新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

この夜景を見ずして「絶景」を語るな! カステルサルド・黄金の軍艦岬

2017-09-02 | カステルサルド・サルディーニャ

 夕食後、出直して岬の夜景を見に出かけた。

 午後8時過ぎでもまだ明るい。「軍艦岬」は夕陽を浴びて少しずつオレンジ色になりながらも、まだまだ夜の装いにはなっていない。

 が、砂浜の砂が赤味を帯びて模様を描き始めている。

 夕陽は岬と反対側の海に傾いていく。

 海岸を歩くカップルが小さくシルエットになっていた。

 ようやく日没。小さな島の向こうに太陽が沈んでゆく。岬はさらに赤味を増してきた。

 日没後、城跡の壁面に照明が当たり始めた。

 このころから強い風が吹き、海の波しぶきが海岸ではじけ出した。ウインドウブレーカーを用意してきてよかった。これを着て頭からフードを被って重装備。まるで怪しい東洋人だ。

 黄昏。岬を照らす照明、そして山麓の家々の灯が灯って、おお、岬全体が輝き始めた!

 岬を包む空は藍色に変わり、夜の世界を航海する軍艦のように岬が浮かび上がった。

 夜景が好きでいろいろな夜景を見て来たが、これほどの迫力に満ちた光景はなかなかお目にかかれないだろう。

 この夜景を見ずして「絶景とは・・」などと語るなかれ!  と言いたくなってくる。

 幸せな気持ち満杯で宿へ。部屋に戻ってひと眠り。夜明け少し前にトイレに起きたついでにテラスから外をのぞくと、

 岬のライトアップが、テラスからは間近に迫る距離で光を発していた。


 カステルサルドは「イタリアの最も美しい村」協会加盟の村の1つだ。この協会は、田舎にある小さな村に残る遺産の保全と、地域活性化を目的にフランスで始まった運動のイタリア版として2001年に組織された。

 大枠では①人口1万5000人以下の村②旧市街(中心部)で2000人以下③教会や城壁など歴史的な建造物が残り、自然と調和した美しい景観を保っていることーーなどが加盟の条件とされている。

 この村もまさにその条件にピタリと当てはまった場所であることが、この景観を見ただけで納得できた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

旧市街の流麗な岬を両側から眺める  カステルサルド

2017-08-29 | カステルサルド・サルディーニャ

 旧市街散策を終えて一旦宿に戻った。改めて、今度は新市街から海岸線を歩いてみた。

 旧市街への上り口は、城跡と宿のある高台とのはざまで一番低い土地になっている。ここから見ると城跡はまさに見上げる形。

 住宅街の上にどんと城跡が乗っかっている。

 そこから岬の反対側に向かった。岬が、反対側からだとどんな風に見えるのかを確かめようということだ。

 こちら側からは、軍艦の形ではなく円形に集落が固まって見える。

 向かい側にあったレストランの庭に上がって眺めた。こちらの眺めもなかなか。

 その後、出発点に戻って今度は海岸を目指した。商店の店頭にはためく旗はサルディーニャの印だとのこと。

 それがプリントされたバッグも見つけた。

 民家の壁に描かれていた民話風な壁画。

 坂道を三輪車が軽快に走って行った。こんな車が今も活躍しているんだ。

 海岸に着いた。少年たちがもう海水浴をしている。確かに太陽は出ているものの風は強く海に入るにはまだまだという季節だが、少年たちはたくましい。

 岬は陽光を浴びて輝いている。最初は海岸で夕陽の写真でも撮ろうかという気持ちだったが、5月中旬のサルディーニャはなかなか陽が沈まない。

 午後6時を過ぎても太陽はずっと上空にとどまっている。それで、一旦引き返して夕食を済ませてから出直すことにした。

 旧市街入り口付近にあるレストランへ。7時オープンということで、7時きっかりに入店。あら、もう客は入っていた。

 頼んだのはスパゲッティ・アッレ・コッツェ。ムール貝のスパゲッティだ。ボリュームたっぷりで味も最高!さすが海辺の町。大満足だった。

 ようやく夕暮れになり始めた。さあ、海岸へ。

 通りがかりの果物店。色とりどりでおいしそう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カステルサルドの旧市街を散策する

2017-08-25 | カステルサルド・サルディーニャ

 ホテルで一休みの後旧市街の散歩に出かけた。旧市街へは階段と坂道を上ってゆく。
 カステルサルドという名前は直訳すれば「サルディーニャの城」。まさに旧市街の岩山の上に城壁が残る。

 中世にジェノヴァのドリア家が造営した城という。

 今はその頂上から急斜面にへばりつくように家並みが続き、

 集落を結ぶ道はしばしば階段となり、またトンネルとなって迷宮のような街を形成している。

 坂道は石畳のゴツゴツした通りだ。

 そんな坂道をすごい大型のバイクが通り過ぎた。古い町に最新型のバイクの組み合わせが面白い。

 所々にカフェやリストランテがあり、アクセントになっている。

 そんな通りの隙間から鐘楼が垣間見えた。

 サンタントニオ・ア・パーテ教会だ。まるで岩石のような外観。
 中はすっきりとした空間だ。

 祭壇は大理石で造られていた。

 上部に愛らしい天使たちが十字架を捧げ持っていた。

 聖母子像は彩色のテラコッタ製かも。

 立派なパイプオルガンも備えられていた。

 教会前の広場から海が望める。ここはまさに地中海。

 このころからカメラが故障して絞りがちゃんと適正露出にならない。応急措置で撮影しているが、色が飛んで真っ白になったり、逆に真っ黒になったりして四苦八苦だ。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サルディーニャ初上陸 ‶軍艦岬”カステルサルドへ

2017-08-22 | カステルサルド・サルディーニャ

 フェリーの座席で目覚めると、もう外は明るくなりつつあった。 もうサルディーニャが見えるかも知れない。カメラを持って甲板に出てみる。
 空は曇りだが、その切れ目から光が漏れている。

 今日も雨の心配はなさそうだ。

 南の方に島影が見える。そうだ、初めてのサルディーニャ。

 今から100年前、「チャタレー夫人の恋人」などの著書で有名な作家D・H・ロレンスがサルディーニャに旅したことがあった。

 「では、どこに行こう? サルディーニャだ」。
 「(サルディーニャは)歴史がなく、日付がなく、民族もお国自慢もないところだから・・・」

 こんな風にその動機を書いている。

 もちろんサルディーニャには歴史も民族もお国自慢もある。だが、支配者たちの歴史だけが表に出て、ネイティブな歴史はヴェールに包まれたままになってきた。その状況をロレンスは逆説的な表現を使って記述した。

 それだけ、サルディーニャは今でも未知の魅力をたっぷりと湛えている土地だとも言えるのではないだろうか。

 これからの1週間、短い期間ではあるけれども、サルディーニャにどっぷりと身を任せてみよう。

 今日の目的地はカステルサルド。港のポルトトーレスからはバスを乗り継いでいく必要がある。船から降りると待ち構えていたシャトルバスが港から鉄道駅まで運んでくれた。だが、私の乗るのはバス。町の人に尋ねながらバスターミナルを探した。
 ターミナルは市街地にあるという。町に入りたどり着いたのは約30分後。そこからサッサリ行きに乗り換えてカステルサルドへ、というコースだ。

 バス停で聴いた出発時間を過ぎてもなかなかバスは来ない。でも、みんな平気な表情。そう、ここでは日本のような定時運行を望むのは初めからあきらめた方がよいということが解りだした。
 案の定、バスはちゃんと「たった20分遅れ」で到着し、ちゃんと走り出した。

 サッサリの停留所で乗り換え。カステルサルドに向けて順調に走り出した。

 海岸線を走るバスは例によってかなり荒っぽい運転だが、技術は確か。カーブの度に足を踏ん張って揺れに耐えることに慣れたころ、前方にカステルサルドの岬が見えた。

 非常に特徴的。まるで軍艦のように雄大な形をした岬だ。それだけが海に突き出している。

 軍艦の中央上部が城跡になっており、その麓に市街地の街並みが広がる。緩やかな稜線を描いてふもとまで下り、先端が海に溶け込む。
 そんな姿を、旅の出発直前にネットで見つけて急きょ目的地に追加した場所だ。その実物が目の前に出現した。やっぱりすごい!

 運転手にあらかじめ「ローマ通りで下して」と伝えておいたが、彼はちゃんとロ-マ通りで下してくれた。
 早速予約しておいたB&Bへ。結構な坂道を上りながら宿を探す。

 あった!

 入口からちょっとした花があり、

 きれいに手入れがなされている。それも鮮やかな色彩。

 部屋に入ると、ロビーにも花飾りが。

 また、仮面のようなアクセサリーも飾られていた。

 窓際の花も愛らしいし、

 テラスにはこんなピンクの花も。オーナーは自然を愛するとても親切なひとだった。

 宿の場所が高台にあるため、向かい側の丘の頂上にある城壁が間近に見え、

 また、海も見下ろせるロケーションだ。しばしテラスに座ってのどかな眺めを楽しんだ。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする