日々の恐怖 1月9日 音(2)
10時17分、スマホの明るさを最小にして、ゲームをしながら待っていると、
” カチャッ!”
と鍵が開く音が聞こえた。
俺は慌ててスマホを消した。
いつも通り、
” ガラガラガラガラ・・・。”
と扉が開いた。
出てきた爺さんの異様な光景に、俺は息を飲んだ。
爺さんは、扉に手を添えて顔だけを玄関の外に、ぬっと出していた。
それだけなら、防犯の為に外を見てるのかなと思うだけだろうが、表情が明らかにおかしい。
恐怖を覚えるほど、満面の笑顔だ。
” 表情筋疲れないの・・・?”
ってくらいに、口の両端がつり上がっている。
妙に冷静になって、爺さんついにボケたのかと思っていたら、小さく、
” ベタンッ・・・・。”
という音が響いた。
周りを見てもそんな音を出す様なモノは見た当たらない。
でも、続けて、
” ベタンッ・・・・、ベタンッ・・・・、ベタンッ・・・・。”
と、音は俺の前を過ぎて、隣の家の中に入っていった。
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