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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 2月3日 家の裏

2020-02-03 15:16:05 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 2月3日 家の裏




 友人の家の裏には、小さな祠がある。
なにを奉ったものなのか、家族の誰も知らない。
いつからあるのかもわからない。
ただ、毎日の世話の仕方だけが伝わっている。
 世話といっても簡単なもので、朝夕に掃除をし、握り飯と茶を供え、手を合わせる。
それだけのことだ。
てっきりなにかご利益があるのかと思ったが、友人曰くそういう話は伝わっていないらしい。     
ただ、毎日欠かさず世話をしろとだけ、昔から言われているのだ。 
 ずいぶん昔の話だが、友人は一度、世話を欠かしたことがある。
子供のころ、母に言われて世話にいったのだが、面倒なので掃除をせず、握り飯と茶を供えて手を合わせた。
 それも形だけで、すぐに家に戻ろうとした。
すると、祠がごとごとと揺れた。
 何事かと振り返ってみると、祠の中から女がこちらを睨み付けていた。
血走った目や、ぐしゃぐしゃに絡まりあった髪の毛が恐ろしかったという。
 泣きながら家に逃げ帰ると、母にしこたま怒られた。

「 ちゃんとお世話せんからよ!」

 結局、母と一緒に祠まで戻り、今度はきちんと掃除をして手を合わせた。
祠は何事もなかったように静かだった。

「 それって、結局なにが奉られてるんだ?」

私が聞くと、

「 さあ・・・・・・?」

友人は首をかしげた。
 世話さえしてれば、なんの問題もない。
ならば、いちいち確かめる必要もないだろう、というのが友人の主張だった。

「 そもそも、記録なんて残ってないからね。
中身を確かめようと思うなら、祠を開けてみるくらいしか方法がない。」
「 開けるつもりはないのか?」
「 あまり気は進まないよ。」

知人はそこで初めて、少し嫌そうな顔になった。

「 だって、開けたら出てくるかもしれないだろ?」









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