日々の恐怖 12月27日 エレベーター(5)
会社の建物内で実施した他の社員の送別会の時に、酒を注ぎに行った際、
「 最近、早く帰るようにしたんですか?
夜に会わないですよね。
ひょっとして、何かヤバいもんでも見たんですか?」
「 えっ、ああ、いつものように22時頃までやってるよ。
もう階段じゃなくエレベーターを使ってるんだ。
でも、やばいものって何のこと?」
上司がちょっと険しい顔で聞いてきた。
酒の席だったので、冗談めかして昔のエレベーターであった事を少しだけ話した。
話を聞いた上司が、
「 この後、外で2人で飲もう。」
と誘ってきた。
上司は自分より一つ年下で話しやすかったのでOKして、送別会終了後、近所の飲み屋で落ち合って再度飲みだした。
上司が着任当初にエレベーターではなく、薄暗い階段を使用していたのは、一応エレベーターは物販の運送用で、人のみの使用は禁止が決まりの為だった。
最初はお互いの馬鹿話、そしてだんだんと仕事の話へ進んだ。
そこで自分の体験した事をかなり詳しく聞かれ、すべてを話した。
上司はこの建物であった事件を家でも会社からも知らされていなかったようで、根掘り葉掘り聞かれた。
「 実は階段を使わなくなったのには訳がある。
いつものように階段を使って下に向かう途中、3階の踊り場で変なものを見た。」
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