新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

階段紀行・イタリア ピサ 洗礼堂の階段。斜塔のある広場の夜景は素晴らしかった。

2022-03-29 | 階段紀行・イタリア

 ピサはもちろん斜塔が有名だ。だが、私が行った時は斜塔の傾斜防止の修理中で入館できず、斜塔内部の階段は撮れなかった。

 それで、今回は同じ敷地にある洗礼堂階段の紹介だ。

 洗礼堂は大聖堂と向かい合わせの形で建っており、正円形の優雅なロマネスク建築。高さ55m、イタリア最大、唯一の円形洗礼堂だ。

 中央に八角形の洗礼壇があり、

 その左側に説教壇が置かれる。ニコラ・ピサーノの傑作だ。

 全体を見渡すために2階に上った時の階段。こんなに狭く回廊のようになっていた。

 広場で休憩していた時、急に雲行きが怪しくなって湧き出した雲が斜塔を覆った。その時の写真がこれ。

 最後に、夜になって食事後に訪れた時に見た広場。ライトアップされた素晴らしい光景だった。

 

 

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階段紀行・イタリア フィレンツェ 「受胎告知」の瞬間に立ち会った錯覚を呼び起こすサンマルコ美術館の階段

2022-03-26 | 階段紀行・イタリア

 ルネサンスを生み出した都・フィレンツェ。北部にミケランジェロのダビデ像があるアカデミア美術館が存在する。そのすぐ近くにあるのがサンマルコ美術館。元々修道院で、その修道僧だったフラ・アンジェリコの傑作が収蔵されている。

 館に入り狭い廊下を左に進んで行くと、右に赤いじゅうたんの敷かれた階段が現れる。階段を上ろうと上を見上げると、まさに突然に、アンジェリコの最高傑作が、目に飛び込んでくる。そう、「受胎告知」。

 まさに今、マリアへの妊娠のお告げがなされた瞬間に立ち会ったかのような気持ちになってしまった。

 「受胎告知」の絵は2階の廊下の壁に描かれていることから、このような驚きの出会いが生まれるわけで、それを意図したのかどうかは不明だが、この「階段越しのサプライズ」は、今もなお相当に深く私の胸に刻まれている。

 花の聖母大聖堂(ドゥオモ)と、となりにあるジョットの鐘楼。どちらも数百段の階段を上らなければ頂上にはたどり着けない。どちらにしようかと迷ったが、鐘楼の方を選択した。なぜなら大聖堂の方を選ぶと、大聖堂のクーポラを眺めることが出来ないから。

 そんなわけで、鐘楼を上った。

 階段は創建当時のままのようで、狭くきつく長い。

 でも、やっと上り終えて見渡したフィレンツェの風景は格別のものだった。

 フィレンツェには何度も足を運んだが、意外に階段の写真はほとんど撮っていなかった。だけどこれでフィレンツェを終わってしまっては惜しいので、何枚かフィレンツェらしい風景を掲載しよう。

 ドゥオモの夜の姿。「冷徹」といった表現が似合いそうな屹立する形が素晴らしい。

 ドゥオモの隣りにあるサンジョヴァンニ洗礼堂内部。まばゆいばかりのモザイク壁画で埋め尽くされたこの場所で、ダンテも洗礼を受けた。

 街の中心にはヴェッキオ橋が架かる。

 この橋が、夕方にはオレンジに色づいたアルノ川の色彩に映えて、夜へのプレリュードを奏でる。

 夜。ルネサンス美術の至宝を納めたウフィツィ美術館側から、ライトアップされたヴェッキオ宮の塔を眺める。喧噪の昼とは様変わりする夜の広場の静寂もまた、フィレンツェの隠れた魅力の1つだ。

 

 

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階段紀行・イタリア ヴェローナ 巨大な闘技場の野外オペラで階段観客席は観衆で埋まった

2022-03-22 | 階段紀行・イタリア

 今回は古代ローマ時代の円形闘技場を使った階段観客席を紹介しよう。

 北部イタリアの都市ヴェローナには、「ロミオとジュリエット」伝説と共にヨーロッパでも有数の巨大円形闘技場「アレーナ」がほぼ完全な形で残されていることで知られている。

 その闘技場は、長径152m、幅128m、高さ30m。2万2千人の席が設置されており、毎年夏には野外オペラ祭が盛大に展開されている。

 場内の観客席は見上げるような高さ。百段以上の階段席が絶壁のようにそびえていた。

 多くの客席は階段状になっている。入退場の際にもこの階段を使うのだが、傾斜が結構きついので、上り下りは十分注意しないと大変だ。

 少しアップしてみると、一番後方に大きなフェンスがあり、そこから階段が始まっている。

 ここが造られたのは1世紀。外から見るとこの闘技場がそれほど高く見えないのに、中に入ると高低差の大きさに驚く。それは2000年もの歳月によって堆積した地層が周囲の土地を上昇させた結果だという。

 ゼイゼイ言いながら最上段に上ると、遠く北の空にはアルプス山脈の白い峰々を望むことが出来た。

 ある夏、ここで開かれた野外オペラを見に行った。開演は午後9時。その1時間くらい前から1番後方の、いわゆる天井桟敷に続々と観客が詰めかけてきた。

 よく見ると、満員の天井桟敷席の下側はクラスが上がって、臨時の椅子席が設けられている。(私たちは奮発してアリーナ席を予約していた)

 階段席の観客は、かなり狭いスペースに立ち見。しばしば歓声を上げながら開幕を待つ。

 いよいよオペラが始まった。演目は「アイーダ」。大がかりな舞台セットが照明に照らされ、100人を超える出演者がずらりと登場して、絢爛豪華なドラマが始まった。

 ドラマもクライマックスの達しようとした時、舞台後方の夜空に、満月の白い月が冴え冴えと上ってきた。野外劇ならではの効果満点の場面だった。

 別の機会に訪れた時は、広場でクリスマスマーケットが開かれ、そこに流れ星が突き刺さるというスペクタクルな装置が造られていた。

 また、同じヴェローナにあるカステルベッキオ美術館は、建築家カルロス・スカルパの改修によって古城に現代的な階段が設置された。

 

 

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階段紀行・ヨーロッパ ドイツ編③ ベルリン・森鴎外記念館の階段には、「舞姫」の文章が刻まれていた

2022-03-19 | 階段紀行・ヨーロッパ 

 ベルリンの象徴ブランデンブルク門から北へ約15分のところに森鴎外記念館がある。鴎外がベルリンに留学していた時に滞在した建物が、記念館として整備されたものだ。

 通りから見えるベージュ色の建物の壁面に「鴎外」の日本語が大きく書かれているのがわかる。

 ただ、建物正面は店になっていて、記念館は横の通りにある入口から2階に上った所にあった。

 その上り階段がこれ。一見珍しい階段というわけではないが、

 左の壁を見ると、文字が書かれている。「げに東に還る今の我は、西に航せし昔の我ならず・・・」。そう、この文章は鴎外のデビュー作「舞姫」の文章だ。

 若き留学生が現地の少女を見初めながら、留学を終えた主人公は日本に帰り、その恋は実ることなく終わってしまう。ストーリーは、鴎外の実体験を色濃く反映した内容になっている。

 階段を上りながら、若き鴎外青年の心情を反芻する貴重な時間を過ごしたひと時だった。

 室内には大きな鴎外の肖像画と共に、背の高い本棚に作品や関係資料が展示されている。

 また、最愛の娘「マリチャン」へあてた直筆の手紙も残されていた。やはり作家となった少女時代の森茉莉へあてたものだ。

 管理人の日本人女性に鴎外に関する資料もいろいろ見せてもらい、貴重な時間を過ごさせてもらった。

 その夜のベルリンはプロジェクションマッピングが行われ、華やかに彩色されたブランデンブルク門の七変化を満喫した。

 

 

 

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階段紀行・ヨーロッパ ドイツ編② デザイン階段を上ると、ゲーテの執筆の跡がうかがわれるインクの染みが!

2022-03-15 | 階段紀行・ヨーロッパ 

 フランクフルト市の繁華街に、ゲーテの家はある。ドイツの生んだ偉人・ゲーテは市内屈指の名家の生まれだ。第二次世界大戦で生家は破壊されたが、内部の資料は避難して無事。戦後忠実に建物は復旧されて、博物館として公開されている。

 入口にはゲーテ本人の像がシルエットになって展示され、その前を通って入場するシステムになっていた。シルエットの出迎えって、なんかいい感じ。

 中に入ると、上り階段に柔らかく照明が当たっている。

 重厚な造りの階段だ。

 その手すりには、アールヌーヴォー調のデザインされた模様が付いており、それが壁面に多彩な絵画を映し出している。

 4階に向かう階段には、また違った手すりデザインが施されていた。

それがまた、面白い影を創り出した。

 その4階には「詩人の部屋」と名付けられた部屋があった。机には、中央付近から全体に広がる無数のインクの染みが。

 ゲーテはこの机で「若きウエルテルの悩み」や「ファウスト」の初稿を書いたとされる。執筆の痕跡が実に鮮烈に残っている。さぞかし夢中になって書き進んでいたんだろうなあ。感動ものだった。

ゲーテの家のすぐ近く。家具雑貨の店のショーウインドウにこんな住宅内部の立体モデルが飾られていた。

 中央には洒落た階段が取り付けられていて、思わずシャッターを切った一枚。

 

 

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