ドゥカーレ宮殿はヴェネツィア共和国という国家を統治するための中枢機関だった。政府と議会、裁判所をすべて統合した場所であり、さらに監獄までこの建物の中に含まれていた。
9世紀の建設以来改修拡張を繰り返して現在に至っているが、内部はヴェネツィアを代表する巨匠たちの絵画作品であふれる。そんな宮殿の内部が数年前から写真撮影OKとなっていて、カメラを持っての見学を試みた。
正面入口は、サンマルコ大聖堂と宮殿に挟まれた場所にある布告門だ。獅子像が中央にあり、それにひざまずく元首フランチェスコ・フォスカリの像が並ぶ。周囲には聖人像が取り巻いている。バルトロメオ・ボンによるゴシック様式の傑作だ。
その門の先には巨人の階段が見える。
階段を上ると、左右に2つの像が立つ。向かって左は戦いの神マルス、右が海の神ネプチューンだ。サンソヴィーノの作品。
中に入ろう。待ち受けるのは黄金の階段。
その漆喰装飾はまさに豪華の一言だ。
部屋の天井や側壁にはティントレットらの絵画が並ぶ。
「4つの扉の間」の右側の壁にあるのは「祈りを捧げるグリマーニ総督」。ティツィアーノの作品だ。
謁見の間に入るとヴェロネーゼによる「ヨーロッパの掠奪」がある。牛に座った白い肌の女性がヨーロッパを象徴する。
ティントレットの「パラスアテネ」もある。
ヴェロネーゼの絵画が続く。ヴェネツァイアの力を示す作品で、青色が実にさわやかだ。
こちらはティントレット作品。このようにヴェネツィアルネサンスの代表的な画家が競ってこの宮殿空間に作品を制作しており、ちょっとした美術館などとても及びもつかない豪華な場所になっている。