通じる訳がなく、かえって売り子たちを 引きつけるマトになってしまったようです。 窓にはカギがあっても 閉まらないのが中国製の 観光バスの特徴 (?) で、数人がかりで窓を開けようとするのを、祈る気持ちで押さえていました。
「 サルノコシカケ 」 と称して、あやしい土産品を手に、現地の人たちが売り歩いています。 あちらのバス、こちらの車と、ツエや竹細工を持った売り子たちが、車の窓をこじ開けて、威勢よく話しかけてきます。 だいたい、どこの観光地もこんな感じです。
『 飛来石 』 岩山の上に巨大な石が。 少し傾いて見えるので、いつ倒れるか心配です。
「 どこからか飛んで来たとしか思えない 」 という意味で 「 飛来石 」 と、呼ばれています。
私には 「 どこからか飛んで来た 」 とも思えませんでした。
あるとき私は、中国・黄山 ( こうざん ) にいました。 上海より西へ300キロ。 山水画の世界を愛でる旅です。 上海から国内便で杭州 ( こうしゅう ) へ。 外国人観光客のほとんどいない 小さな村を散策しながら、バスで3日かけて 黄山に着きました。
掛け軸など 山水画のモチーフは、おもに 2種類に分けられます。 こんもりとした山と川が 描かれている絵は 「 長江・桂林 ( けいりん ) 」 の風景。 そして、岩山と松と霧が描かれているものは、この 「 黄山 」 がモデルになっています。
バスを降り、売り子たちをかき分けるように ロープウエイ乗り場へ。 中国人の乗るロープウエイと、外国人の乗るロープウエィは 別になっています。 外国人は優先的に乗れますが、高い料金を徴収されます。 それは ロープウエイに限らず、宿泊代も鉄道の運賃も、外国人は割高なのです。
国を豊かにするには外貨を稼ぐこと。 となると、外国人観光客を たくさん呼ぶのが一番手っ取り早い。 というわけで、中国では外国人向けの マンモスホテルが増殖中です。
清涼台より 『 獅子岩 』 を望む 中国の観光客は皆、手のひらにサルを乗
せるポーズをとって記念写真を撮っていました。
ロープウエイを降りてから 山の上にあるホテルまでは、長い石の階段が続きます。 この石段が四方に伸びていて、周遊できるようになっています。
東側の眺めが良く、日の出の見晴し台になっている 「 清涼台 」。 日没の眺めの良い 「 排雲亭 」。 巨大な石が天から降って来たような 「 飛来石 」。 そして、仔猿が雲海を眺めているような形の岩など、奇岩が点在し、岩壁にこびり付くように 松の木が生えています。
霧が流れ、峰々の連なりを見え隠れさせ、日が差し込むと、奇岩、奇松が雲海に浮かび上がる・・・というのが、このツアーの宣伝文句。 実際には、雲に閉ざされて 何も見えずに帰るグループも いると聞きます。
電力事情が悪く、停電でロープウエイが動かない事もあるようです。 現に、前日のグループは 「 ロープウエイが動かなかったので、3時間かけて歩いて降りてきた 」 と、言っていました。
国内線のプロペラ機から見下ろして、「 ほら、仙人が手を振ってるよ 」 なんて冗談が出るほど、誰もが期待していた黄山。 まあ、どんなハプニングが起きても、楽しい中国旅行ですから・・・。
< 写真 および本文の 無断転載を 堅くお断りいたします >
フォトエッセイ ― 第九話 ― 山水画の世界の旅をする ①
「 開けんじゃねーよ! バーロー! 」。 そんな日本語、彼らに通じる訳がなく、かえって売り子たちを 引きつけるマトになってしまったようです。 窓にはカギがあっても 閉まらないのが中国製の 観光バスの特徴 (?) で、数人がかりで窓を開けようとするのを、祈る気持ちで押さえていました。
「 サルノコシカケ 」 と称して、あやしい土産品を手に、現地の人たちが売り歩いています。 あちらのバス、こちらの車と、ツエや竹細工を持った売り子たちが、車の窓をこじ開けて、威勢よく話しかけてきます。 だいたい、どこの観光地もこんな感じです。
『 飛来石 』 岩山の上に巨大な石が。 少し傾いて見えるので、いつ倒れるか心配です。
「 どこからか飛んで来たとしか思えない 」 という意味で 「 飛来石 」 と、呼ばれています。
私には 「 どこからか飛んで来た 」 とも思えませんでした。
あるとき私は、中国・黄山 ( こうざん ) にいました。 上海より西へ300キロ。 山水画の世界を愛でる旅です。 上海から国内便で杭州 ( こうしゅう ) へ。 外国人観光客のほとんどいない 小さな村を散策しながら、バスで3日かけて 黄山に着きました。
掛け軸など 山水画のモチーフは、おもに 2種類に分けられます。 こんもりとした山と川が 描かれている絵は 「 長江・桂林 ( けいりん ) 」 の風景。 そして、岩山と松と霧が描かれているものは、この 「 黄山 」 がモデルになっています。
バスを降り、売り子たちをかき分けるように ロープウエイ乗り場へ。 中国人の乗るロープウエイと、外国人の乗るロープウエィは 別になっています。 外国人は優先的に乗れますが、高い料金を徴収されます。 それは ロープウエイに限らず、宿泊代も鉄道の運賃も、外国人は割高なのです。
国を豊かにするには外貨を稼ぐこと。 となると、外国人観光客を たくさん呼ぶのが一番手っ取り早い。 というわけで、中国では外国人向けの マンモスホテルが増殖中です。
清涼台より 『 獅子岩 』 を望む 中国の観光客は皆、手のひらにサルを乗
せるポーズをとって記念写真を撮っていました。
ロープウエイを降りてから 山の上にあるホテルまでは、長い石の階段が続きます。 この石段が四方に伸びていて、周遊できるようになっています。
東側の眺めが良く、日の出の見晴し台になっている 「 清涼台 」。 日没の眺めの良い 「 排雲亭 」。 巨大な石が天から降って来たような 「 飛来石 」。 そして、仔猿が雲海を眺めているような形の岩など、奇岩が点在し、岩壁にこびり付くように 松の木が生えています。
霧が流れ、峰々の連なりを見え隠れさせ、日が差し込むと、奇岩、奇松が雲海に浮かび上がる・・・というのが、このツアーの宣伝文句。 実際には、雲に閉ざされて 何も見えずに帰るグループも いると聞きます。
電力事情が悪く、停電でロープウエイが動かない事もあるようです。 現に、前日のグループは 「 ロープウエイが動かなかったので、3時間かけて歩いて降りてきた 」 と、言っていました。
国内線のプロペラ機から見下ろして、「 ほら、仙人が手を振ってるよ 」 なんて冗談が出るほど、誰もが期待していた黄山。 まあ、どんなハプニングが起きても、楽しい中国旅行ですから・・・。
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