日々の恐怖 1月31日 マンション(3)
「 そうなのよ、ほかの人も2階で止まるって言ってたわ。
それにうちの旦那が2階が気持ち悪いって言うの。
変なものを見たって。」
と声を潜めて教えてくれた。
「 え?変なものって?」
こう言う話の好きな私は当然詳細を聞こうとしたが、
“ 何かモヤのようなもの。”
とのことで、それ以上の情報は聞き出せなかったが、少し言葉を濁していた様に思えたのが気になった。
そんな事を聞いてしまった後は、2階で止まるエレベーターが怖くて仕方なく、乗り込んだら即『閉』ボタンの上に指を乗せて待機するようになった。
それから1ヶ月も経っていなかったと思う。
管理人の旦那さんの方が病気で帰らぬ人になってしまったのだ。
それから数ヶ月で管理人は変わり、今は明るくお喋りなおじさんが、マンションの管理に通ってきてくれている。
そして不思議な事に、管理人が変わってからは、エレベーターが2階で止まることはなくなった。
奥さんが言っていた、
“ 変なもの。”
とは、病気が見せたものなのだろうか。
最近夫が階段を使った際に、
「 2階は何だか嫌な雰囲気がするから行くなよ。」
と言っていました。
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