新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

「ヴォガロンガ」上 手漕ぎボートレースで、ヴェネツィアの運河が舟で埋まった

2017-06-27 | イタリア・ヴェネツィア

 ヴェネツィアの初夏の風物詩となっている「ヴォガロンガ」を見ることが出来た。ヴォガロンガとは、直訳すれば「長漕ぎ」。サンマルコ広場前の運河からスタートして、遠く離れた離島を往復して帰ってくる長距離ボートレース。といっても参加条件はエンジンを使わない手漕ぎのボートであるということのみ。しかも、順位は付けずにとにかく完走しさえすればOKというゆったりとした、いわば‟水上市民マラソン”。

 今年で43回目を数え、2000隻を超えるボートがイタリア国内だけでなくヨーロッパ各国から参加して盛大に行われた。

 スタートは午前9時。でも「早めにいかないと出発地点付近は人で一杯になるよ」との宿のオーナーのアドバイスで、準備体操中のクルーなどを見ながら8時30分にドルソドーロ地区の端、税関の岬に出かけた。

 サンマルコ広場よりもこちらの方が間近にボートを見られるだろうとの予想からだ。スタート30分前でももうラグーナにはたくさんのボートが集まり始めていた。

 岬の先端から周囲を見渡すと、正面にはサンマルコの鐘楼が。

 その右手にはサンジョルジョ・マッジョーレ教会。

 さらにレデントーレ教会の大きなクーポラも見える。
 
 集まったメンバーを見てみよう。いかにも仲がよさそうな夫婦カップルチーム。


 単独参加のイケメン。

 何かの扮装だろうか、マント姿の青年。

 かと思えば、牛の角をつけた女性。

 麦藁帽のスポーティレディ。

 この子は中学生?

 こちらはどう見ても小学生だよね。

 立ち漕ぎボートで参加の男女カップル。

 次第にボートが運河を埋め尽くすほどに増えてきた。

 はるか彼方に、ヴィットリオエマヌエーレ2世像が見える。

 やがて9時。主催者が「ビバ、ヴェネツィア!」と叫んでいよいよレースが始まった。と言っても多くのボートはオールを上げて一緒に「ビバ」と叫びながら漕ぎ方を始めて行く。

 そして往復32キロの長距離レースが始まり、8000人を超える参加者たちの歓声が大運河に響き渡った。

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ドイツ人商館屋上からの眺めは、新発見が体験できる

2017-06-24 | イタリア・ヴェネツィア
 新装なったドイツ人商館。でも貧乏旅人の私には高級ブランドは無縁。お目当ては屋上に設けられた展望スペースだ。
 ちょうどリアルト橋のたもとにあるだけに、カナルグランデ(大運河)が大きくカーブを描く地点からの展望が望める。

 そのため、鉄道駅(サンタルチア駅)方面とアカデミア橋方面との、運河の2つの流れが両方とも1か所でながめられるという絶好のポイントになっている。

 まずは鉄道駅側を見てみよう。真っすぐに伸びる運河が見通せる。

 バポレット(水上バス)の停留所がある所がカ・ドーロ。その手前に大きな手が水中から飛び出しているが、これは開催中のビエンナーレの出品作だそうだ。

 もう少しアップしてみる。建ち並ぶ建物の外観は建築当時のたたずまいを変更できない規則になっているので、ヴェネツィア共和国時代の面影さえ連想できそうだ。

 次にリアルト橋からアカデミア橋側に向かって左側に延びる運河。

 この水辺にはバポレットのリアルト停留所が見える。

 存在感たっぷりに並ぶ建物群は、いずれも数百年前に建てられたものばかり。

 正面にそびえる塔は、位置関係から考えるとサン・ジャコモ・リアルト教会の鐘楼かな。

 後を振り返ると、見えました。サンマルコ聖堂のビザンチン様式のクーポラとそびえ立つ鐘楼。

 この丸屋根と、その後ろに見えるマッジョーレ教会の鐘楼とが同じアングルから見えるのは、初めての経験。この展望台が絶好の位置にあることかが実感できる。

 午後8時を過ぎてようやく西の空が赤くなってきた。

 ヴェネツィアの夕陽はいつ見てもほれぼれしてしまう。

 こうした、安らかな日没の情景が、ひいては500年前のこの地でティツィアーノやティントレットらも見つめていたのだろうと思うと、何か思いを共有できたような錯覚に陥る瞬間があった。


 
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リアルト橋横のドイツ人商館が、ショッピングセンターに変貌していた

2017-06-20 | イタリア・ヴェネツィア

 今回のヴェネツィア訪問は4年ぶりだったが、最も変わっていたことは、リアルト橋横にあるドイツ人商館が全面改修されていたこと。
 ルイ・ヴィトングループによって高級ブランドの店が並ぶショッピングセンターに生まれ変わっており、前回見た時の郵便局だけのがらんとした建物が全く別物に変貌してしまった。リアルト橋のあるこの場所は、サンマルコ広場と並んでヴェネツィア観光には必須の場所だけに、ヴェネツィアを知っている人にはちょっとした驚きになっているようだ。

 一階はカフェ。

 ゆったりとしたスペースがとられている。

 内部の骨格は郵便局時代と基本的に変わっていない。

 建設当時からの時計はそのままの場所に置かれている。

 階段には赤じゅうたん。一階入り口には黒服の店員がおり、ちょっと気後れしてしまうほど。

 個人的に最も興味を惹かれたのが,シューズの陳列法。これは外に面したショウウインドウだが、ディスプレーがおしゃれ。

 これなんか、サイケ調?

 ハイヒールのスリム感が際立つ。

 違った種類のシューズの組み合わせ方に、パズルを解くような面白さがある。

 色彩の美しさも格別

 基本的に、私は靴フェチなのかも?

 4階のスペースはイベントが出来るように吹き抜けになっていた。ここから屋上の展望台に出ることが出来る。その眺めは次回に。

 このドイツ人商館は、ヴェネツィア共和国時代の繁栄を象徴する建物の1つで、当時は外壁にジョルジョーネとティツィアーノの絵が描かれていたという。それが大きな変貌を遂げていて、新しいヴェネツィアのスポットのなりつつあるようだ。
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再びマッジョーレ教会の‟至宝”を見る

2017-06-17 | 教会巡りヴェネツィア

マッジョーレ教会の中については旧ブログで詳しく紹介しているが、ここに寄ったついでに、改めてこの教会の‟目玉”を紹介しよう。その1つは外観。サンマルコ広場からの眺めは、何世紀にもわたって世界からやってくる観光客に感動を与え続けてきた。アンドレオ・パラーディオの設計による彼の代表作品だ。

 特に、ゴンドラと組み合わされた光景は、いつも立ち止まって見てしまう。

 内陣にはティントレットの名作が掲げられている。右側には「最後の晩餐」。まるでお祭りのような騒然とした晩餐、斜めに切り取った構図など、斬新な作品だ。

 その対角にあるのは「マナの収拾」。以前は暗い壁面にひっそりと掲げられていて、とても見にくかったが、今回行ってみると、この2点には照明が当てられていて鑑賞しやくすなっていた。

 もう1点はヤコボ・バッサーノの「羊飼いの礼拝」。生まれたばかりのキリストに優しいまなざしを注ぐ聖母マリアの姿が暗闇に浮かび上がる構図。心がほっこりする絵だ。

 ただ、こちらは照明が当たっておらず、全体を見ようとすると窓からの光が反射してうまく見られないのが残念だ。

 また、後陣にあった聖歌隊席では、椅子に施された天使(?)たちが可愛らしい。

 しかも、それがずらりと並んで、まさに大賑わい。

 今回は、ちょうどヴェネツィアビエンナーレ期間だったので、この教会も協賛展示場となっていた。多国籍の人たちが鐘楼への通路に並んでいて、いつもは静かな教会が何か賑わいを見せているような錯覚に陥った。

 教会の裏手にはヨットハーバーがあり、ヨットが勢ぞろい。この辺はやはり大観光地ヴェネツィアならではの景色かも。

 それに加えて、ちょっとした公園も整備されていた。

 このマッジョーレ教会の景色はいろんなところから見られるので、いろんな形で写真にも納めることが出来る。

 こんな遊びもしてみた。

 最後はやはりオーソドックスな風景を!
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ヴェネツィアのメインストリートを俯瞰する

2017-06-13 | イタリア・ヴェネツィア

 皆様、お久しぶりです。先日イタリアから帰ってきました。

 今回の旅は、南はサルディーニャから北はベルガモ、ヴェネツィアまで11都市を巡った来たので、整理に手間取っていますが、まずはヴェネツィアから。

 通常、ヴェネツィアを俯瞰する場所というと、サンマルコ広場の鐘楼ということになるが、今日は角度を変えて、同広場の対岸サン・ジョルジョ・マッジョーレ島の教会に建つ鐘楼からの眺めをどうぞ。

 
 サンマルコ広場から海に面した側はサンマルコ小広場と呼ばれる。そびえるのが高さ97mの鐘楼。右にドゥカーレ宮殿、左に国立マルチャーナ図書館が並ぶ。

 船での往来が主流だったヴェネツィア共和国時代には、政治の中心であるドゥカーレ宮殿の前に海側から到着するのがフォーマルな入国法。従ってここが表玄関になっていた。

 そこには海から見て右にサンマルコを象徴する有翼のライオンの塔、左には、サンマルコの遺体がヴェネツィアにもたらされる前まではここの守護聖人だった聖テオドロスの像が載った塔が並び立つ。この日もこの周辺は観光客でごった返していた。

 ドゥカーレ宮殿からため息の橋を挟んで右に3軒目、レンガ色の建物はホテルダニエリ。ヴェネツィア最高級のホテルとされ、2010年にはアンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップが初共演した映画「ツーリスト」でも、このホテルが重要な舞台として活用された。

 さらに右に移動すると、奥に丸いクーポラを持った大きな教会が現れる。サンティ・ジョヴァンニ・エ・パオロ教会。100を超えるヴェネツィアの教会の中でも、サンマルコ聖堂、フラーリ教会と並んでベストスリーの大きさを誇る。

 その右側、運河を挟んで白く傾いた塔は、グレーチ教会の鐘楼。。手前のピエタ教会のファザードにはちょうど特別展が開催されていたティツィアーノのポスターが大きく掲げられていた。

 右端の細長い茶色の塔はサンフランシスコ教会のもの。ここにはネグロポンテによる味わい深い聖母子像がある。

 本島の最も外れの側にあるのがサン・ピエトロ教会。サンマルコ聖堂が建つ前までは、ここがヴェネツィアの司教座の置かれた教会だった。

 さらに、海を隔てて遠くに見えるのはリド島。ここでは毎年9月にヴェネツィア映画祭が開催され、ハリウッドスターたちも訪れてにぎわう。


 サンマルコ広場から左側に目を移そう。バポレット(水上バス)のサンマルコ停留所の後ろにはハリーズバーのあるビル。その横にはエウローパ・エ・レジーナやグリッティ・パラスといった五つ星の高級ホテルが並ぶ。いずれも旧総督の館を改造した宮殿ホテルだ。
 この辺りからは、カナルグランデ(大運河)はドルソドーロ地区の建物群に隠れてしまう。

 そのドルソドーロの端には海の税関の建物。屋上には女神像がある。

 税関の後方に雄大な姿を見せるのはサルーテ教会。キャサリン・ヘップバーン主演の「旅情」で、キャサリンが船上から見上げたこの教会のクーポラは今も変わらず美しい。

 クーポラの周辺にも多数の像が配置されているのが、よくわかる。

 視点を変えよう。目の前にはマッジョーレ教会の屋根に立つ戦士の像。

 ジュデッカ島に目を移すと、2つの教会が目立つ。

 手前はジッテレ教会。ジュデッカ島には何度も渡ったが、この教会だけはいつも閉まったままで、まだ中に入ったことがない。

 奥はレデントーレ教会。いずれも建築家パラーディオの設計による美しい教会だ。ここはペストからの救済を感謝して建てられた教会で、毎年7月には感謝の祭りが行われる。真夜中に打ち上げられる花火がきれいだったのを今でも思い出す。

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