メッスで最初に入った教会はサン・マキシマン教会。建物は特別変わっているわけでもなく、うっかり見逃しそうなたたずまいだが、中に貴重な作品が収まっている。
それが、ジャン・コクトーが制作したステンドグラスだ。全体が青を基調としたスッキリとした色調。ただ、よく見ると教会ではあまり見慣れないアフリカの仮面や迷路、植物、さらに平和を象徴する鳩などが巧みに配置されている。
このステンドグラスは、じっと見ていると人の顔が浮かび上がってくる。
吹っ切れたような明るいトーンが、見る者の感覚を快適に刺激してくる。
おなじ青でも微妙に変化が付けられている。この右側の顔はまるで般若の面のように見える瞬間がある。
こちらは赤も使った鮮やかさが際立つ色彩。
その右側下部に、ジャン・コクトーと自らのサインが刻んであった。
教会のステンドグラスといえば、聖書の物語などが展開されるのが一般的だが、コクトーはそうした常識を覆して、独自の世界を作り上げているのが興味深かった。