新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 パリ編㉚ 夜でこそ浮かび上がる パリの歴史が凝縮したルーブル美術館の庭

2024-10-11 | 心ふるえる風景 パリ編

 カルーゼル橋近くのホテルに滞在した パリ旅行の時

 夜 ルーブル美術館の前を通った

 昼にはそれほど注目していないものが 

 照明の下で見ると 改めて目に入る状況に気づいた

 

 美術館の入口となる ガラスのピラミッドが光を放っている

 イオン・ミン・ペイの設計による 現代のピラミッドだ

 1989年の完成時は 賛否両論が巻き起こったものだが 

 今はすっかり定着して 何の違和感もない構造物になている

 

 その背後に照明を受けてそびえるのが 美術館ドゥノン翼

 ファザードに刻まれた 女性像(カリアティード)が

 夜空にすっくと立ちあがるのが 見渡せる

 

 手前には騎馬像 誰の像なのかわからなかったので

 昨夜夕食を摂ったレストランで ウエイトレスさんに聴いてみたら

 「ルイ14世よ」と即答してくれた

 パリの人たちならだれでも知っていることなのかと 妙に感心した

 

 ルイ14世は 17世紀後半から18世紀にかけて 

 フランス絶対王政の絶頂期に君臨し 太陽王と称された国王だ

 

 10世紀の城を何度も増改築した 中世の代表ともいえるルーブルの建築

 その後のフランスの繁栄を支えた 君主の像

 そして現代の造形を象徴する ガラスの構造物

 それぞれの時代を 思い浮かべることの出来るものが

 パリ中心部に 一堂に会していることの面白さを味わう夜だった

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心ふるえる風景 パリ編㉙ セーヌ河畔近くで 宙に舞うスタイリッシュダンサーを発見!

2024-10-08 | 心ふるえる風景 パリ編

 セーヌ川左岸の国立美術学校を過ぎて 少し細い道を歩いていると

 頭上に見事なシルエットが 浮かんでいるのを見つけた

 若い女性が長い髪をなびかせながら 優雅にダンスをしている

 抜群のスタイル!

 

 多分何かの看板で ダンススクールでもここにあるのかも

 ちょうど 雲一つない晴天の午後だったので

 そのシルエットが 一層黒く印象的に際立っていた

 

 各地を旅していると 店の看板がバラエティに富んでいて

 つい立ち止まって見入ってしまうことが しばしばある

 

 例えばモーツアルトの生まれ故郷 ザルツブルクの通り「ゲトライデガッセ」

 精肉店は豚 洋服屋は裁ちバサミ ワインセラーはブドウなど

 それぞれの職業を表す看板が 街路にせり出すようにたくさん設置されていた

 いまでもとても楽しかった思い出が 残っている

 

 パリの看板は 職業を直接というよりは

 いかにスタイリッシュに見せようかという 一ひねりがきいていて

 いかにもパリらしい センスに出会う事が多い気がする

 

 

 

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心ふるえる風景 パリ編㉘ 空の青 街のオレンジ 澄み切ったモンマルトルの夜

2024-10-05 | 心ふるえる風景 パリ編

 モンマルトル巡りのホテルは 地下鉄ブランシェ駅近くの通りに決めた

 部屋は5階だが 小さなバルコニーが付いていた

 夜シャワーを浴びた後 そのバルコニーから通りを眺めた

 

 通りのビルはすべて7階建てで高さが統一され スカイラインが一直線に伸びる

 この日は晴天 陽が沈んでも澄み切った空の青が広がり

 透き通る清涼感が 夜の街を包み込んでいる

 

 窓から見下ろす通りは 見事にオレンジに満たされ

 走り過ぎる車のライトが 幾筋もの光線を描いている 

 なのに不思議なほど 騒音は聞こえてこない

 

 パリの中心街から 少し離れた地区とはいえ

 これほど落ち着いた黄昏の時間が訪れるとは 想像もしていなかった

 帰りがけにスーパーで買った 白ワインを傾けながら

 しばし更け行くモンマルトルの夜を ほろ酔いと共に楽しんだ時間だった

 

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心ふるえる風景 パリ編㉗ 愛の言葉に埋め尽くされた モンマルトルの壁

2024-10-01 | 心ふるえる風景 パリ編

 モンマルトル・アベス駅前にある ジャン・リクチュス小公園

 小さな広場だが そこに大きな青い壁が設置されている

 遠くからではなにやら落書きがたくさん といった雰囲気だったが

 近づいて見ると全く違った風景が現れた 「ジュテームの壁」

 落書きと思われたのは 実はすべて愛のメッセージだった

 

 ジュテーム(愛しています)を表現する 世界中の言葉が記され

 合計311の愛の言語が 40㎡の溶岩タイルの壁一杯に展開する

 見ると大部分は横に展開する文字なので 日本語はすぐに見つかる

 「愛しています」はいいけれど

 「君が好だ」はちょっと送り仮名が変 日本人じゃない人が書いたんだろうか

 といっても 誰でもそこに書き込んだり消したりは出来ない

 すでに完成品として 陳列されているものだ

 

 2000年に アーティストのフレデリック・バロンが構想した作品だとか

 2000年と言えば ロシア大統領にプーチンが当選し

 パレスチナ騒乱が拡大して 世界十大ニュースにランクされた

 

 今もこれらの問題が 以前にも増して深刻になってきている

 愛とは男女の会いに限らず 人類愛をも意味するもの

 世界が愛の力で平和を取り戻す日は 来ないのだろうか

 

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心ふるえる風景 パリ編㉖ テルトル広場周辺は どちらを向いても絵画の匂いに満ち溢れている

2024-09-28 | 心ふるえる風景 パリ編

 朝早く出発したので モンマルトルの丘に到着してもまだ開店前の店が多い

 その中で観光客を目当てに早々に店を開けたのが 絵画のポスターなどの土産物店だった

 若い女店員がさっそうと 店の前に土台となる木枠を据えて 

 そこに絵画作品を 次々と並べていく

 

 作品はロートレック モネ ルノワールなど 

 まさにモンマルトルで成長していった作家の 作品を中心に幅広い

 陽光を浴びたその場所がカラフルで まるで花畑のように眩しい

 

 そういえばこの店のすぐ後方にある カフェ「LE CONSOLATE」には

 ロートレックらが集まって 芸術論議を闘わせた場所だし

 少し西に行けばピカソ マティス モディリアーニらが暮らした

 スタジオ「洗濯船」があった所に 行き当たる

 

 「洗濯船」と呼ばれた古いビルは 灯かりも暖房もなく

 強風の夜には古びた梁や板が ギーギーときしんだ

 それはまるでセーヌ川に浮かぶ洗濯場が 波に揺れているようだと名付けられた名前だ

 そんなボロアパートから 若き画家たちは世界へ飛び出していった

 

 似顔絵描きたちの営業場所である テルトル広場からもすぐ近く

 この周辺はどちらを向いても 絵画の近現代化を形成してきた一つの中心地

 それだけに絵の土産物店の オープン一番乗りは

 モンマルトルにふさわしい姿だなあ と妙に感心した光景だった

 

 

 

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