新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

マントヴァ⑧ マンテーニャの家を経由してのどかなマントヴァの通りを散歩する

2018-06-30 | イタリア・マントヴァ

 テ宮殿を出て帰りは歩きながら旧市街に向かった。すぐに通りかかったのはサンセバスティアーノ博物館。テラコッタの像や絵画などが展示されていた。

 サンセバスティアーノ教会の方に入りたかったのだが、ここは閉館中。残念!

 その先にマンテーニャの家があった。

 聞いてみると、今は学生や若手建築家などの工房として使われているとのこと。ちょっと覗かせてもらった。

 POMA通りに入ると、なかなか雰囲気のある街並みになった。道の奥にサンバルナバ教会の塔がそびえ、センターには並木が並ぶ。

 そこに建つジュスティツィア宮殿、つまり立派な裁判所に注目。

 壁面に奇妙な表情をした男女像が張り付いている。何か悪事を働いて裁判に掛けられている人かな?

 そこから右折してキアッシ通りに入ると、サンマウリツィオ教会の堂々としたファザードが目に入る。

 同通りの落ち着いた街並み。

 サンタンドレア教会のクーポラが見えてきた。もう旧市街はすぐそこだ。

 エルベ広場手前でマクドナルドをみつけたので、ここでコーヒーを一杯。

 室内を撮っていたら、若い女性にジロリと睨まれてしまった。

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マントヴァ⑦ ゼウスと巨人族との戦い。大スペクタクルを女子高生たちと一緒に観戦!テ宮殿

2018-06-26 | イタリア・マントヴァ

 いよいよお目当ての「巨人の間」に入った。巨人族がゼウスの支配に対して反乱を起こした。それに怒ったゼウスは武器の稲妻を投げつけて山を崩し巨人族を平定した、というエピソードだ。

 中央にいるのがゼウス。

 稲妻を投げようとしている。

 それによって家の柱も折れて、崩れた建物の中でもだえる巨人たち。   とにかくまるでアニメのスペクタクル。巨人の表情が面白い。

 天上を恨めし気ににらむ二人。

 岩に挟まって、もう寄り目状態。

 息も絶え絶えの巨人おじさん。

 助けて~~~。

 一方天上ではこの光景を人々が大騒ぎで見守る。

 まさに血沸き肉躍る場面だ。

 ちょうど女子高生たちの見学時間と鉢合わせ。彼女たちもキャーキャー言いながらゼウスの戦いを見ていた。

 中には寝そべって絵を見上げる女子高生も。イタリアは本当に自由なんだなあ。

 そんな大スペクタクルの間の近くには、こんな花びらを机に置いた優しい部屋もあった。

 宮殿模型の展示も見つけた。

 中庭はきれいに整備されて、清々しい気持ち。

 ジュリオ・ロマーノの虚構の世界から現実の世界に戻るには、こんな青空を見つめ、風に吹かれる、しばしの時間が必要だった。



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マントヴァ⑥ テ離宮では、ギリシャ神話の神々が宴会で大騒ぎ

2018-06-23 | イタリア・マントヴァ

 テ離宮へはバスを利用した。エルベ広場で停まっているバスの運転手に聞くと、そのバスがテ離宮も巡回する「チルコラーレ」と呼ばれる循環バスだった。離宮近くで声をかけてもらうように頼んで乗車。

 バスで15分ほど走り、東西に延びる大きな道に出たところで運転手が「ここだよ~」と大声で教えてくれた。


 降りるとテ離宮入口の標識。イメージでは大きく高い建物が見えるかと思ったが、実際には緑の木々の向こうに、わりに低層の屋敷が広がっている、といった印象の宮殿だった。

 この宮殿は、ゴンザーガ家の別荘。イザベラ・デステの息子フェデリコ2世が愛人のイザベラ・ボスケッティのためにジュリオ・ロマーノに命じて建設させたものだ。

 最初に入った部屋は「太陽と月の間」。真ん中にいる男が太陽神アポロン。右には月の女神ディアナ。二人は双子の神だ。
 ここにはギリシャ神話に登場する神々を題材とした物語の場面が、壁面や天井一杯に描かれている。聖書の場面だとかなり深刻な話が多くなりがちだが、ギリシャ神話だと結構開放的なストーリー展開で、描かれた人々もアニメチックなタッチだ。

 ここは「馬の間」。賓客との謁見やパーティなどにも使われたという広いスペースの部屋だ。

 名前通り馬の絵が描かれるが、これらの馬はだまし絵感覚。バックの風景より手前に浮かぶように立っている風に見える。

 このフレスコ画の白馬も浮き上がっている。

 次に「プシュケの間」。
 女神ヴィーナスの子供であるクビド(アモル=愛の神)は、美しい王女プシュケに恋をしてしまう。母ヴィーナスはその恋を妨害するが、死の眠りについてしまったプシュケを哀れんだゼウスがプシュケをよみがえらせ、2人は無事結婚するという物語だ。

 1つ上の全体画の右端に寝ているのがプシュケとクビドの2人。

 結婚式の風景なのか、みんな宴会で大騒ぎの最中だ。

 そのお祭り騒ぎの中には象まで登場してしまっている。

 別の壁面にはなにやら大巨人が。

 中心にいる巨人はポリフェーモス。

 その次の部屋は「風の間」。四角形、六角形、円などの形を組み合わせた枠の中に様々な絵が収まっている。

 女性たちが何か争っているかのような構図。

 天使が舞い降りた。

 これは何を指さしているんだろうか?

 とにかくどれもこれも動きのあるダイナミックさを感じさせる絵のオンパレードだ。


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マントヴァ⑤ 「私の人生の中でこれ以上の美しい劇場は見たことがない」。モーツアルト公演でスタートした学術劇場

2018-06-19 | イタリア・マントヴァ

 この街には美しい装飾に彩られた劇場があると聞いて出かけてみた。

 街の北東部、インフォリオーレ湖のすぐ近く。到着したらまだ開館前だったので、散歩で時間を過ごそうと湖畔に行ってみた。

 土曜の朝、何かのイベントがあるのか若者たちが集合中。

 緑の湖畔は、深呼吸すると体の中に大きな風の道が開いたかのように、スーッと心地よい涼しさが染み通る。

 湖周遊の遊覧船がスタンバイし、その手前では釣り人たちが糸を垂れている。のんびりした、いかにも週末の朝といった雰囲気だ。

さあ、もう開館時間、劇場に戻った。建物自体には特別な特徴は見られないようだ。

 ところが、内部に足を踏み入れると、目もくらむような遠近感に満ちた構造ときらびやかさにビックリしてしまった。

 オレンジの基本色に4階まで連なる観客席を仕切る黄と白との色彩が混じりあい、

 舞台中央に立つと、その空間の最奥まで吸い込まれてしまいそうな、立体的な造形に目を見張ってしまう。

 1769年12月、アントニオ・ビビエーナによって設計された。正式名称もテアトロ・アカデミア・ビビエーナと、作家名が入っている。バロック式劇場の傑作といわれるにふさわしい美しさだ。


 正面から見た形状が釣り鐘のように見えることで、その独特のスタイルを特徴付けている。

 天井のカーブを描くデザインも独特だ。

 2階に上ってみた。ここからの眺めもなかなか。

 このように舞台を見下ろす形になる。

 ローマ時代の詩人ヴェルギリウスもこの街マントヴァの生まれで、劇場内に彼の肖像が置かれ、彼に関わる資料も保存されていた。

 この劇場には今も語り伝えられるエピソードがある。劇場完成後わずか1か月後の1770年1月、オーストリアの1人の少年が招かれてこの地にやってきた。少年の名はアマデウス・モーツアルト。

 まさに、劇場のこけら落としともいうべきモーツアルトコンサートによってこの劇場の歴史のページが開かれたのだった。

 その時父レオポルドは、国に残してきた妻に宛てて「私の人生の中でこれ以上の美しい劇場は見たことがありません」と綴っている。



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マントヴァ④ ドゥカーレ宮殿で渦巻アートの七変化に出会った。

2018-06-16 | イタリア・マントヴァ

 ドゥカーレ宮殿の別のスペースで、新鋭作家の作品展をしていたので、ちょっと覗いてみた。これが、意外に面白かった。
 渦巻く何かが目の前に迫ってくる。これは何だ?

 それが赤、青、白などの色の組み合わせだったり、

 赤一色だったりして、グンと突き出てくる。

 これは鉛筆。その芯の先の色も何色か変化して、

 見る者に突き刺さるかのようにとんがる。

 ただ、よく見ると微妙な揺らぎも含んでいる。

 見ているうちに、なんだかリズムが聞こえてきて、気分が高揚してくるのを覚えた。

 鉛筆だけではない。これは綿棒!

 綿棒なのに、近づけると結構な迫力を生ずる。

 ちょっと遠目にすると、まるでヤマアラシが身を縮めているようにも見えた。

 その他にも、紙を使ったアートや、

 様々な国旗を組み合わせた作品なども展示されていた。

 ドゥカーレ宮殿本体ではちょっと残念な気分になっていたのを解消させてくれた楽しい展示だった。

 
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