新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

寺社巡り・東京⑤ 目黒不動尊。不動明王より怖い狛犬、江戸庶民の命を救った恩人の墓も

2020-07-28 | 寺社巡り・東京

 天台宗の寺・目黒不動尊は成田不動(千葉)、木原不動(熊本)と並んで日本三大不動の1つに数えられる。また、三代将軍家光が江戸を守るために江戸各所に五不動を安置したが、そのうちの1つがここだ。

 入口は仁王門。ここをくぐると大本堂の石段を上ることになる。

 次に見えて来るのが「独鈷の滝」。寺の開祖である慈覚大師円仁が、寺の場所を定めるのに持っていた仏具・独鈷を投げると、落ちた場所に泉が湧き出たーというエピソードが伝わる。その滝が流れ出るのは龍の口から。

 流れ出た水は小さな池を作っているが、そこにお椀のようなものに乗った小さな人が。あの一寸法師の姿に姿にも見えるが、果たしてこの人は誰?

 龍と反対側の池の端には不動明王が、でんと構える。水掛け不動と呼ばれ、独鈷の滝の水をこの不動様に掛けてお祈りをすると、願い事が叶うという有難い像だ。

 本殿の裏の回ると黒い仏像があった。大日如来像。普通大日如来様ともなると本殿中におわしますと勝手に思っていたが、ここでは予想外の場所に・・・。

 こっちにも別の不動明王が。背景の炎が派手派手だ。

 ところで、不動様より怖い顔の像を見つけた。この狛犬、見るからに恐ろしい形相で、今にもかみつかれそう。聞くところでは、この狛犬は1654年に制作されたもので、東京の神社の中でも現存する最古の狛犬とのこと。さすがの貫禄だ。

 一方で、母子の可愛らしい犬像も。こちらも狛犬だということで、何とも見事に対照的な狛犬に出会ったものだ。

 恐ろしいといえば、社に取り付けられていた龍の彫刻。これもまた華々しく恐ろしい顔をしていた。

 なお、ここには青木昆陽の墓もあった。江戸時代サツマイモの普及を図り、甘藷先生と呼ばれた学者だ。享保の大飢饉の後、飢えから江戸庶民を救うためにサツマイモの栽培を開始。繁殖能力が高くてやせ地でも育つため、関東一円に広がった。

 この普及によって、その後江戸を襲った天明、天保の飢饉から庶民を救ってきた。さらに、第二次世界大戦後の東京でも、サツマイモによって無数の市民が命をつないだ歴史がある。言って見れば青木昆陽は東京都民の命の恩人かもしれない。

 

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寺社巡り・東京④ 東京ジャーミー。国内随一のイスラム教モスクの白い尖塔が印象的

2020-07-25 | 寺社巡り・東京

 今回は寺社といってもイスラム教のモスク・東京ジャーミー。

 代々木上原駅付近に高い塔のある建物が目に入る。これが東京ジャーミー。これだけ大規模なモスクは国内ではここだけとのことだ。

 尖塔はミナレットと呼ばれ、ここから礼拝の時間(アザーン)を知らせる、呼びかけのための施設だ。

 青空にくっきりと映える白い建築は目にも鮮やかだ。

 入ってみて、まず引き付けられるのは天井の丸いアラベスク模様。まるで満月のように輝いている。

 中央付近の装飾は、聖地メッカの方向を示している。信者はここに向かって祈りを捧げることになる。

 壁面に取り付けられたステンドグラス。

 植物などを原型として形成された幾何学模様は、すっきりと涼やかな色彩でで、華やかでさえある。

イスラム教では偶像崇拝は禁じられているので、人物像などは一切描かれていない。

 ドアノブには彫金が施されて豪華。

 廊下の連続的なアーチが、軽快なリズムを生み出している。

 アラビア文字は意味不明だが、デザイン的にも美しい。

 モスクといえば、トルコのエルドアン大統領は先日アヤソフィアを博物館からモスクに戻すという決定をし、昨日から礼拝を開始した。

 世界遺産にもなっているアヤソフィアは、キリスト教教会からイスラム教のモスクに変えられたが、近年には博物館として宗教色を無くした施設になっていた。だからモスクだったのに聖母子像が残る特異な建築としても有名だ。それが、今後どうなるのか、心配な状況だ。

 帰りがけ、シャンデリア越しに見えるステンドグラスをもう1度眺めてジャーミーを後にした。

 

 

 

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寺社巡り・東京③ 富岡八幡宮。江戸っ子たちの心意気!水掛け祭を来年こそ!

2020-07-21 | 寺社巡り・東京

3年前の8月、富岡八幡宮の例大祭を見に行った。

 通称「深川水掛祭り」。永代橋付近で待機していると、神輿を担いだ若者たちが、威勢の良い掛け声とともにぐんぐん迫ってきた。

 そこに浴びせかけられる大量の水。

 消防団のホースからも滝のように降り注がれる水の中を、ものともせずに突き進む行列。

 その模様を、道路を埋め尽くした観衆が拍手、歓声と共に見守る。

 まさに江戸っ子たちの祭りを実感した一日だった。祭りは3年に1度本祭りとして52基の神輿が一斉に街に繰り出す。それが、今年のはずだったのだが、新型コロナ問題で、大祭は来年に延期が決まってしまった。

 富岡八幡宮。これまで紹介した神田明神や日枝神社は徳川家という権力者の守護の下に地位を築いた神社だが、こちらはどちらかといえば材木取引で富を蓄えた木場商人や米問屋の旦那衆に支えられた江戸市民の神社と言えるだろう。

 粋で派手、目立ったことが大好き。そんな土地柄は、境内に納められた4.5トンもある日本一の大神輿の存在からも推し量られる。

 ここは17世紀、わが国初の勧進相撲が開始された記念すべき場所でもある。そんな歴史から、歴代横綱の名前を刻んだ「横綱力士の碑」があり、

 並んで「大関力士の碑」も。その隣に、「巨人力士身長碑」というのが目に入った。ここに記された記録によると、最高身長の力士は生月鯨太左衛門で、7尺6寸。約2m30cmだという。まさにジャイアント馬場並みの巨人だったようだ。

 入り口近くに伊能忠敬の像が立っている。門前仲町に住み、測量の旅に出かける時には必ずここで参拝してから出発したという。全国を測量して日本地図を作製した先駆者は、なかなか哲学的なお顔をしていらっしゃる。

 ぜひ来年こそは、またあの勇壮な祭りを再び目にしたいものだ。

 

 

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寺社巡り・東京② 日枝神社。隠れた映えスポット千本鳥居。日本の中心を巡る山王祭行列

2020-07-18 | 寺社巡り・東京

まず、私が個人的にとても気に入っているスポットから紹介しよう。

 千本鳥居の階段だ。全国の神社には多数の千本鳥居が存在する。中でも、京都の伏見稲荷の鳥居が外国人も含めて断然の人気を誇っている。でも、西の伏見稲荷に対して東の代表はここ日枝神社ではないかと思っている。

 しかも、ここは鳥居の中の道が階段になっており、下から見上げると空へ、天空へと続くのでは、と錯覚するような瞬間が訪れることもある。

 正式な入口は表参道にある大鳥居から。通常鳥居の上方は平行になっているが、ここの鳥居だけは山の形をしており「山王鳥居」と呼ばれている。

 この山王鳥居は表、裏、西と3つの参道のそれぞれに存在する。

 階段を上って本殿に到着する。ここは江戸城から見ると南西の方角、裏鬼門にあたる(表鬼門は神田明神)。その鬼門を守護する神社として徳川将軍家ご用達の氏神になっている。

 社殿前に置かれるのは通常狛犬。でも、ここにあるのは何と「猿」。猿は「えん」とも読め、「良縁」を授かるとの意味があると共に、「魔が去る(さる)」ということで、厄除けにも通じる。

 裏に回ると、末社の1つ山王稲荷神社がある。ここには何ともかわいい子狐の土人形が、ずらりと並んでいた。

 日枝神社の祭礼は山王祭。神田祭、深川祭と共に江戸三大祭りの1つ。特別なのは所在地が赤坂なので銀座、国会議事堂、永田町など日本の政治経済の中心地を巡行すること。

 巫女さんたちも勢ぞろいで行列に加わる。

 9基の神輿が53段の石段を上って神社に到着する光景は、なかなかの見ものになっている。

 

 

 

 

 

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寺社巡り。東京① 神田明神には平将門からアニメも銭形警部の先祖も。

2020-07-14 | 寺社巡り・東京

 自由気ままに外出することは、依然難しい状況が続いている。そこでこれまで取りだめていた素材を生かして、寺社、教会など東京の宗教施設を巡る空想ツアーを企画した。

 まずは神田明神から。何度も訪れているなじみ深い神社からスタートしよう。立派な本殿。築何百年?といった古そうなイメージだったが、実はこの本殿が完成したのは1934年。しかも、鉄骨鉄筋コンクリート造りという予想外の建物だった。

 本殿に入る前、最初にくぐるのは隋神門。こちらは総ヒノキ造りの木造建築だ。こちらの方が優雅で美しく感じる。

 神田明神は江戸城の鬼門にあたる北東に建てられ、総鎮守社に定められて徳川家の守護の下に江戸庶民の信仰を集めてきた。

 祀る神は3体。

 


 一の宮は大己貴命。大黒様のことで、高さは6m。石造りの大黒様としては日本一の大きさとのこと。
 
 二の宮は少彦名命。恵比寿様だ。大海原を渡る恵比寿様(円の中央付近、金の像)の姿を表現しているそうだ。
 そして、三の宮は平将門命。935年、東国独立宣言をした「平将門の乱」で戦死したが、その首は神田明神付近に葬られたとされる。その後、疫病の流行もあり,祟りではないかとされ、供養とともに神として祀られた。反乱者が神とされる、珍しい例だ。
 
 一方で、近年は新たなムーブメントも起きている。「ラヴライヴ!」というアニメでここが舞台となったことがきっかけで、2019年には「訪れてみたい日本のアニメ聖地」の1つに認定された。これを機に江戸三大祭りの1つである神田祭のポスターもしっかりアニメ調だった。
 
 絵馬にもイラストがわんさか。
 境内にある歴史を伝えるスペースの絵も、なんとなくアニメ風に見えてしまう。
 ちょっと変っているのは、狛犬の立ち位置。通常は横向きなのだが、ここの狛犬は堂々と正面向き。しかも偉そう。
 
 そういえば、奥の末広稲荷神社のキツネもやたら威風堂々。
 
 オールドマニア向けといえば「銭形平次の碑」。野村胡堂原作の人気時代物「銭形平次捕り物控」で、主人公銭形平次が神田明神下に住んでいたとの設定だったため、日本作家クラブが発起人になり碑が立てられた。
 発起人名にはそうそうたるメンバーが並んでいる。
 
 その横にちょこんと脇役のがらっ八こと八五郎の碑もあった。 なお、アニメ「ルパン三世」に登場する銭形警部は、銭形平次の子孫ということになっているらしい。
 最後に、昨年の神田祭の模様を少々。
 
 
 今年は中止になってしまったが、来年はまた盛大に行われる状態に戻っていてほしいものだ。
 
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