今回は、あちこちのお寺に存在する変わったお地蔵様を紹介しよう。
1 縛られ地蔵(文京区 林泉寺)
拓殖大学キャンパスのすぐ近くに、縄でがんじがらめに縛られた地蔵様がある。一見すると異様に見えるが、これも願掛けのお地蔵様の姿だ。
庶民が盗難に遭ったり失くしものをしたときに、この地蔵様に縄をかけてお願いすると、失せ物が見つかったり、盗まれたものが戻ってくるという効能の地蔵様。願いが叶った時には縄をほどいて感謝を表すということになっているらしい。
2 とろけ地蔵(目黒区 大円寺)
この寺は、明和9年(1772年)の大火の火元になった寺・。江戸三大大火の1つで、1万4千人もの死者が出た大惨事で、時の政権は「明和9(迷惑)」な名前だとして年号を換えたほど。従ってこの寺には死者の霊を弔うために多数の石仏が置かれている。
それで、この地蔵様も火事で溶けかかった姿をしているのかと思ったが、そうではなかった。漁民が海中から救い上げた地蔵さまで、悩み事をとろけさせてくれるという功徳があるのだという。
3 ハンサム地蔵(目黒区 大円寺)
同じ大円寺境内で、とてもハンサムな地蔵を発見。どこから見ても非の打ちどころもないような超ハンサム地蔵様だ。
とろけかかった前者の地蔵様とは対照的な外見だった。
4 ほうろく地蔵(文京区 大円寺)
寺の名前は同じでも、こちらは文京区の寺。恋人恋しさに放火の罪を犯して死罪となった八百屋お七が祀られている。ほうろくとは素焼きの土鍋のこと。
火あぶりにされたお七の身代りとなって熱されたほうろくを頭からかぶって、焦熱の苦しみを受けている姿だ。ここにお参りすると、首から上の病気を治す霊験があるという。
5 八百屋お七地蔵(文京区 円乗寺)
大円寺の近くにあるこの寺には、そのものズバリのお七地蔵が祀られている。この2つの寺は歩いてもすぐの近さだった。
ここにはほかに八百屋お七の歌舞伎でお七を演じ、大当たりをとった初代岩井半四郎が寄進した供養塔もあった。2つの寺共にお七の実家だった八百屋に近い場所で、いろいろ因縁があったようだ。