日々の恐怖 11月22日 裏拍手(3)
Aは以前にもまして寡黙になっていた。
何か話しかけられたら頷いたり、相槌を打ったりするが自分からはしゃべらないのだ。
「 何頼む?」
とBが聞いたが、頷くばかりで何が欲しいか言わないので、
「 まぁ、とりあえず生中頼んどくか!いらなきゃ俺が飲むしね。」
と頼んだ生中にも、つまみにも一切手をつけていなかった。
“ なんだか様子がおかしいな・・・。”
とは、俺ばかりでなく皆考えていたと思う。
例えば、仕事がうまくいっていなくて鬱病とかになってるんではと俺は心配した。
俺はなるべく明るい調子で話しかけた。
「 しかしさ~、A君めっちゃ見た目若いよな!
うらやましいよ~!
俺なんてオッサンになっちゃって・・・。」
しかしAは曖昧に笑って頷くだけだ。
すると、何人かが流れに乗って話しかけた。
「 いやそれ思ったわ!
全然変わってないじゃーん。」(笑)
「 老けないタイプっているんだねー!」
Aは相変わらず微笑んでいるだけだ。
幹事のBも盛り上げようと言葉を発した。
「 つーか、Aって石仮面でもかぶったァ~?」
それは、決して馬鹿にしようとか、本気でそう思っていったわけでなく単なるギャグである。
童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ