日々の恐怖 10月7日 私の話(4)
そこで私が夕方、お堂でお経の練習をしていた時、何か自分の木魚以外の音がするというか、木魚の、
” ポクポク・・・。”
という音ではなく、
” ドンドン・・・。”
という音だった。
” おかしいなぁ・・・、もうお堂は閉めたから誰もいないはず・・・・?”
と思って、音のする方を調べてみると、どうやら地下の位牌堂から音が聞こえた。
” あれ、地下に檀信徒か誰かいるのか・・・?”
と思って、地下に行くと、青白い顔をして口から血を出した男が、寝そべって転がりながらゴロゴロ回転していた。
ドンドンと言う音は、その男が転がりながら壁にぶつかっている音だった。
私は、
「 すぐ別の職員を呼びますから、転がらないでおとなしく待っていてください!」
と言うと、すぐに事務所に行き、別の職員に、
「 青白い男が口から血を流して苦しそうに転がっている、救急車を呼んで・・・・。」
というと、何もなかったかのように、
「 ああ大丈夫、すぐに消えるから。」
と当たり前のように返事をした。
この時私は初めて、
” ひょっとすると、あれって幽霊・・・・?”
と考えた。
確かにこの時間は、檀信徒どころか部外者もいないはず。
なぜなら、私が位牌堂を見回りして、お堂を戸締りしたからだ。
でも、青白い顔をしている以外、普通の人が血を流している様にしか見えなかった。
そして、戻って見ると、男は完全に消え失せていた。
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