大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 7月21日 うさぎ

2014-07-21 20:13:54 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 7月21日 うさぎ



 去年の夏、飲み会の帰りに、柴犬くらいの大きさの半透明のうさぎが、私を追い抜いてピョンピョン跳ねていった。
酔ってたからか怖くはなく、

「 あれーもしかして不思議の国のアリス的な?
うふふ、うさぎさん待って~!」

とか、むしろワクワクしながらアホみたいに追いかけていった。
 そしたら、私が住んでるアパートの部屋のドアをすり抜けて入って行った。
慌てて鍵を開けて入ろうとしたら、

“ あれっ、鍵開いてる?
閉め忘れたか?”

とりあえず中に入ると、リビングでうさぎがこっち振り返ってる。
私が部屋に入ったのを確認して、今度は押し入れの襖の中に消えていった。
 襖を開けるとうさぎはいなかった。
かわりに、見知らぬ男性が汗だくで寝ていたというか気絶していた。
気が動転して隣の部屋の女性に助けを求めて、要領を得ないながらもうさぎのことも含めて何とか説明した。
女性が警察やら救急車やら手配してくれて、警察に事情を聞かれる前に、

「 うさぎのことは言わない方がいいかも・・・。」

と言ってくれた。
警察には、

「 家に帰ったら鍵が開いてて、押し入れに知らない男の人がいた。」

とだけ言った。
 後日、警察の人が、

「 あの男の人は私が仕事から帰る時間を以前からチェックしていて、その少し前に鍵を壊して部屋に忍び込み、押し入れに隠れていたが、熱中症になって気を失っていた。
救急車を呼ぶのがもう少し遅かったら命に関わっていたかも・・。」

と教えてくれた。
やっぱり怖いので、実家に戻って暮らすことにした、会社からは遠くなったけど。
 あの日、私が帰るのが遅れて、男性が亡くなっていたらもっと厄介なことになっていたと思う。
大きなうさぎはそれを教えてくれたのかわからないけど、それから一度も見ていない。











童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------