新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

再びマッジョーレ教会の‟至宝”を見る

2017-06-17 | 教会巡りヴェネツィア

マッジョーレ教会の中については旧ブログで詳しく紹介しているが、ここに寄ったついでに、改めてこの教会の‟目玉”を紹介しよう。その1つは外観。サンマルコ広場からの眺めは、何世紀にもわたって世界からやってくる観光客に感動を与え続けてきた。アンドレオ・パラーディオの設計による彼の代表作品だ。

 特に、ゴンドラと組み合わされた光景は、いつも立ち止まって見てしまう。

 内陣にはティントレットの名作が掲げられている。右側には「最後の晩餐」。まるでお祭りのような騒然とした晩餐、斜めに切り取った構図など、斬新な作品だ。

 その対角にあるのは「マナの収拾」。以前は暗い壁面にひっそりと掲げられていて、とても見にくかったが、今回行ってみると、この2点には照明が当てられていて鑑賞しやくすなっていた。

 もう1点はヤコボ・バッサーノの「羊飼いの礼拝」。生まれたばかりのキリストに優しいまなざしを注ぐ聖母マリアの姿が暗闇に浮かび上がる構図。心がほっこりする絵だ。

 ただ、こちらは照明が当たっておらず、全体を見ようとすると窓からの光が反射してうまく見られないのが残念だ。

 また、後陣にあった聖歌隊席では、椅子に施された天使(?)たちが可愛らしい。

 しかも、それがずらりと並んで、まさに大賑わい。

 今回は、ちょうどヴェネツィアビエンナーレ期間だったので、この教会も協賛展示場となっていた。多国籍の人たちが鐘楼への通路に並んでいて、いつもは静かな教会が何か賑わいを見せているような錯覚に陥った。

 教会の裏手にはヨットハーバーがあり、ヨットが勢ぞろい。この辺はやはり大観光地ヴェネツィアならではの景色かも。

 それに加えて、ちょっとした公園も整備されていた。

 このマッジョーレ教会の景色はいろんなところから見られるので、いろんな形で写真にも納めることが出来る。

 こんな遊びもしてみた。

 最後はやはりオーソドックスな風景を!
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ファザードがめちゃくちゃ豪華なジーリオ教会…ヴェネツィア教会巡り⑦

2016-07-15 | 教会巡りヴェネツィア

 サンマルコ広場から西に向かって3月22日通りを歩いてゆくと、右手に小さな広場を持ったバロック調の教会が現れる。それがサンタマリア・デッレ・ジーリオ教会だ。
 1679年から81年にかけてジュゼッペ・サルディによって建設された。

 ファザードは豪華。中央付近にダマルチアやイタリアの城塞都市を描いた6枚の大理石レリーフがはめ込まれている。また、ダマルチア監督官を務めた新興貴族アントニオ・バルバオの像が据えられている。

 さらに、脇にもバルバロ家の人物が立つ。

 中に入ろう。主催祭壇にはハインリッヒ・メイリングによる彫刻「受胎告知」。右手の聖母マリアに対して左手の大天使ガブリエルが、キリストを身ごもったことを告げるシーンだ。

 その下の面に何かあると思って近づいてみると、これは「最後の晩餐」がモザイクで造られていた。ジョヴァンニ・コランの作品だ。

 天井にも絵があった。しかも3枚も。いずれもアントニオ・ザンキの作で聖母を描いた連作。誕生、戴冠式、被昇天の3場面のようだ。

 ティツィアーノやベッリーニといった大画家のものはなかったが、それだけに観光客などは皆無。じっくりと落ち着いて観賞できた。

 広々とした印象のある教会だった。

 ジーリオ広場の先の岸辺からは、11月のサルーテの祭りの際、臨時の橋が渡される。この時だけは広場周辺は年に一度の大賑わいになる。
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西欧最古のギリシャ教会がヴェネツィアに・グレーチ教会…ヴェネツィア教会巡り⑥

2016-07-12 | 教会巡りヴェネツィア

 スキアヴォーニ河岸を歩いていて、いつも気になるものがあった.馬に乗ったヴィットリオ・エマヌエール2世の大きな像を過ぎたところで、運河の奥を見ると大きく傾いた鐘楼が目に入る。でも、その教会に行こうとして、その度に迷子になって断念していた。

 ある時、サンザッカリア教会の裏手を歩いていて、思いがけずその教会がすぐ目の前にあることに気付いた。それが、サン・ジョルジョ・デイ・グレーチ教会の鐘楼だった。


 名前の通りこれはギリシャ人社会が残したルネサンス様式の東方正教会の建物。調べてみると1453年にコンスタンティノープル(現イスタンブール)が陥落した後ヴェネツィアに移住してきたギリシャ人は5000人にも及んだという。その人々が金を出し合って建設したヨーロッパ最古のギリシャ教会なのだという。

 内部には金色に輝く主祭壇画中央にあり、その周囲は比較的暗く抑えられた照明になっていた。

 中心部には十字架が吊り下げられている。

 上の半円部分は受胎告知の場面だ。
そのうちミサが始まった。邪魔してはいけないので、教会を出た。

 玄関入り口にはキリスト像が描かれている。

 この日はギリシャの何かの記念日なのか、前庭にはギリシャ国旗がたなびいていた。


 間近に見た教会と鐘楼。こうしてみるとあまり傾いていないようだが、角度を変えるとかなりの傾斜がわかる。

 帰り道、ふと渡った橋の標識を見ると、

 なんと「ポンテ・デル・ディアボロ」の文字が。「悪魔の橋」を渡ってしまった。お~こわ!
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聖母マリアが青空に向かって飛び立つ。ジェズイーティ教会・・・ヴェネツィア教会巡り⑤

2016-07-05 | 教会巡りヴェネツィア

 ジェズイーティ教会は、ヴェネツィア本島北東のカンナレージョ地区に位置する。ここは1715年、ドメニコ・ロッシによって改築された、典型的なバロック建築だ。内部は白大理石の柱。石の中にも緑色がはめ込まれている。

 うねうねと曲線を描く造形が、まさにバロック。そこに金と漆喰で象嵌細工もなされている。

 主祭壇のバルダッキーノ(天蓋)は、バチカンのサンピエトロ大聖堂を模倣している。ジュゼッペ・ポッツォが仕上げた。中央に三位一体の群像があり、その前にラピスラズリのはめ込まれた聖壇がある。
 とても精巧だが、全体的にはやっぱりグロテスク感が強いなあ。


 天井も絢爛豪華としか言いようがない。天頂部にあるのがフランチェスコ・フォンテバッソのフレスコ画。
イタリア各地にあるイエズス会のジェズ教会は大体そうだが、とにかくゴテゴテの装飾だらけの雰囲気が漂っている。そのせいで、好き派と嫌い派が極端に分かれる傾向が強い。

 ひと際暗い絵画がある。ティツィアーノの「聖ラウレンティウスの殉教」。1558年の作品で、松明と月光によって処刑の様がうっすらと浮かび上がる夜の光景を描いた。絵画史上初の試みだった。

 こちらはティントレットによる「聖母被昇天」。この2作品は同教会の宝だ。

 教会から出た時、ちょうど太陽が教会上部にあって、向かいの建物の壁面に、ファザードの天使像のシルエットを映し出していた。

 その天使たちがこちら。後光を発していた。

 教会てっぺんにも注目!聖母被昇天の場面を再現した彫像が備えられている。

 青空を背景に、今まさに天に昇って行こうとする聖母マリアの姿がまぶしく輝いていた。
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女性聖人がその美を競う?!ジェズアーティ教会はティエポロの世界…ヴェネツィア教会巡り④

2016-07-02 | 教会巡りヴェネツィア

 ジェズアーティ教会はジュデッカ島を望むザッテレ海岸に建っている。
 4本のずっしりとした円柱が、ファザードを飾る。

 ここは、ジャン・バティスタ・ティエポロフアンの私にとってはたまらない教会だ。
 別名を「サンタ・マリア・デル・ロザリオ教会」というように、天井画は「ロオザリオの制定」が掲げられている。
 ドミニコ修道会の創始者である聖ドミニクスが、ロザリオを掲げて異端者たちを追い払う奇跡の場面だ。



 ドミニクスの姿は極端な仰視法で描かれる。私たちは天井に平行に絵を見ているのだが、絵の中にいるドミニクスは垂直に立っている所を見上げているとしか思えない。
 一番下の部分では、異端者たちが画面からはみ出してしまったようなだまし絵手法も使われていて興味津々の絵になっている。

 そして、上部にはゆったりとした空間を設けて、永遠性を思わせる画面構成を完成させている。

 「ロザリオの聖母」は、画面の最上位に聖母マリアを配置し、


 中央に左から十字架を持つ聖ローサ、キリストを抱く聖カタリナ、首飾りを手にうつむく聖アグネスの3人のドミニコ会女性聖人を配している。
 まるで聖人の美人コンテストでもあるかのようなラインアップ。それもティエポロ特有の誰もが現実を超越したかのような無表情。

 「男どもなんて、全く取るに足らないちっぽけな存在よね」などとつぶやいてでもいるようだ。

 堂内は広々としている。

 こちっらはジャンバティスタ・ピアツェッタ作の「ドミニコ修道会の三聖人」。

 仰ぎ見る聖人の表情が素晴らしい。

 その他にも昇天する聖人の姿。これもティエポロかも。


 大きな「ロザリオの聖母像」も入り口付近に置かれていた。
 ちょうど夕方のミサが終わったばかりの時間帯で、堂内の照明が点灯していたために、全体を明るい中で見ることが出来た。特に天井画などは照明がないと本当に暗くてよくわからないことをしばしば経験しているので、この日は本当にラッキーだった。
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