新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 南イタリア編⑱ 突然目の前に出現した ブルーモメント

2024-06-29 | 心ふるえる風景 南イタリア編

陽は沈んだ もう帰る準備を・・・ 

と思いながら 横にある教会を見ると

それまで 夕陽のシルエットとなっていた建物が

次第に 青く染まって行くところだった

 日没の次に来る ブルーモメント

 その時刻が 訪れようとしていた

 教会は夕陽の沈む方向とは 反対側を向いており

 最近修復されたのか 外壁は見事に真っ白

 

 白い壁が 黄昏を支配するブルーを

 吸い込むように 青く変身しつつある

 全身に青を湛え 夜の装いを急ぐ空の青をも反映して

 岬の教会周辺は 他の色彩を寄せ付けない

 完全なブルーモメントに 変容していた

 

 それも わずかな瞬間

 街の明かりが灯り始め 照明の光が届くと

 また周辺は いつもの暖色の風景に戻った

 

 突然に見せる 貴重な自然のドラマを

 2つも続けて 見ることが出来たことに

 感謝しながら 帰りのバスに乗った

 

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心ふるえる風景 南イタリア編⑰ 地中海に沈む夕陽 ぎりぎりで間に合った

2024-06-25 | 心ふるえる風景 南イタリア編

 夕刻 イスキア島の西端に向かった

 ホテルのコンシェルジュから 耳寄りな情報をもらった

 「フォーリオの夕陽が とても美しいですよ

 特に岬にある教会からの 眺めが絶景です」

 

 フォーリオに着いて 地元のおじさんに聞いた

 「サンタマリア教会はどこですか?」

 「え、なんだって?」 「サンタマリア教会です」

 「だからサンタマリア何教会なんだい?

 サンタマリアという名前の教会は この町内に3つもあるんだ」

 

 この言葉で気がついた サンタマリアというのは単に「聖母」の意味

 どの教会にもサンタマリア+〇〇の名前が付いていた

 例えばフィレンツェの大聖堂は サンタマリア デル フィオーレ教会

 ヴェネツィアでは サンタマリア フォルモーザ教会 などなど

 急いでメモ帳をひっくり返して 正式の名前を探した

 「サンタマリア ソッコルソ教会」

 ようやくおじさんもにっこり 所在地を指さしてくれた

 

 そんなこんなで ようやく目的地に着いた時は日没目前

 地元の人が集まっていたのは 大きな十字架の塔の横

 目の前の夕陽は まさに半分隠れようとしているところだった

 

 空全体は 暗いだいだい色に塗りこめられ

 太陽は もう半分雲間に沈みつつある

 十字架塔は くっきりと黒く浮かび上がり

 見つめる人たちの姿も 闇に差配されている

 

 数分後 陽は完全に沈み 

 集まった人たちから 自然と拍手が起きた

 何と神秘的な瞬間 それにようやく間に合ったことに

 じわじわと 感謝の念が沸きあがった

 

 

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心ふるえる風景 南イタリア編⑯ イタリアの「モンサンミッシェル」 イスキア島のアラゴン城に登る

2024-06-21 | 心ふるえる風景 南イタリア編

 イスキア島に着いて すぐに島の東端にあるアラゴン城へ

 遠くから見ると 中央付近に尖った城があり

 すっぽりと海に囲まれたその姿は まるでモンサンミッシエルみたい

 というのが 第一印象だった

 

 近づいてみると 長い橋が付いていた

 上陸して城まで登ることを覚悟したが なんとエレベーターがある

 スイスイと 城まで到着してしまった

 

 てっぺんからの眺めは 素晴らしかった

 ナポリ湾を望む 地中海の海原

 さっきまでいたプロチダ島やカプリ島も 指呼の間

 それにも増して壮観だったのは 橋と市街地の街並み

 本島と結ぶ長さ300mの橋と それにつながるイスキアポルトの様子だ

 橋は単調な一直線ではなく 微妙に曲がってつながり

 市街地は小島の街とは思えない 華やかな装いに感じられる

 温泉が湧き 保養地としても有名らしく

 しゃれたホテルや保養施設が そろっているせいかもしれない

 

 街の後方にはエポメオ山と それに繋がる山岳の雄大さも加わる

 高さ200mからの眺めは 身も心も晴れ晴れとした気分にさせてくれた

 

 

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心ふるえる風景 南イタリア編⑮ プロチダ島から隣のイスキア島へ ナポリ湾を南下する

2024-06-18 | 心ふるえる風景 南イタリア編

 プロチダ島から 隣のイスキア島へと向かった

 この島はナポリ湾に浮かぶ 一番大きな島だ

 歴史は古く古代ローマ時代は 皇帝アウグストゥスが所有していた

 

 船内はほとんど 地元の人たちばかり

 一人ポツンと座っていたら 隣のおばさんが声をかけてきた

 「どこからきたの?」   「ニッポンです」

 「ああ 細長い島だよね」 「ええ」

 「じゃあ イスキアの私たちと同じ 島国の人ってことね」

 そんな会話で ちょっと和やかな時間を過ごすことが出来た

 

 改めて外を見る 少しずつ近づいてきたイスキア島

 右側に見える最高峰 エポメオ山は標高788m

 円錐形の優雅な姿が 印象的だ

 

 かすかに煙った島の上方には ポッカリと白い綿雲が浮かび

 まるで二人 カップルのダンスをしているようだ

 底抜けに開放的な 雰囲気が満ち満ちている

 

 この島は 予備知識ほぼゼロの東洋人に

 どんなサプライズを 提供してくれるのだろうか

 

 

 

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心ふるえる風景 南イタリア編⑭ プロチダ島での滞在は 美しい光景と温かい心に満たされた日々だった

2024-06-15 | 心ふるえる風景 南イタリア編

 プロチダ島3日間の滞在を終えて 4日目の朝次の目的地に向かった

 船に乗って島全体を眺めると また違った風情が感じられる

 向かって右側の小高い岩山部分は テッラ・ムラータ地区

 昔の城壁跡があり 何度もその高台に昇って街を見下ろした

 この島への旅を思い立ったのも 偶然開いた雑誌のその光景だった

 

 中央部分が 市街地コリチェッラ地区

 ピンクやレモンイエローの カラフルな建物が林立している

 遠くからだと 色合いが少しわかりにくい

 でも中央部分に 密集して住宅が建つ様は鮮明だ

 

 浜では子供たちや 猫たちとの時間が持てたし

 漁網の繕いをする漁師のおじいさんらから 島の話も聞けた

 都会ではありえないほど 地元の人たちと親しくなれた気がする

 

 帰りがけ 港は岩山の裏側にあるため

 バスを利用しようとしたが バス停には時間表がない

 店の人に聞くと 「時間表なんてもともとないよ。

 待っていれば そのうち来るさ」と言われてしまった

 

 困惑していると店の主人が リモンチェッロの小グラスを差し出した

 「これでも飲んで待ってなよ」

 確かに一杯のリモンチェッロを 飲み終わるころ

 ちゃんとバスは到着し 無事船に乗ることが出来た

 帰りがけでもまた 温かい心に触れた瞬間だった

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