新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

イタリア南端の町がオレンジの明かりに包まれる・・・オストゥーニ④

2016-08-13 | 南イタリア・オストゥ...

オストゥーニの町に次第に夕闇が迫ってきた。

 さあ、町全体をカメラに収めよう。

 先ほど見つけておいた撮影スポットに向かった。

 太陽が彼方に隠れて行った。

 空には茜雲。

 次第に旧市街の家々に明かりが灯り始めた。

 そして、大聖堂もライトアップされた。

 外から見ると、大聖堂の塔が見事に町の中心にあるように造られているのがよくわかる。


 ふもとの教会にも明かりが灯った。

 イタリア半島の南端。踵のあたりのほんの小さな町。
その街を夕闇が包み込んでゆく。

 子供のころ、いや大人になってからも、静寂に支配されたこんな場所に立って、イオニア海とアドリア海に挟まれた真っ白な集落を見つめているなどということを、想像もしていなかった。

 まるで時が止まったような世界で、ただただ目の前に展開される「ライトアップショー」を独占できる喜びが、じわじわと湧き上がるひと時だった。
 でも、ふと我に返るともう最終バスの時間が迫っている。大急ぎでバス停に向かった。
 結局バスは10分ほど遅れてきたので、悠々間に合った。
 長く、暑く、素晴らしい一日が過ぎて行った。
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斜面都市の中央にそびえ立つ大聖堂・・・オストゥーニ③

2016-08-09 | 南イタリア・オストゥ...

 ぼちぼち帰りのことを考えて、この町の全景をカメラに収めることの出来るスポットを探し始めた。バスは旧市街に入ってこないので、新市街のバス停に近いところで、旧市街の全景が見える場所の探索だ。
 高台を伝って歩いているうちに、ほぼ全景を見渡せる場所が見つかった。


 よーし、ここでライトアップされた町が撮影できそう。大聖堂の全体像もここからだとよくわかった。

 大聖堂は、丘の頂上付近にそびえるような形で、存在感たっぷりだった。


 ふもとにはイスラム系のモスクのような変わった建物も建っていた。


 さっきは閉まっていた大聖堂に戻ってきた。バラ窓の部分に夕日が当たり、ファザード全体がオレンジ色に染まっている。

 その姿が、近くに停車していた車のバックガラスに映っていた。

 大聖堂内部に入った。

 ちょうどミサの最中だ。

 中の照明が内部を荘厳に照らしていた。

 あまり邪魔にならないように、側廊部分だけを見学。柱に施された模様が見事だ。

 わずかに残されたモザイクも。

 そろそろ日が沈んでゆく。ライトアップの撮影ポイントに移動しよう。
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地上の軍艦に似た、迫力の゛斜面都市”を探訪する・・・オストゥーニ②

2016-08-05 | 南イタリア・オストゥ...

 オストゥーニの旧市街は階段が続き平たんではないのだが、まるで迷宮の中にすっぽり入りこんだような気分で、でこぼこなど少しも苦にならない。


 プーリア地方には白い街がいくつもあるが、ここの白壁もきちんと整備されていた。

 細くなった道に戸惑っていると、急に見晴らしの良い広場に出たり、階段を上るとアドリア海の展望が飛び込んできたり、

 まさに変化に富んだ眺めが展開して飽きることがない。

 旧市街を囲む城壁の所に来た。この城壁は1350年ころアンジュー家の支配していた時代に造られ、その後も増強されて今のようになったという。


 この町は何度も支配者が入れ変わり、戦いと戦乱が繰り返された。そのたびに防備の強化が図られる。
 ここはアドリア海からわずか10キロのため、常に海からの異民族侵入の脅威にさらされてきた。

 従って町の外壁はまさに城郭として、高く堅固に強化され、地上の軍艦のような装いを見せることになった。

 その結果の高低差が、迫力ある斜面都市を形成していった。

 そんな城郭にも人の生活がある。洗濯物が風に揺れていた。

 また別の場所ではバルコニーに干された洗濯物が強烈な色彩で、これがまた白い町によく合っていた。


 そして、城壁と海との間に広がるのはオリーブの林。この地では良質なオリーブが取れることで有名。住民に聞くと、大きくうなずいてくれた。

 一回りしてリベルタ広場に戻った。

 カフェでグラニータリモーネを一杯。うまい!
 冷たさと甘さの具合が絶妙で、空を見上げて「ヤッホー」と叫ぶくらいにうまかった。
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イタリア半島のかかとを歩く・・・白い迷宮の町オストゥーニに到着①

2016-08-02 | 南イタリア・オストゥ...

 今回からは南イタリアの街を紹介しよう。数年前の夏、イタリア半島の長靴のかかとのあたりにある8つの町を歩いたが、そのうちブログにアップしたのはチステルニーノだけだった。(旧ブログ「イタリアの誘惑」に掲載)


 それで、残りの7つについても少し詳し目に取り上げたいと思っている。紹介予定の町は、この地図にある町のうち、オストゥーニ、マルティナフランカ、ロコロトンド、アルベロベッロ、マテーラ、ポリニャーノ・アマーレ、レッチェ。まずはオストゥーニから。


 オストゥーニへはチステルニーノからバスで向かった。バルで入手したチケットを持ってバスに乗り、運転手に「旧市街地近くで下してほしい」と依頼、イタリア広場の停留所で下してもらった。旧市街にはこの路線の停留所はなく、この広場が最寄りとのことだった。
 運転手は、広場から旧市街地への行き方も丁寧に教えてくれたが、とても早口でイタリア語初心者としては超難解! デストラ(右)、シニストラ(左)ソプラ(上)ジュー(下)などの方向を示す単語を頼りに歩いていたら、奇跡的に一発で旧市街のリベルタ広場に着くことが出来た。

 広場にはこの町の守護聖人であるサン・トロンツオの像が高い塔の上にそびえる。

 この像、右手でピースサインを作っているようで、ちょっとユーモラス。とても開放的な広場だ。

 まずは街散策。緩やかな上り坂を上ってゆくと若者たちや老人たちとすれ違う。

 小規模のポルティコ(アーケード)の影と、日向の明るさとがコントラストを作って、異次元の世界に誘い込まれそうになる。

 大聖堂は15世紀の建築で、正面の大きなバラ窓が印象的。扉が閉まっており、後程来ることにして街歩きへ。

 大聖堂真向かいにある司教館と図書館とを結ぶ陸橋がある。ちゃんと装飾がなされていた。

 その奥に、とんがり帽子のような大聖堂の尖塔が頭を出している。

 通りを歩いていると、どちらを向いても白く塗りこめられた壁が両側に建ち並ぶ。

 その白にアクセントを添えるのが、窓に飾られた花々。

 まるで純白の彫刻の森に迷い込んだ異邦人の心境になる。

 狭い道で建物が高く、しばしば空が見えなくなる。


 そんな所に突然現れるリズミカルな外階段の傾き。

 バットレス(建物を支える外側の支柱)の奇抜さにも、目を奪われる。
 街歩きは新鮮な驚きが一杯だ。
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