新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

マントヴァ⑪ マントヴァ最終日、湖に展開するロンバルディアの夕景にしばし見とれた。

2018-07-10 | イタリア・ジェノヴァ

 夕方、湖畔の風を感じたいと思い立ち、インフォリオーレ湖に出かけた。

 サンジョルジョ橋を渡ると、ちょうどドゥカーレ宮殿などの建築群が湖越しに眺められる。

 ただ、まだまだ夕陽になるまでは時間がある。湖畔を散歩してみよう。

 岸辺に、打つ捨てられたような廃船が一艘。

 その先には杭の列があった。
 
 刻まれた年輪をむき出しにした杭の並ぶ様、何ということもないけれど、ちょっと心惹かれる風景だ。

  そばには青いススキが風になびく。

 湖に突き出た桟橋の先にはカップルの姿が・・・。

 ようやく太陽が傾いてきた。建築群とは別の方角に太陽が沈んでゆくので、建物や湖面はそれほど夕焼けにはならないような感じだ。

 そのうち、桟橋には別のカップルが登場した。この辺はデートコースにでもなっているのかな?

 建築群と上空、湖面が少しだけ赤味を帯びた。

 それより、サンジョルジョ橋を走り抜けるバイクが夕焼けに包まれている。
 そうか、橋の向こう、メッゾ湖側の方が夕陽に染まっているのかも。坂を上ってメッゾ湖の方に出た。

 やっぱり夕景はこちら側に展開していた。

 鏡のような湖面。そこに一隻だけ浮かぶ魚取りの小舟。まるで浮世絵のような風景を、イタリアの一地方都市で見ることになるとは!

 すっかり日は沈み、名残りのオレンジだけが湖を染めている。

 この日でマントヴァ滞在は終了。ここまでは中小の街を訪ねて歩いてきた。明日からは徐々に規模の大きな街に向かってゆく。

 すっかりゆったりとした日常に慣れてしまった気持ちを少し締め直して、明日からの旅に備えよう。


 絵のようなマントヴァの黄昏を胸に刻んで、宿への帰路に就いた。



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地中海の島サルディーニャからイタリア半島・ジェノヴァの港に再上陸

2018-05-03 | イタリア・ジェノヴァ
 長らく中断していたイタリア旅行の続きを再開します。旅行の後半、ジェノヴァからベルガモ、マントヴァ、ボローニャ、パルマ。モデナ、フィレンツェ、ヴェネツィアと巡回して行きます。


 サルディーニャのポルトトーレス港を夜8時に出港した大型フェリーは、12時間かけてジェノヴァ港に向う。朝6時過ぎに起きて船内で簡単な朝食を摂り、甲板に出てみると、もう山のふもとにジェノヴァの港が見えていた。

 ジェノヴァは大きな街だが、その全体が俯瞰できるのはやはり海からというロケーションだからだろう。

 だいぶ近づいてきた。様々な塔がそびえている。

 突き出ているのは、多分大きな教会の塔だろう。

 港に入った。大型の船が何隻も並ぶ。やはり、かつては地中海の覇権を争った歴史を持つイタリア随一の港だ。

 ドックに入っている船も見かけられた。

 小型船の停泊場所にも無数の船舶がひしめく。

 白い船体にguardia finanza の文字。海上警備艇だ。

 こんなユーモラスなキャラクターが描かれたフェリーもあった。

 まもなく接岸。市街地のビル群が間近に迫る。

 さあ、いよいよ旅の後半戦、地中海の島からイタリア半島に再上陸して、まずはミラノの北部にある ベルガモを目指す。
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ジェノヴァの港からいよいよサルディーニャへ出発

2017-08-18 | イタリア・ジェノヴァ

 ケーブルカーを降りてすぐにアヌンツィアータ教会に入った。この教会はドゥオモにも負けないほどの豪華な装飾で、前回びっくりした思い出がある。

 列柱が白く、天井は黄金という対比がはっきりとしていて目を奪われる。

 天井画も色彩豊かだ。

 これは別の礼拝堂の天井画。

 高さも十分あって開放的な造りになっている。

 この教会の1つの特徴は、祭壇が絵ではなくて彫像によって構成されていること。

 天使が聖母を天に導くところだろうか。

 こちらの天使は悠然と空を飛んでいる。

 キリストの道行。こうした像によって物語を表現した祭壇は、ヴェネツィアのサンモイゼ教会などで見たことがあるが、数は少ないと思う。

 ジェノヴァ駅に戻った。

 駅前にはコロンブスの像が建っている。コロンブスはここジェノヴァ出身だ。

 街中にはコロンブスの生家が18世紀に復元されている。 

 12世紀に築かれた城塞、ソプラーナ門のすぐ近くにあった。街歩きの際に掲載し忘れたので、ここに収容しておこう。

 さあ、今回の旅の主目的の1つであるサルディーニャに向かおう。港のターミナルでは、もう乗船受付が始まっていた。フェリーのすぐ近くに改札口があると思っていたが、改札後荷物を引いて結構歩いてフェリーに行き、船の後ろにある乗船口から乗ることになる。

 コウモリマークの付いたフェリーが見えてきた。

 船は相当大きく、自分の座席がどこにあるのかを確認するだけでも相当時間がかかった。というのは座席が指定席だと思っていたのに、実際はゾーン指定で椅子席のあるゾーンであればどこに座っても良いというシステムになっていた。それをなかなか教えてもらえなかった。

 どうにか席も決まり、出発前に甲板でジェノヴァの街を海側から眺めようとデッキに上った。さすがに街は大きい。

 雲行きはおかしいが、遠くの高層ビルの奥に、かすかに夕焼け空がのぞいている。

 雲がきれいだ。

 夕闇の中でいよいよ出港。明日目覚めればサルディーニャだ。
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ジェノヴァ最大の繁華街ガリバルディ通りと幻の絶景

2017-08-12 | イタリア・ジェノヴァ

ドゥオモを出てフェラーリ広場に到着した。華やかな建物が広場を取り囲む。

 多くの観光客が集まってにぎやかだ。記念写真に興ずるグループも。

 ドゥカーレ宮殿へ。その壁面にモディリアニの看板を見つけた。彼の絵画展をやっているようだ。

 中の回廊に入ってみると、モディリアニの看板の横にはアンリ・カルティエ・ブレッソン展のポスターもあった。どちらも私の好きな作家。大いに心が揺れたが、これを見ていたらフェリー港への時間が無くなってしまうかも。後ろ髪をひかれる思いで宮殿を後にした。
 というのは、前回のジェノヴァ訪問の時に行きそこなった高台からの眺望を予定していたから。

 ガリバルディ通りを歩く。ここはジェノヴァ随一のメインストリートだ。共和国時代の栄華を偲ばせる貴族の館が建ち並び「黄金の通り」とも呼ばれている。

 赤色に塗られた「赤の宮殿」。

 白が際立つ「白の宮殿」。いずれも今は美術館になっている。こうした格調高い建物がずらりと建ち並んでいる。

 一歩横の通りに入ると犬連れの散歩などの庶民的な小路もあちこちにあった。

 メリディアナ通りの建物には巨人の彫像が。前日に見たミラノのオメノーニの家を思い出した。

 すぐに急坂がある。このあたりから丘の上に昇るケーブルカーがあるはず。

 ラルゴゼッカという場所からケーブルカー(フニコラーレ)に乗る。これも地下鉄の一日券が共通に使える。高台のリーギまで一気に上り詰め、65万都市の絶景を堪能しようという心づもりだ。

 リーギに到着。「さあ、絶景を」と下界を眺めようとしたが、見えない・・・・
 生い茂った木々が緑の葉を一杯に茂らせていて、下界は所どころが垣間見えるだけ。

 意気消沈してケーブルカーを下った。

 そこで、欲求不満解消のために9年前の写真を少々。というのは、前回は高台には上らなかったけれど、「赤の宮殿」に入った時、係員が屋上に案内してくれ、そこからの眺めを楽しんだことがあった。その時の写真だ。

 目の前に見えるのがヴェッキオ港。ジェノヴァは昔から現在までイタリア最大の港であり続けている。

 1992年コロンブスのアメリカ大陸到達から500年の記念事業として港の再開発が行われ、レンゾ・ピアノによって新しく生まれ変わっている。

 それだけに、高台から全体を見渡したかったんだけどね・・・・。
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ジェノヴァのドゥオモで9年前の氷雨を思い出した

2017-08-08 | イタリア・ジェノヴァ

 翌朝、ミラノ中央駅からジェノヴァに向かった。ミラノ中央駅はすべてのホームの線路がここで終点となる終着駅となっていて、丸い大きなアーケードで覆われたホームが近代的。

 そこからユーロスターで約1時間半。ジェノヴァ・プリンチペ駅には昼前に到着した。こちらの駅も改修されたようで、構内にレストランもある新しい形になっていた。

 この日の予定は、最初に今晩乗船予定のフェリーターミナルでチェックインし、それから市内見物。夜は船内泊になる。

 駅からフェリー港へは地下鉄で1駅先のディネブロ駅に行き、そこから徒歩というコース。フェリーターミナルの大きな建物が割と早く見つかったので、迷わずに到着できた。ネットで確保していた予約券を提出してチケットと引き換えて一安心。夜の出発まで時間はたっぷりあるので市内散策に繰り出した。

 地下鉄は1日券を買っておいたので乗り放題。最初に旧市街中心地のフェラーリ駅まで急行することにした。
 だが、車内で地図を見ていて途中にサンジョルジョ駅というのがあることに気づいた。多分壁面装飾の美しいサンジョルジョ宮殿がそこにあるに違いない、と思い途中下車。

 予想通り、地下鉄駅ホームを出ると正面に美しい外壁を誇る宮殿がそびえていた。さて、次は地下鉄に乗りなおすか。でも街頭掲示板の地図を見ると中心部はここからも近そう。


 歩き出すと、賑やかな通りの奥に高い塔が見えた。あれはサン・ロレンツォ教会かな?

 この教会は9年前の12月に訪れたことがあった。だが、着いた時にはもう夜。しかも冷たい小雨が降っていた。


 心細い思いをしながら暗い夜景を撮影したことがあった。

 氷雨に濡れた教会前広場の石畳が、鈍く光を反射させていたことを,妙に印象深く覚えている。

 打って変わって今日は明るい午後。晴れ晴れとした気持ちで教会の前に立った。黒と白の大理石を使った正面は、一見イスラム風な外見を持つゴシック様式だ。13世紀の3つの扉口が開いている。

 入り口のライオンは、あふれるほどに見かけたヴェネツィアのどのライオンよりも貫禄十分。


 内部も想像以上に豪華なことに驚いた。

 ヴェネツィアなどと地中海交易の覇権を争った都市のドゥオモならではの重厚さを備えている。

 修復中だったが、足場の鉄骨はそれほど邪魔にならないように組んであった。


 白と黒の大理石の組み合わせは独特だ。

 バラ窓。聖母子が光に包まれているようで、まぶしく見える。

 こちらのステンドグラスは聖母被昇天。

 祈りの祭壇。この教会には洗礼者ヨハネの棺があるとのことだが、この祭壇がそうなのかも。

 こちらのフレスコ画は「最後の晩餐」だろう。きれいに保存されていた。


 1118年に造られた歴史的な教会が大切に維持され続けている。
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