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日々の出来事 2月19日 浅間山荘

2018-02-19 09:00:00 | A,日々の出来事_






  日々の出来事 2月19日 浅間山荘






 今日は、浅間山荘事件が起こった日です。(1972年2月19日)
浅間山荘事件は、連合赤軍が長野県軽井沢町にある河合楽器の保養所”浅間山荘”に、管理人の妻を人質にして10日間立て籠った事件です。
 連合赤軍は栃木県真岡市の銃砲店を襲い、銃と弾薬を手に入れて逃走を続けていました。
1972年2月19日、連合赤軍の5人は軽井沢にある無人のさつき荘に侵入、台所にあった食料を食べて休息していたところへ、捜索中の長野県警機動隊が近付き、これに対して発砲しました。
その後、連合赤軍は近くにあった浅間山荘に逃げ込み、人質をとって立て籠もります。
 警察は、浅間山荘への送電の停止、騒音や放水、ガス弾で圧力を掛けるとともに、親族による説得をしましたが、連合赤軍はこれに発砲する始末でした。
最終的には立て籠もって10日後の2月28日に、クレーン車に吊り下げた鉄球で浅間山荘の壁と屋根を破壊し、正面と上から突入して制圧する作戦が決行され、犯人は全員検挙、人質は無事救出されました。
 そして、鉄球が浅間山荘を破壊する映像や機動隊が突入するところはテレビ中継され、人質が救出された瞬間は視聴率90%弱を記録しました。
また、突入当日の10時間余りの生中継の平均視聴率は50.8%を記録しています。
これは今も報道特別番組の視聴率の最高記録となっています。




オマケ
 ついでに言うと、機動隊員に配られた弁当は非常に寒い現地では凍ってしまい、代わりに日清のカップヌードルが配られていました。
この高い視聴率のもと、テレビ中継でカップヌードルを美味そうに食べる機動隊員達の姿がテレビに大きく映し出され、それまであまり売れていなかったカップヌードルの売り上げが驚異的に伸びました。
カップヌードルが世間に認められた瞬間です。






















☆今日の壺々話












学校にスゴイヤツいる?









俺の学校では、中学の時、水筒にお湯入れてカップヌードル食って、永谷園のお吸い物吸ってる人がいてびびった。

俺は水筒にめんつゆ入れて、ざるとソバ持ってきて水道ですすいで食ってたよ。

垂直跳び測定で骨折したヤツ。

生徒会副会長兼体育祭実行委員長兼図書委員長兼剣道部のヤツならいた。

小学生の頃、虫の交尾ビデオみせながら「大体オスが上ですね」と解説していた先生に向かって、「人間は?」と聞いた女の子がいました。あれは素だった。

学校から自宅までの片道28キロを、雨の日も雪の日も、チャリで通ってるヤツがいた。
しかも三年間、皆勤賞だったらしく卒業式で表彰されていた。

雨が降ってもいないのに、毎日、長靴で登校して来る先輩。

野球の練習中、バットが頭に直撃して、血を噴き出しながらも、笑顔で「大丈夫っすよ」って言った直後、意識不明になったY君(三日後に無事生還)。

修学旅行でシンガポールに行った時に、インドネシア系の現地人から、何やら親しげに話かけられて、連れさられそうになったT君。

制服着てんのに、先生だと間違われるヤツ。

眉毛を剃って注意されたヤツがマッキーの極太で、眉を書いて一日中すごしてたヤツ。

勉強全然できないのに百人一首はほとんど暗記してるヤツ。




















浅間山荘







 炎が、暖炉の中で灰色の煙を吐き出しながら燃え続けていた。
赤い光が漏れて、辺りを照らし出している。
 そこは小さな山荘だった。
もう、何年も放置されていたのだろう。
窓ガラスはひび割れ、もはや役目を果していない。
大気には埃と黴が満ちて、壁や朽ち果てた家具には蜘蛛の巣があちこちに絡み付いている。
 何処かから漏れた隙間風が、人のすすり泣くような声を立てながら、寒気を部屋に吹き込んでいた。
暖炉の前には、一組の男女がいた。
その片割れ、ブレザーに身を包んだ少女は中腰で座り込み、炎を見つめていた。
銀色のフレームとレンズが赤い光を受けて煌いている。
彼女は手馴れた手つきで薪を放り込み、火ばさみで奥へと押し込んだ。

「 先輩、案山子の語源って知ってますか?」

 少女は燃え盛る炎を見つめながら、どこか慰めるような声で背後に立つ少年に呟く。
先輩と呼ばれた彼、学生服の上から一枚コートを羽織った少年は呆然とその場に立ち尽くしているようだった。
 彼の虚ろ気な視線は生気が無いように淀んでいる。
だが、彼の視線もまた、炎の中に向けられていた。

「 知らんよ。意味なんてあったのか。」

押し堪えたような、怒りを含んだ声。
それを聞くと、少女は小さく苦笑しながら答えた。

「 嗅がし……臭いを嗅がせるって意味。
私達の知る案山子は人形を作って、鳥獣の視覚を騙して作物を防御していますが、本来、案山子は獣肉を焼き焦がして串に刺し、肉の臭いで鳥獣を遠ざけるためのものだったらしく、その名残が今でも残っているそうなんです。」

彼女は、少し得意げな声で言葉を続ける。

「 勿論、実質的な効果はあったんでしょう。
でも私は最初からそれを目的としてやったとは思えないんです。
作物を荒らした鳥獣への恨み、それがあったからこそ獣を捕まえて串刺しにして焼き殺すという残酷な手段を選んだと思うんですよ。」
「 生贄、とも考えられるんじゃないか?」

言葉を縫って発せられた少年の問いに、彼女は頷いた。

「 勿論ですよ。
豊穣神には生贄がつきものですからね。
当時は肥料を与えれば作物が育つ、なんて合理的に考えてたわけじゃないでしょうから、命を奪い、その血の力を神に捧げる事で、作物を守ろうと思っていたのかもしれませんね。」
「 そうか。」

 少年は答えると、おもむろコートに手をかけ、ゆっくりと脱いだ。紺色のブレザーには所々、黒々とした染みがこびり付いて、固まっている。

「 ところで、俺たちの案山子は誰から、何を守るんだ?」
「 警察から、私達を。それ以外何があるんですか?」

 少女は再び薪をつかみ、炎の中に投げ入れた。
暖炉の中では、薪と共に黒く焼き爛れた肉の塊が転がっている。
そこから溶け出した皮脂は黄色い火花を放って爆ぜ、更に赤く部屋を染め上げていった。

「 まぁ、所詮は案山子、気休めですけどね。」

自嘲するような暗い笑いを浮かべて、彼女は次の薪に手を伸ばした。




















トンネル








 1週間前に長野と群馬の県境にある山に登山に行ったんだ。
頂上で朝日が見たかったから、2時前には山の麓まできていた。
もうその山は4度目の登山だったから、ナビも設定しないで山道に入った。

 荒れた一本道の山道で5kmほどいくと山荘と登山道があるので、いつもその駐車場に止めるんだ。
夜で暗かったけど、見慣れた看板もあったし、まったく心配せず進んでたんだけどいっこうに目的地に着かなかった。
一本道だから迷う事ないけど、新しく山道できて迷ったのかと思って携帯のマップみたんだ。

その時計を見たら0時30過ぎだった。

“ あれ?俺さっき麓では2時だったように見えたんだけど、寝ぼけてたかな?”

と思いながらGPSと登山用の地図で場所を確認して、間違ってないように見えたから一本道を進んだんだ。
でも、正直このときもっと自分を疑っていればって今でもちょっと後悔してる。
で、その後も車でゆっくり道を進んでいったんだ。

30分くらいかな?なにか建物が見えてきたんだよ。

“ おぉ、山荘ついたかな?”


とおもったんだけど、なぜか車止めのフェンスがあって通れなかったから、そこに車止めて徒歩で行く事にしたんだ。
でも、そこで俺が見た建物は見慣れた山荘なんかじゃなかったんだよ。

 そこにあったのは駅。
しかも電気が1カ所だけついてて、どこから伸びてるか暗くて見えないけど、まだ使われてそうなさびてない線路が横を走ってた。
 どうやら俺は線路沿いを車で走ってたみたいなんだ。
もちろん電車なんか今まで見た事ないし、こんな所電車が通ってるはずも無いと思った。
その時は貨物車の非常待機線かなにかかと思った。
 それでまぁ、気になったし駅に近づいてみたんだよ。
駅は単線の駅でコンクリートで出来ていて、そこまでボロくはなかった。
灯りは1つだけ、でもこれが今にも消えそうな電灯で写真は取ったけど、うまく映らなかった。
 駅には看板があった。
ひらがなで何か書いてあったけど、擦れていて錆もあり良く読めなかった。
とにかくひらがなの駅名だった。
ホームの端っこから先は山になっていて、トンネルが通っていた。

 それで、そのトンネルを覗いていたんだ。
やっぱり興味あるからね。
そしたら、トンネルの奥の方から太鼓の音みたいなのが聞こえたんだ。
持ってたライトで照らしてみたものの真っ暗で何も見えないし、太鼓の音は段々近くなってきたんだよ。

 人がいるなら道も聞けるし待ってみようと思って、 「すみませーん」とトンネルに向かって声をかけたんだ。
するとピタッと太鼓の音が止まって辺が静かになったんだ。
 次の瞬間良い歳こいて小便ちびりそうなくらいびびった。
何となく振り向いたら後ろに人が立ってたんだよ。

「 どうされました?」って聞かれたから、ちょっと怖かったけど、
「 道に迷ってしまって・・・」と今までの経緯を話してみたんだよ。

 でも、よく見るとその人の装備が変なんだよ。
まず、ライトを持ってなかった。
こんな夜中に登山するのにライト持ってないのはおかしい。
というか素人でも持ってくる。
 つぎに服装。
10月も中旬になるとフリースやダウンきるもんなんだけど、その人は見た所10年以上前のレトロなまるでスキーウェアのような格好だった。
そんな厳寒期用の装備で登る人は珍しい、と思いながらも地図を見ながら説明してくれたんだ。

 その人が言うには、このトンネルを徒歩で抜けると村が有るから今日はそこで泊まって、日が明けてから登り始めればいい、という事だった。
まぁそうしようかと思って、トンネルに入っていこうとした時、携帯に現地で待ち合わせをしてた大学の同期から電話がかかってきた。

“ こんな山奥でも携帯繋がる時代で良かった。”

と思いながら、今の状況を話すと、

「 そんなのあり得ない!
絶対トンネルなんか入ったらダメだ!!!
とにかく車に戻れ!」

とスゴイ強く言われた。

「 迎えにいくから、GPSの位置情報送って。」

と言われたので送ったら、友達は言いにくそうに

「 これ、ホントに合ってる?」

と聞いてきたから、読み上げてもらって確かめたんだ。
そしたら、

「 え、お前の場所、今ココだよ?」

 俺も訳が分からなくなってその時は混乱したけど、要するに友達のいる位置情報とおれのいる位置情報がほとんど隣接した点にいるという事。
GPSの誤差はかなり小さいので車のクラクションで位置がわかるって言うから、そのスキーウェアの人に断って車に戻ったんだ。
 で、クラクションを鳴らした。

「 え、聞こえないけど?」

と友達。

「 いやいや、冗談辞めてくれよ。
俺一人でちょっと怖いんだから。」
「 マジだって!」

と少し喧嘩気味なやり取りをしてたんだ。
すると、さっきのスキーウェアの人が車の所まできて、

「 もう時間だから行かないと。
あなたも僕ときた方が良いですよ。」

となんか強引に車から降ろそうとしたんだよ。
 なんか変だなと思って、

「 いや、友人が近くにいるみたいなんで、車で待機しておきます。」

って言ったんだ。
ここでついて行かなくてホントに良かった。

 それで、携帯で電話をかけながら待ってたんだ。
電池が切れるみたいな下手なネタとは違って、登山の時は4回フル充電できる外部バッテリーもってきてたからよかった。
その間にスキーウェアの男の人はちょっと連絡手段ないか、村に確認しに行くってトンネルの中に消えていったんだ。

 それから30分くらいかな?
結局また2時過ぎになるまで動かないで待ってたんだけど、友人から、

「 結局近くにいるはずなのに見当たらない。
ほんとに線路なんてあるの?」
「 この辺電車なんか通ってないはずだぞ?
寝ぼけてるんじゃない?」

と疑われながらも、こっちとしてはなにもできない。

 ちょっと小便と思って、外に出たらトンネルの脇にまだ山道が続いてるんがわかったんだ。
もう何もできないしGPSも携帯も地図もあるから行ってみるかと思って、荷物をまとめて進んでみることにした。

 登山するくらいだから夜中の森の中を一人で進むのには全く抵抗なかったし、カシミールの地図と高度計もあるので確実に山道を上っているのはわかってたんだ。
山ならいつかはほかの山道に合流するだろうと思いとにかく上を目指した。
 歩くこと25分、進んだ距離は1.3km、高度は確実に50mほど上がった。
でも、なぜか俺の車がそこに見えたんだよ。
白い車だからライトあてるとすぐにわかる。

“ え、おかしいな?”

と思って高度計確認すると元通り、カシミールのログだけは残ってたけど、確実に地図は進んでる。

 でも、時間はなぜか2時過ぎ。
つまり時間が完全に進んでない。
アナログ時計も携帯の時計も一切進んでない。
さすがにこうなると、わけがわからず混乱していた。

 山っていうのは迷った時は基本的に戻ってはいけないんだ。
というのは登れば何かしらの頂上にはつくけど、下るとどこに行けるかわからない。
山と森がつながっている場合は遭難する確率が非常に高いから。

“ でも、もうとりあえず来た道を戻ろう!それしかない!”

と思って車に乗ってどうにか旋回しようとしてたんだ。
もちろん山道みたいな狭い道だから旋回は至難の業。

 で、バックビューモニターみたらスキーウェアのあいつがいたんだよ。
急いでたからギアバックにいれっぱなしで、フェンス壊した。
アクセルに入れなおして急いで山道を降りた。
でも、ここまでで記憶がない
 どうやら俺失神したみたいで、次に気づいたら山荘まで運び込まれてた。
警察とか救急車もきてた。
しかも、なぜか手足が重度の凍傷にかかってたみたいで即入院。
いまも足の痛みで車イス生活してる。
 治るには治るみたいだけど、後日警察から届いた私物の中に「厳寒期用のスキーグローブ」が混じってたんだ。
さすがに恐ろしくなった。

 たぶんスキーウェアの人のモノなんだよ。
なぜか車にあったらしい。
処分したいのはもちろんなんだけど、今特に問題も起きてないしどうすればいいか困ってる。
でも家族のこと考えるとどーにかしたいんだ。
だから足が治ったら、11月にもう一度同じ場所に行ってくる。
なんだか行かなきゃイケない気がするんだ。



















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2月18日(日)のつぶやき

2018-02-19 03:07:27 | _HOMEページ_
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