日々の恐怖 7月30日 地味な子(2)
それから数年後、とある縁があって私はM子と再会し、一緒に私の家で飲むことになった。
相変わらずM子はケバファッションのままで、更に整形もしたようで顔も少し変わっており、もう過去のM子の面影はほとんどなかったように思う。
私は、どうしてそんなイメチェンをしたのか尋ねてみた。
M子ははじめは誤魔化していたが、
「 Rさん(私)には話した方がいいと思うから・・・・。」
と、酒を飲みながら、ぼつぼつとイメチェンの真相を話してくれた。
ある日の深夜、バイトを終えて自宅に向かっていたM子は、帰路の途中にある小さな山で奇妙な人と遭遇した。
それは白い着物のような服を着た中年の男性で、片方の手には人形のようなもの、もう片方には金槌を握って山中の歩道をうろついていたそうだ。
白い着物の男はM子に気付くと、こちらに向かって走りだしたので、M子は必死に自転車をこいで逃げた。
その時のM子は、あの男はおかしな恰好をした不審者か、病院かどこからから逃げ出した人だと思っていたらしい(白い着物は病院着っぽくも見えたので)。
M子はしばらく扱ぎ続けていたが、上り坂だったこともあり体力が尽き、後ろを振り返って男がいないことを確認してから、立ち止まって休憩することにした。
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