新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 イタリア編㉑ サンタンジェロ橋の天使が バチカンの入口で巡礼者たちを出迎える

2023-09-30 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 燃えるような日差しの下 サンタンジェロ城に向かった

 城へ行くには ローマの歴史を見つめ続ける母なる川 テヴェレ川を渡る

 架かる橋は サンタンジェロ橋だ

 この橋の手前までが イタリア・ローマ市

 橋を渡り切れば キリスト教の総本山

 サンピエトロ大聖堂のある  バチカン市国になる

 

 大聖堂が建設されて以来 イタリアだけでなくキリスト教世界の無数の信者たちが

 その場所を目指して 巡礼を続けてきた 

 巡礼の最後がこの橋 そこである洗礼の儀式が待っている

 

 橋には10体の天使が 立ち並ぶ

 ただ並んでいるだけではなく 彼らはそれぞれに特別なものを持っている

 茨の王冠 ムチ 聖衣 槍 そして十字架そのもの

 キリストが十字架に架けられて刑死した時かかわった 受難の品々だ

 信者たちは バチカンに入国するその場所で改めて 

 キリストの受難を心に刻んで サンピエトロに向かうのだ

 

 澄み切った青空の下 十字架を抱えた天使像は

 空の青に溶け込むかのように 清冽な姿で立っていた

 

 

 

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心ふるえる風景 イタリア編⑳ フィレンツェ中心部の広場に 絶世の美女が出現した

2023-09-26 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 

 

 フィレンツェの市庁舎ヴェッキオ宮は かつて共和国の政庁だった

 当時のフィレンツェは ミケランジェロやダ・ヴィンチなど

 名だたる天才たちが 競って腕を振るい

 ルネサンスの花を 開花させた場所だ

 

 その広場に 夜出かけると

 大きなポスターが 立てかけてあった

 よく見るとそれは シモネッタの肖像画

 彼女は当時を代表する美人として知られる

 

 1475年 共和国の大イベントだった 馬上槍試合が開催され

 メディチ家の当主の弟 ジュリアーノが優勝すると

 彼にスミレの花冠を贈る役を担って シモネッタが壇上に上がった

 当代随一の美男美女のカップルが 晴れの舞台で実現

 国中の人々から 永遠の恋人として賛美された

 

 シモネッタはその翌年 23歳の若さで病死したが

 ボッティチェリは 彼女の肖像画を何枚も描き

 その誇り高き美貌が 後世まで語り伝えられることとなった

 

 たまたまある企画のために 彼女の大きなポスターが 

 掲げられたその日に この広場に居合わせた偶然に

 彼女が現代のフィレンツェの街に 出現したのかと

 一瞬の夢を 見てしまった

 

 でも とても幸せな 夢だった

 

 

 

 

 

 

 

  

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心ふるえる風景 イタリア編⑲ 若い女性の手元から 「ラファエロの聖母」が浮かび上がった

2023-09-23 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 ウフィツィ美術館近くの道 を歩いていると

 若い女性が 路上に絵を描いていた

 手前に画集を開いて 全く通行人の目も気にせず

 一心に 手を動かし続ける

 

 見る見るうちに 路上に聖母子の顔が 浮かび上がった

 そうこの構図は ラファエロの作品「大公の聖母」だ

 伏し目がちに物思いに沈む表情が 思慮深さと慈愛を感じさせる

 見事ラファエロらしさの特徴も 上手に捉えて素晴らしい

 思わず つたないイタリア語で 女性に聴いてみた

 

 「絵の勉強をしているんですか?」

 「ええ 美術学校に通っています  ラファエロが好きなんですよ」

 外国から フィレンツェに留学して1年

 ようやく 生活にも慣れてきて

 ちょっとした腕試しで 今日初めて路上絵に挑戦したのだという

 

 初々しい表情で語る 彼女の顔が

 路上絵の聖母の口元と 

 どこか似ていることに 気づいた瞬間だった

 

 

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心ふるえる風景 イタリア編⑱ フィレンツェ中心部の 静寂に包まれたトワイライトタイム

2023-09-19 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 パラティーノ美術館見学を終えた後 ヴェッキオ橋を渡って

 共和国広場に通じる サンタマリア通りに出た時は

 もう夜の佇まいに なっていた

 前方に紺碧の空が広がり 両側に建つ建築は

 照明に照らされて 金色の衣をまとっている

 

 くっきりと色分けされた 陸と空とのコントラストが

 ヨーロッパの古都らしい 悠然とした輝きとゆとりを感じさせる

 

 手前には ルネサンスの彫像

 愁いを秘めたかのような 影に包まれて

 今にも 闇に溶けかかるようだ

 

 時に若者たちの歓声が 響くのを除けば

 夜のしじまは 静けさが支配している

 

 今さっきまで眺めてきた ラファエロの聖母子が

 この空間に ポッと現れて微笑んでも

 おかしくないくらい と思えるような

 それが 秋も深まるフィレンツェ・チェントロの宵だ

 

 

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心ふるえる風景 イタリア編⑰ 美術館の真ん前で展開された 大道芸人パフォーマンス

2023-09-16 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 フィレンツェの ウフィツィ美術館は 

 ルネサンス美術の粋を 一堂に会した殿堂だ

 その前の広場ではしばしば 大道芸のパフォーマンスが展開される

 たまたま私が訪れた時は ピエロに扮した芸人が

 ショーを始めるところだった

 「さあ 私と一緒にダンスをしてくれませんか?」

 

 中年のおじさんが 進み出た

 「私でも いいかい?」

 「どうぞどうぞ でも普段着のままじゃあ 盛り上がりませんねえ」

 「ちょっと 上着をめくって見て」

 おじさんがシャツをめくると 芸人は持参していた絵具で

 あっという間に おじさんの腹に 顔を描いてしまった

 「さあ これで我々は仲間 コンビです 一緒に踊りましょう!」

 

 おじさんもノリノリ 即席のハチャメチャダンスが始まった

 こんな 思いがけないバラエティショーが 繰り広げられるのも

 底抜けに陽気な イタリアならではのこと

 なんだろうなあ・・・

 

 

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