新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 南イタリア編① プロチダ島 ゴールデンウイークに憧れの島に到着した

2024-04-30 | 心ふるえる風景 南イタリア編

 ある日書店の店頭で 旅行雑誌を立ち読みしていたら

 目の覚めるような風景に出会った

 地中海に浮かぶ小さな島 その全景が高い視点から捉えられた写真だった

 「ああこんな島があるなんて 一度自らの眼でみてみたい」

 

 それから この未知の島を調べ始めた

 島の名前は「プロチダ島」

 でも一般の観光雑誌やガイドブックには 名前さえ掲載されていない

 それで図書館や大型書店の検索などを巡って ようく場所を確定することが出来た

 

 島へのアプローチはナポリから そこまでいけば 定期便があるらしい

 これだけの情報を手掛かりに ゴールデンウイークにナポリへ飛んだ

 

 ナポリから船で1時間 抜けるような陽光に迎えられて到着したプロチダ

 高台のホテルから 眼下に地中海が広がる

 濃いブルーの蛍光塗料をぶちまけたような きらめく輝きに満たされている

 

 さてあの雑誌で見かけた 航空写真のような景色はどこで見られるのだろうか

 陽気なホテルのオーナーが 教えてくれた

 「高台のテッラ・ムラータ地区からなら 全景がばっちりだぜ!」

 

 さっそく出発 ホテルからひたすら島の上り坂を歩く

 ようやく高台のほぼ頂点に着くと 広場のような場所があった

 ここで一休みしようか

 海岸線に近いスペースに移動して 今来た方向を振り返ると

 そこに夢のような風景が 広がっていた

 島の中央部には 明るくカラフルな住宅群がひしめき

 それを取り囲むように きらめく地中海が展開する

 空は雲1つない快晴 光を浴びて揺れる船舶群

 

 このパノラマだけでもう 島の虜になってしまった

 

 

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心ふるえる風景 イタリア編㊺ ミラノ大聖堂の正面に残る 聖書と戦争の意外な遭遇

2024-04-27 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 ミラノを離れる前 もう一度大聖堂に来た

 正面には5つの扉口があるが その中央扉にある見事な彫刻を

 もう1度見たくなったせいだ

 ここにはキリストの母 つまり聖母マリアの生涯が作品となって残されている

 

 最も印象的だったのが 「聖母被昇天」の彫刻

 中央に立つ聖母は 上空を仰ぎ

 天国で待つ息子の元へと向かう決断を キリリとした表情に示している

 その聖母を囲むのは 天使たち

 集団でマリアを支え 天空への旅立ちの準備を整えている

 これは聖母の生涯の 最終盤に当たるシーンだ

 一方スタートとなるのは「受胎告知」

 大天使ガブリエルが 聖母の前に現れ

 聖なる子(キリスト)を 身ごもったことを告げる場面だ

 立ち尽くすマリアは 思いもかけない宣告に戸惑う

 波乱万丈の生涯が 正面の大扉に描かれているのは

 この大聖堂が聖母マリアに捧げられていることを 象徴している

 

 ところでこの彫刻群の中に1か所 現実世界の歴史を示すものがあった

 「受胎告知」の大天使の左袖の一部が 失われ変色している

 これは第二次世界大戦時 連合軍の爆撃が行われた時の傷跡だ

 連合軍の爆撃は 大聖堂を避けて行ったが

 たまたま流れ弾が当たってしまい 破損してしまったのだという

 

 聖書の世界に紛れ込んだ 負の遺産とでも言えばいいのだろうか

 

 

 

 

 

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心ふるえる風景 イタリア編㊹ ミラノの中心街に 突如現れる「哲学する巨人」の群れ

2024-04-23 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 腕を組み 顎に手を当て 

 それぞれに厳しい表情のまま 何かを思っている

 衣をまとい あるいは半裸の姿で

 いずれも深い思索の溝に はまり込んでいるかのようだ

 

 スカラ座のあるスカラ広場から 東に延びる小道

 人通りの途切れる場所に 不思議な像の建物がある

 巨人の像が ずらりと並び 

 あたかも通行人をにらんでいるかのような 光景が目に飛び込む

 「オメノーニの家」と呼ばれている

 像は全部で八体 この場所だけは異様な雰囲気で満たされる

 建物は16世紀の彫刻家レオーネ・レオーニの住宅だったところ

 レオーネは 当時ミラノを統治していた

 スペイン王フェリペ2世の 宮廷彫刻家だった

 なのでこの像もレオーネ作だと思ったら 

 実はアントニオ・アボンディオの作品だという

 

 像はどれも 実在した哲学者らしいが

 なぜこのように 建物の前面に据えられたのか

 今では華やかな ミラノの街の中心部に

 どうしてこのような巨人像が 残されているのか

 まして 全員なぜ足がないのか

 不思議さが 募るばかりの場所だった

 

 なお「オメノーニ」とは 「巨人」という意味だそうだ

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心ふるえる風景 イタリア編㊸ ミラノ中央駅で 人々は出会い、また別れる

2024-04-19 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 ミラノ中央駅は ここに到着する電車すべてが終点となる終着駅の形式をとっている

 ローマやヴェネツィアなど イタリア国内の主要駅も同様だ

 24番線まであり ホームは大きなドーム型の屋根で終われる

 

 リバティ様式とアールデコ様式の混合した 鋼鉄のドームは

 ムッソリーニ時代に完成したものだ

 

 半円形の空間には 毎日人々がこの地に到着し

 またこの地から 旅立ってゆく

 それが日常の人 だけではない

 人生の大きな分岐点 となる人も含まれる

 

 駅はドラマの出発点であり また終着点でもある

 全長341m 66000㎡の駅構内で

 出会いと別れの感慨が 日々繰り返され

 そんな悲喜こもごもの思いを 飲み込みながら

 ミラノ中央駅はいつしか 歴史を紡ぎ続けて行く

  

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心ふるえる風景 イタリア編㊷ ルネサンスから現代へ ミラノの街は常に驚きを提供する

2024-04-15 | 心ふるえる風景・イタリア4大都市編

 ヴィットリオ・エマヌエーレ2世ガレリアを通りすぎると スカラ座のあるスカラ広場に出る

 ここには レオナルド・ダ・ヴィンチの像が建っている

 言うまでもなく 15世紀ルネサンスを代表する天才だ

 彼は1482年から1499年までミラノに滞在し あの壁画「最後の晩餐」を完成させた

 芸術はもちろん 科学技術にも才能を発揮した人らしく

 ピエトロ・マグニ作の肖像は 深い思索にいる哲学的な表情に表現されている

 

 やっぱりなあ・・・ うなずきながら回廊の別の側に出たとたん

 全く異次元の像に ぶつかった

 巨大でふくよかな女性像が ドーンと現れた

 重量感あふれる肢体を 誇るように微笑むのは「マドンナ像」

 南米コロンビアの代表的な芸術家 フェルナンド・ボテロの作品だ

 

 短期間の特別展示だったが 思索にふけるルネサンスの偉人像から

 19世紀の華やかでスマートな ガレリアを通り抜けて

 現代を大らかに表現した 女性像へ

 数百年の歳月を数分間で体験した 驚きと戸惑いとが

 しばらく頭の中を 駆け巡る1日だった

 

 

 

 

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