新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

心ふるえる風景 南イタリア編⑨ 島で見かけたサッカー少年の 温かい後ろ姿

2024-05-28 | 心ふるえる風景 南イタリア編

 島歩きの遅い午後 ホテルに帰る途中前を歩く少年を見つけた

 ユニフォーム姿 大きな荷物を背負って

 でも 軽快に歩いて行く

 1時間ほど前グラウンドで見かけた サッカー少年団の1人だろうか

 

 かなり激しい トレーニングの最中で 

 みんな真剣にボールを追いかける姿が 印象的だったが

 今見掛ける少年は 打って変わって全身から開放感が漂っている

 

 やり終えた練習をクリアーして 近づく試合での

 シュートシーンを シミュレーションしているのだろうか

 家ではマンマ自慢のパスタが 湯気を立てながら

 少年の帰りを 待っているのに違いない

 

 そんな空想をしながら歩いて行くと

 周囲の台所から トマトソースの温かい香りが漂ってきた

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心ふるえる風景 南イタリア編⑧ プロチダ島は 猫たちの天国だった

2024-05-24 | 心ふるえる風景 南イタリア編

 プロチダ島は 猫たちの天国だ

 浜を歩くと どちらからともなく猫たちが現れ

 じゃれ合って 遊んだり

 あるいは寝そべって 日向ぼっこ

 そんな光景が 日常的に見られる

 猫たちは 珍しくも姿を見せた東洋人を

 興味深そうに 観察していて

 逃げる様子など 全くなかった

 この島は漁業の島だけに 彼らにとってエサの心配は皆無

 朝 漁から引き上げてきた漁民たちは 

 普通にこの猫たちに 小魚などを与えているし

 彼らを呼ぶときも 「nostro gatto」(私たちの猫)と呼んでいた

 島民みんなで 慈しんでいることが

 自然に伝わってきた

 

 つまりこの猫たちは 野良猫でもなければ

 「Aさんの」とか 「Bさんの」とかではなくて

 「島民みんなの」共通の猫たちなんだということを

 日々の生活の中で 学ばせてもらった

 

 

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心ふるえる風景 南イタリア編⑦  地中海の島で見た夕暮れ時は 静寂が支配していた

2024-05-21 | 心ふるえる風景 南イタリア編

 プロチダ島の北端に立つと イタリア半島・ナポリの街が見える

 さらにヴェスヴィオ火山の 雄大な姿が浮かび上がる

 この火山は起源79年に 未曽有のの大噴火を起こし 

 ポンペイの街を 火山灰で地中に埋め尽くした

 

 そんな山の頂上付近に 太陽が沈んで行く

 空に広がる薄い雲で 全体がヴェールに包まれたような風景だ

 手前を航行する 船の姿を眺めながら

 街で買った サンドイッチをかじっていると

 徐々に山を含む景色が 一層霞の中に隠れはじめ 

 夕陽は濃いオレンジの球となって  存在感を高めだした

 

 「この瞬間は 私の時間」

 主役となった太陽が そう宣言するかのように輝き

 数分後には 悠然と山頂に 姿を没していった

 それは世界が 静寂という言葉に

 支配された 時間だった

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心ふるえる風景 南イタリア編⑥ 島では おちゃめな天使たちに出会った

2024-05-18 | 心ふるえる風景 南イタリア編

 この小さな島に 連泊していると 

 いつしか島の子供たちとも 顔見知りになる

 初めはそっと 遠くから見ていたのが

 2日目にはもう 話しかけてきた

 「どこから来たの?」 「何してるの?」

 「ニッポンて どんなとこ?」

 

 カメラを担いで歩いていると リクエストが始まった

 「私たちも撮ってよ」

 そしてシャッターを切る瞬間 さっとポーズをとってくれた

 

 明るく元気で 限りなくおちゃめな天使たち

 彼女たちのおかげで 絶品のパスタを出す店を知ることが出来たし

 小さく美しいマリア像のある 教会を見つけることも出来た 

 

 あれからもう だいぶ歳月が過ぎた

 彼女たちはすっかり 健やかに成長し

 今頃は 元気いっぱいの青春を

 謳歌していることだろう

 

 

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心ふるえる風景 南イタリア編⑤ 「イル・ポスティーノ」のロケは ここプロチダ島で行われた

2024-05-14 | 心ふるえる風景 南イタリア編

 パブロという名前の付いた 世界的に著名な3人がいる

 独創の世界を創造した天才芸術家 パブロ・ピカソ

 鳥の歌が心に染みるチェロ奏者 パブロ・カザルス

 そしてノーベル文学賞の詩人 パブロ・ネルーダ

 

 ネルーダは故国チリでの政治的迫害を受けて イタリアに亡命したが 

 その時代をテーマにした映画が 製作されている

 「イル・ポスティーノ」(郵便配達夫)のロケは このプロチダ島で行われた

 ネルーダの滞在先として選ばれたのが 画面中央の黄色い家だった

 

 地元の青年が郵便局に就職し 配達夫になったが

 小さな村だけに郵便の届け先は ほぼ亡命中のネルーダ宛ばかり

 毎日ここに通ううちに 詩人との交流が芽生え

 次第に文学に目覚めて行く というストーリーだった

 温暖な気候涼やかな海風の浜辺で 交わされる会話と交流の様は

 まさにプロチダ島ならではの 心温まる情景だった

 

 主役の配達夫を務めた マッシモ・トロイージは

 心臓病を患う中での 熱演を貫き

 撮影終了から わずか12時間後に死去するという

 劇的な悲話も 残されている

 なおロケの建物は今 リストランテとして活用されているという

 

 

 

 

 

 

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