新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

ジローナ 川沿いの絵のような街並みを過ぎて、赤ちゃんの階段上り挑戦を観戦

2020-04-18 | スペイン北部

フィゲラスのダリ美術館からバルセロナへの帰り道、ジローナという街に寄った。次の電車までの2時間の待ち合わせ時間で駆け足散策。あわただしかったが、結構味のある街だった。そもそもこの地はイベリア半島の語源ともなった先住民族イベロ人が築いたもので、紀元前5世紀からの古い歴史を誇っている。

 駅を出てリベルタット通りを進んでいくと、オニャール川沿いに見事な街並みが見えてくる。向かって右側が旧市街、左側が新市街だ。

 通り中ほどまで行くとオニャール側が左に曲がり、街並みもそれに沿って湾曲する。

 右奥の高い建物はカテドラル。この付近から眺める風景はまさに絶景。

 川を横断する赤い鉄橋が見える。実はこれ、パリのエッフェル塔を設計したエッフェルの手になるものだという。

 名称は日本語にすると「古い魚屋の橋」。橋のたもとに魚屋があったのだろうか?

 リベルタット通りの終わりころから道は複雑に入り組んできた。この辺りは旧ユダヤ人街だったところ。12~15世紀にかけて、ユダヤ人追放令が出る前まではユダヤ人たちで栄えた地区だ。

 かつてはナポレオンの侵攻から街を守ったという城壁や門、石のトンネルをくぐりながら、長い石畳の細い道がどこまでも続く。

 またもや石畳の迷路。

 やっと開けた場所に出た。カテドラルだ。正面はバロック様式だが、鐘楼はロマネスク、内部はゴシック様式だという。

 90段の高い階段。まだ歩き始めたばかり位の赤ちゃんが、ハイハイしながら上り始めた。母親もそれを励ますように見守る。

 すごいすごい。赤ちゃんはしっかりと上って行く!

 ああ、もう電車の時間が迫ってきた。赤ちゃんの結末を見届けられずに駅への道を引き返すことになった。

 帰りがけ、ある店の壁面に賑やかな浮き彫りを見つけた。1枚だけシャッターを押して駅に駆け込んだ。

 これでバルセロナを中心にしたスペイン北部の旅シリーズを終了しますが、以前のシリーズで詳しく紹介したために今回掲載しなかった2つの著名な建築の写真だけは、載せておきましょう。

 サグラダファミリア。ずっと建設が続いていたが、あと数年後には完成するめどがついたそう。
 カサ・バトリョ。ガウディの建築の中でも個人的には一番好きな建物です。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ダリ美術館下 最愛の妻ガラの輝く姿。そして仕掛けと企みのファンタジックワールド

2020-04-14 | スペイン北部

 ダリ美術館を歩いている。ここにはだまし絵や企みに満ちた作品がゴロゴロしている。

これは、ミケランジェロがローマで制作した「モーゼ像」。

しかし、なぜか頭上にはタコが足をくねらせている。

 こちらは明らかにバチカン大聖堂の宝でもあるミケランジェロのピエタ像をモチーフにしている。

 そして、この顔もミケランジェロの彫刻「ダビデ像」そのものだ。ダリがミケランジェロに対して大きなリスペクトの心を持っていた証拠なのだろうか。

 また、ラファエロの「アテネの学堂」をモチーフにした作品もあった。

 この絵は一見すると髭を生やした中年の男性像。だが、よく見ると中央には手紙を読む女性の立ち姿が浮かび上がってくる。しかも、それはフェルメールの「手紙を読む女」を連想させる。

 この祈る姿は明らかにミレーの「晩鐘」そのもの。

 偉大な芸術家の作品をモチーフにしながらも、そこにダリ独得の加工を施して自らの世界に引き寄せている。

 この美術館で最も注目すべき作品があった。「レダアトミク」。ギリシャ神話の「レダと白鳥」。スパルタ王の妻で絶世の美女レダに、全能の神ゼウスが恋してしまった。ゼウスは白鳥に姿を変えてレダに近づき思いを遂げてしまう、というストーリー。

 その美女レダを、ダリは自らの妻ガラの姿で描いてしまった。ガラはダリより10歳も年上の人妻だった。しかしガラに惚れたダリは最終的にはガラを妻とし、死ぬまで永遠の女性(ミューズ)として愛し抜いた。その女神の姿を見事に描き切った作品だ。

 ガラの顔だけの肖像画もあった。

 また、別室には見上げる天井に、足裏から立ち上がる2人の人物の姿が豪快に描かれていた。

 そこここに仕掛けられたダリの多彩な才能にふらふらになりながら会場を後にした。

 

  

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ダリ美術館上 え、リンカーンが女性の裸像に!ダリが故郷に創った奇想天外の美術館

2020-04-11 | スペイン北部

 バルセロナから、フィゲラスというフランス国境近くの町を訪れた。ここにはサルバトール・ダリが自ら創り上げたダリ劇場美術館がある。

 フィゲラスはダリが生まれ育った町。そして美術館の場所は、彼が14歳の時初めて作品を出品した展覧会の会場である市立劇場のあった所だ。1930年代のスペイン内戦で廃墟化していた劇場跡を、自らの美術館に復元したというエピソードが隠されているゆかりの場所だ。

 駅から歩いてくると、巨大な卵がいくつも載せられた建物が見えてくる。

 壁一面に付いているブツブツは、近づいてみるとパンのようだ。

 正面入口は普通の建物のように見える。

 だが、中に入ると奇想天外のもろもろが次々に現れた。まず、入口中庭には本物のキャデラック。車内でボタンを押すと水が噴き出す「雨降りタクシー」。

 屋根から立ち上がるブロンズ像は「女王エステル」。

 真上には球体のような明かり取りの天井が開ける。

 正面には顔のない巨大な女性像がドンと描かれている。

 下に座る人と比較すれば、いかに大きいかが歴然だ。

 横の壁上部に肖像画が掛かっている。この距離からみれば、リンカーン像であることがわかる。

 しかし、近付いて行くと、そこには裸の後ろ姿をした女性像が現れる。この女性は最愛の妻ガラだ。タイトルは「20m離れて見るとリンカーンの肖像に変わる、地中海を眺めるガラ」。

 次のスペースへ。赤い柔らかなソファのある部屋。だが、部屋の正面に回り、階段を上ってそこにあるレンズを通してみると、暖炉は鼻、ソファは唇、カーテンはブロンドの髪に変化して、一人の女性の顔になる。

 ハリウッド女優メイ・ウエストの顔だそうだ。

 メイ・ウエストは19世紀ハリウッドで活躍した女優。代表作に「美しき野獣」などがある。ダリは彼女を一種の理想女性としていたといわれる。まあ、本物の顔と似ているかどうか、と聞かれれば「う、」と口ごもってしまうのだけれど・・・・。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする