ある日書店の店頭で 旅行雑誌を立ち読みしていたら
目の覚めるような風景に出会った
地中海に浮かぶ小さな島 その全景が高い視点から捉えられた写真だった
「ああこんな島があるなんて 一度自らの眼でみてみたい」
それから この未知の島を調べ始めた
島の名前は「プロチダ島」
でも一般の観光雑誌やガイドブックには 名前さえ掲載されていない
それで図書館や大型書店の検索などを巡って ようく場所を確定することが出来た
島へのアプローチはナポリから そこまでいけば 定期便があるらしい
これだけの情報を手掛かりに ゴールデンウイークにナポリへ飛んだ
ナポリから船で1時間 抜けるような陽光に迎えられて到着したプロチダ
高台のホテルから 眼下に地中海が広がる
濃いブルーの蛍光塗料をぶちまけたような きらめく輝きに満たされている
さてあの雑誌で見かけた 航空写真のような景色はどこで見られるのだろうか
陽気なホテルのオーナーが 教えてくれた
「高台のテッラ・ムラータ地区からなら 全景がばっちりだぜ!」
さっそく出発 ホテルからひたすら島の上り坂を歩く
ようやく高台のほぼ頂点に着くと 広場のような場所があった
ここで一休みしようか
海岸線に近いスペースに移動して 今来た方向を振り返ると
そこに夢のような風景が 広がっていた
島の中央部には 明るくカラフルな住宅群がひしめき
それを取り囲むように きらめく地中海が展開する
空は雲1つない快晴 光を浴びて揺れる船舶群
このパノラマだけでもう 島の虜になってしまった