夕食後、出直して岬の夜景を見に出かけた。
午後8時過ぎでもまだ明るい。「軍艦岬」は夕陽を浴びて少しずつオレンジ色になりながらも、まだまだ夜の装いにはなっていない。
が、砂浜の砂が赤味を帯びて模様を描き始めている。
夕陽は岬と反対側の海に傾いていく。
海岸を歩くカップルが小さくシルエットになっていた。
ようやく日没。小さな島の向こうに太陽が沈んでゆく。岬はさらに赤味を増してきた。
日没後、城跡の壁面に照明が当たり始めた。
このころから強い風が吹き、海の波しぶきが海岸ではじけ出した。ウインドウブレーカーを用意してきてよかった。これを着て頭からフードを被って重装備。まるで怪しい東洋人だ。
黄昏。岬を照らす照明、そして山麓の家々の灯が灯って、おお、岬全体が輝き始めた!
岬を包む空は藍色に変わり、夜の世界を航海する軍艦のように岬が浮かび上がった。
夜景が好きでいろいろな夜景を見て来たが、これほどの迫力に満ちた光景はなかなかお目にかかれないだろう。
この夜景を見ずして「絶景とは・・」などと語るなかれ! と言いたくなってくる。
幸せな気持ち満杯で宿へ。部屋に戻ってひと眠り。夜明け少し前にトイレに起きたついでにテラスから外をのぞくと、
岬のライトアップが、テラスからは間近に迫る距離で光を発していた。
カステルサルドは「イタリアの最も美しい村」協会加盟の村の1つだ。この協会は、田舎にある小さな村に残る遺産の保全と、地域活性化を目的にフランスで始まった運動のイタリア版として2001年に組織された。
大枠では①人口1万5000人以下の村②旧市街(中心部)で2000人以下③教会や城壁など歴史的な建造物が残り、自然と調和した美しい景観を保っていることーーなどが加盟の条件とされている。
この村もまさにその条件にピタリと当てはまった場所であることが、この景観を見ただけで納得できた。