大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 3月30日 蕎麦屋

2013-03-30 18:19:30 | B,日々の恐怖







     日々の恐怖 3月30日 蕎麦屋








 私は大昔から蕎麦が大好きです。
彼方此方にある蕎麦の名店の食べ歩きもしたことがあります。
 それで、家から車飛ばして10分ぐらいの所に、『安い、だからあまり文句言うな』な感じの蕎麦屋がありました。
そこがある日、『今日は本気で蕎麦を打ちます』という貼り紙を玄関に貼っていました。
それを人伝にメールで聞きつけた私は、そのメール送ってきたヤツともう一人の計3人で、その本気の蕎麦を食べに行く事にしました。
 そして店に入ると、張り紙のせいか人が妙に多かったです。
それで、蕎麦を注文。
出てきた蕎麦を食べたのですが、それがどういうわけか冗談抜きで本当に旨いのです。
今まで地味に色んな蕎麦の名店とやらに出入りしたりしましたけど、そこの蕎麦すらも凌駕するほどに旨いのです
『ぼくのかんがえたさいこうのおそば』をそのままリアルに抜き出したような、そんな人知を超えた旨さでした。
 あまりの旨さに、蕎麦湯を持ってきた店の人を捉まえて、

「 あの・・・、あの張り紙は・・・?」

と聞いたら店長が登場しました。
その店長が言うには、

「 上手く言えないけど、今日はなんかいつもと違う感じがした。
今日は旨い蕎麦が作れると思った。」

との事です。
これからは食べたいときに最高の蕎麦が食べられるなと、私は喜びと満足感を胸にその日は帰りました。

 ところが、その日の夜、その店長は脳内出血で入院。
そのまま退院する事無く死亡してしまい、結局その店もその日を最後に閉店しました。
そして、今では月極駐車場になっています。
それで、その破壊的な旨さの蕎麦は、『○○○(店名)の奇跡』という一部ローカルな伝説を残し終わってしまったのです。
















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