日々の恐怖 4月30日 電話ボックス(6)
彼は、
“ ヤバイ・・・・・。”
と思ったが、それでも、力を振り絞って、
「 何?どうしたの、警察呼ぶ・・・?」
と震える声で返事した。
しかし、
「 ねぇ・・・・。」
と聞くだけで、他のことは一切口にしない。
彼が、もう一度、
「 何?どうしたの、警察呼ぶ・・・?」
と聞き返しても、そのことには返事せず、
「 ねぇ・・・。」
とだけ続けていた。
彼は、ただ固まったまま、正面の上の窓を見ていた。
下の窓は怖くて見られない。
彼は、
“ 覗き込まれたらどうしよう・・・。”
と思ったからだ。
彼が見ている上の窓からは、夜の闇の中に明るく照明が点いた誰もいない電話ボックスだけが見えていた。
彼が固まったそのまま、
“ ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ・・・・・・。”
と心の中で呟いていると、状況に変化があった。
見ている正面の上の窓の窓枠、下辺から黒い髪の先が徐々に見え始めた。
“ えっ・・・・・?”
地面からは2メートルはある。
頭の先など見える筈はない。
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